山口の衆議院補欠選挙の結果で左右されるような状況ではなくなった | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

今日山口2区の衆議院選挙の投開票が行われる。

自民党公認の新人候補の苦戦が報道されてきたが、最後の土壇場で、「保守」の力が発揮されることを願っている。


これまでは少々国を壊しすぎた。

そのスピードについていけず、あちこちで悲鳴が上がっている。

その声を受け止める存在に自民党の新人候補になっていただきたい。

地方と国との対立を煽り、国政の非をならすことにのみ長けている口舌の徒に衆議院の議席を譲ることがないよう、心から願っている。


さて、政党の関係者は固唾を呑んでその結果を待っているが、所詮300の小選挙区の1つの選挙区での結果でしかない。

余りにも長く世間の注目を浴び続けてきただけに、国会の方は、どんな結果が出ても、これに左右されないですむように態勢を整えてきたようだ。


どんな結果になっても、執行部の責任問題に発展しないよう与野党共に予防線を張っている。

どんな結果になっても、政治の停滞や混乱を招かないよう、政治のスケジュールが既に組まれている。


租税特別措置法改正案の衆議院での再議決を4月30日に行うことを決定した、というニュースがこれだけ報道されれば、国民の間にはそれが既定路線であるという認識が定着する。

既定路線にどうしても異議を唱えなければならない非常事態であれば国民の間から強い批判の声が上がってくるが、参議院が衆議院の足を引っ張るだけの存在となっていることがよく分かっているからここは衆議院で再議決するしかないな、という雰囲気になっているように思われる。


これが日本人の国民性なのかも知れない。

あっさりしたものだ。

その時々の状況に対応して、ベストではないが、ベターな選択をする。


融通無碍で節操がない、という批判も一部にあるだろうが、私は日本人は実に強かだと思う。

福田内閣に対する支持率が低落気味であるが、だからといって野党に対する支持が増えているわけではない。


本能的に、国民はどこまで政府を批判すればいいか、その限界と効用を知っているかのようだ。


駅頭に立って民主党の非を訴えても、そうだそうだの合唱は帰ってこない。

しかし、駅を通る人の表情からは、民主党も困ったものだ、もう少し柔軟に対応して、早く国民を安心させてくれなければ困る、そんな思いを持っておられるのが伝わってくる。


自民党に対する一時のバッシングは、まったく感じない。

学生や小さな子どもたちがおはようございます、と声をかけ、年輩の方が遠くから手を振って通り過ぎる様子からすると、家庭の中で政治家の悪口雑言が飛び交っていた昨年とは、全く状況が違っていることが分かる。


宙に浮いた年金記録問題や道路特定財源でのタクシーチケット利用問題、後期高齢者医療保険制度問題など国民の批判を受けても当然の問題が相変わらず浮上しているが、それでも去年とは根本的に違ったところがある。


去年は特定の政治家の不祥事や言動が国民の批判の対象になった。

水に溺れた犬を叩くような、よってたかっての個人攻撃が去年は繰り返された。

閣僚の自殺や辞任が相次いだ。

それがやがて自民党全体に対する批判となり、7月の参議院選挙の結果を大きく左右した。


しかし、福田総理が就任してから7ヶ月目になるが、福田内閣ではこれまで一人も閣僚を辞任した者はいない。

個人的なスキャンダルでマスコミの攻撃のターゲットになる政治家も一人もいない。

福田内閣が金銭に執着のない、異質の政治家であることはマスコミ関係者には知れ渡っているようであるが、総じて福田内閣は堅実な内閣である。


その中で一人飛び跳ねているのが鳩山邦夫法務大臣だが、飛び跳ね過ぎていて、マスコミはどう対処して良いか考えあぐねているように見える。

鳩山法務大臣の自由奔放さを考えれば、他の閣僚の個人攻撃など出来なくなる。


ということで、福田内閣は政治家個人のスキャンダルで潰れるような柔な内閣ではなさそうだ。

マスコミにとってこんなに攻撃しにくい内閣はないから、結局マスコミは、議論が錯綜しやすい内閣の政策を取り上げるようになったのではないか。


しかし、政策の問題をいくら取り上げても国民の共感を最後まで得ることは難しい。

チベット人権問題が起きればそちらの方に国民の関心は移り、聖火リレーが始まれば聖火リレーに関心が移る。


国民の政治に対する不信感が、少しずつ薄らいでいるように思う。

福田総理の、誠実に、着実に、というスローガンが段々浸透し始めたようだ。


もっとも、それが選挙を左右するような大きな力には繋がりそうにないのは残念だが。

いずれにしても、もはや山口の衆議院補欠選挙の結果で政局が左右されるような状況ではなくなった、と思うが、さて如何であろうか。


(このブログに対してコメントが多数寄せられれば、私の感想が一般の国民とはかけ離れている、ということだが、さてさてどうだろうか。)