児童ポルノ所持の禁止について | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

たまたま与党児童ポルノに関するプロジェクトチームの活動に言及したら、多くの方から、児童ポルノの単純所持を処罰の対象に加えることには反対です、というコメントを頂戴した。


過剰な表現の自由の規制になるのではないか。

日本が息苦しい社会になるのではないか。

児童ポルノ禁止法が悪用されて、善良な市民の社会生命を失わせることになりはしないか。

そういった懸念が示されている。


勿論、そんな事態にならないようにしなければならない。

当然のことである。


しかし、誤解が一人歩きをしているようでもある。

検討されている法案の内容をよく知らないまま、反対、反対の声が大きくなっているようである。

認識を共通にして、議論の土俵を整えてから本格的な議論を進める必要がある。


現在検討されているのは、現行法で既に販売目的での制作が規制されている児童ポルノについて、正当な理由がない所持をも禁止することにしよう、ということである。

児童ポルノの対象物を特に拡大しようというのではない。


児童ポルノの定義が曖昧だという声があるが、現行法で特に問題とされていないのであれば、基本的に現行法の規定ぶりでも問題ないはずだ。

自分の子どもの入浴写真を所持していることも禁止されるのではないか、宮沢りえの写真の所持も処罰されるのではないか、などと極端な議論が横行しているが、私はとんでもない誤解だと思っている。


法の表現をそのまま書き連ねることは憚られるが、児童ポルノの定義にはなんとなくおぞましさがつきまとう。


児童ポルノは、著しく人の性的好奇心や羞恥心を刺激する、それ自体社会風俗に反する態様での、18歳未満の児童の姿態や行為を表現するものである。

すなわち、児童を性的な慰みものにする、性的好奇心を煽る態様のものであり、誰が見てもこれは酷い、と思うようなものが取り締まりの対象になる。

芸術作品等は、そもそも対象にならないはずだ。


もっとも、現時点では隠微な世界を描いた、芸術とも単なるわいせつ物とも言い難いものが一部に出回っており、いきなり全ての児童ポルノの単純所持を刑罰でもって規制すると大混乱を来すかも知れない。

したがって、仮に刑罰を科するとしても特に慎重でなければならない。

これだけ多くの人から反対やら危惧の念が表明されているというのは、まだ国民の間に何が違法で何が適法なのか見分けがつくような状況ではない、ということである。


したがって、当面は、児童ポルノの単純所持が違法行為であることを明記した上で、まずは違法児童ポルノの追放運動を先行する、ということを提案したい。


ほぼ一般国民の目の前から違法な児童ポルノが一掃されるまでは処罰に関する法の規定は執行しない、すなわち、処罰に関する法の施行時期を先延ばしにしては如何か、というのが、私の提案である。


さて、皆さんはどうお考えか。