昔は赤提灯が分からない裁判官がいたと言うが | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

裁判官は純粋培養で育っており、常識がなく、世間のことを何にも知らない。これで本当に国民の信頼に足る裁判を行えるかどうか心配だ、などということを、相当以前から私たちは訴えていた。

裁判官に世間一般の常識がないということを、端的に、裁判官は赤提灯を知らない、と言ったものだ。

最近では赤提灯など知らない人が多いだろうから、裁判官が赤提灯を知らなくても何の不思議もない、と思われる方もおられるだろうが、私が司法修習をしたころは、裁判官が証人尋問で赤提灯ってなんですか、などと質問したら大恥を掻くところだ。

今日の小沢公判で指定弁護士が、証人として出廷した不動産売買仲介業者の担当者に不動産売買の仲介手数料の支払時期について質問したのは、裁判官に社会常識があるかどうかを試したようなものだ。

仲介手数料がいつ支払われるかは、皆分かっている。
契約がすべて終わったら、当然その時に仲介手数料も支払われる。
目的物の引き渡しが終わってもいないのに手数料を支払う、なんていうことは誰もしない。
目的物の引き渡しが終わったからこそ仲介業者に手数料全額を支払うのである。

自明のことのようだが、弁護士の手に係ると、これが必ずしもそうはならない。
本登記は翌年回しで、まずは仮登記だけにしておく、などということになったら、さて契約は終わったのか、目的物の引き渡しは終わったのか、という議論になる。

本登記ではないからまだ所有権の移転は済んでいない、などという議論が出てくるのである。
裁判官に社会常識がないと、こういった机上の空論に裁判官が左右されて世間の常識とは違った結論を導いてしまうことがある。

指定弁護士は、裁判官に常識的な判断をしてもらうために、あえて仲介手数料の支払い時期を確認したのである。

小沢裁判は、指定弁護士や小沢被告弁護団がどういう意図で質問したり、その質問に対して途中で異議を述べたりしているかが分かるから、刑事裁判を勉強するための絶好の材料になりそうだ。

今日の証人尋問で、代金全額が支払われた時点で不動産売買契約はすべて終了し、目的物件の引き渡しも終わった、仮登記にしたのは陸山会や小沢氏の都合に合わせ便宜を図っただけ、という事実が明らかになった、と見るのが普通である。

仮登記に引き摺られると、真実を見極める力が落ちる。
今の裁判所は、赤提灯を知っているだろうか。