私が現在求められているのは、救急救命医療に関わることである。
救急救命士という資格制度が導入されたが、法律の実務家、専門家でこの問題に深く関わっている人がどうもいないようだ。
既に大勢の救急救命士が誕生し、一定の社会的な役割を担うようになっている。
この救急救命医療の現場が抱えている様々な法律問題を司法、立法、行政の総合的な観点から俯瞰し、あるべき救急医療、あるべき救急救命士制度を考えるためのマイルストーンになって欲しい、というのが私への要請だと理解している。
殆ど手付かずの分野だから、遣り甲斐がありそうである。
私に話があったのは、法科大学院ではなく専門職大学院で非常勤講師を務めて欲しいという要請であった。
私が躊躇を感じているのは、さて、どんな研究業績を示したらいいのか、どんな経歴書を提出したらいいのか、本当に大学側では私にどんな役割を期待しているのかしら、ということである。
大きく叩けば大きく鳴り、小さく叩けば小さく鳴るのが太鼓である。
大きく鳴るのか小さく鳴るのかは、叩く人のばち次第である。
私が、司法、立法、行政のそれぞれの現場にいて司法、立法、行政が協働する社会の実現を目指していることは間違いないから、私に目を付けたのはある意味で慧眼だが、私はまだこの分野では専門家ではない。