ディア・ハンター | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます


あの時の映画日記-ディア・ハンター
重い映画でした。

1978年度(米)マイケル・チミノ監督作品

『ディア・ハンター』

ペンシルバニア州の小さな鉄鋼街。

この街の鉄鋼所に勤めるマイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スチーブン(ジョン・サベージ)、スタン(ジョン・カザール)、アクセル(チャック・アスベクラン)の5人は親友である。

休日には、近くの山に出かけ鹿狩りを楽しむごく普通の若者たちだった。


あの時の映画日記-ディア・ハンター


1968年

初冬のある土曜日。

ベトナムに徴兵されるマイケル、ニック、スチーブンの送別会と、スチーブンとお腹の膨れてきたアンジェラの結婚式が街の教会で合同で行われた。

その中には、ニックと帰還後に結婚の約束をしていたリンダの姿もあった。

宴は盛大に、いつ終わるかも知れず続いた。

2日後には別れ別れになるという思いをヒタ隠すように・・・


宴の後、5人は山へ鹿狩りに出かけた。全員ほろ酔い気分だったが、マイケルだけは“ワン・ショット”で鹿をしとめた。鹿は口から血を流し、苦しげに死んでいった。ベトナムでの戦場を暗示するように・・・


1970年

北ベトナム。戦況は悪くなっていった。


あの時の映画日記-ディア・ハンター

戦場で狂ったように銃を撃ちまくるマイケルと偶然にもニックとスチーブンは再会した。

しかし北側の攻勢は激しさを増し、3人は捕虜として捕らえられてしまう。

不衛生な川沿いの小屋の床下につながれた3人。

小屋の中からは銃声と、喚声が沸き起こる。そのたびに、米兵の死体が川に放り込まれる。

床上では回転式の銃に弾を一発込め自らの頭に当てて引き金を引く「ロシアン・ルーレット」が行われていたのだ。

いよいよスチーブンの番になり、スチーブンは発狂寸前となる。そのときマイケルが機転を利かした“ワン・ショット”で脱出に成功するが、このときの脱出が原因でスチーブンは下半身不随になってしまう。

そして3人は再びバラバラになってしまう・・・


その1年後

ニックは別人のように表情をなくし、街をさまよっていた。

そのニックに戦争闇商人に声をかけられある場所に連れて行かれる。

その場所ではなんと「ロシアンルーレット」がゲームとして行われていた・・・

それから2年後、

帰還したマイケルは下半身不随となったスチーブンと再会する。

そして、ニックも生きているらしいという情報を得る。ふただびニックを連れ帰るためにベトナムに向かうマイケル。


しかし、再会したニックは廃人と化しており、ロシアンルーレットの射手になっていた。

なんとしても、ニックを連れ戻したいマイケルは自ら・・・


この映画、最初の宴のシーンがやたらに長いがそれが後半のドラマ構成を重厚なものにしています。

ロバート・デ・ニーロも好演ですが、なんといってもクリストファー・ウォーケンが素晴らしいです。

繊細で純粋そうな瞳。戦地で彷徨う自らを失った表情。ラストの悲しげな微笑・・・


この作品は、米兵がどんなにひどい目にあったかに重点がおかれていて、米兵の非道が描かれていないという批判もある作品です。


その後、「プラトーン」などの作品が登場してくるわけですが、この作品は多くのベトナム戦争物のさきがけになった一本として語り継がれる事でしょう。


余談ですが、この映画がジョン・カザールの遺作になりました。ゴッド・ファーザーの次男フレドー役や、狼たちの午後の犯人サル役でおなじみですよね。


がちゃん






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