上との仁義なき戦い ~くいしばり編~ | シャアに恋して ~デスラー総統のロマン航路~
諸君、ご壮健かな。


ある時、私の部隊(部署)で。
大変な問題が勃発した。

上官(上司)がかけよってくる。


「大変なことになった。」

「そうですね。」


私は恐れおののいていた。

私のせいではない。
しかし私の責任範囲内で起こった、大事件である。


「報告文を書きます。」

私は腹をくくった。

逃げも隠れもしない。
私の責任であると、大本営(経営陣)に申し出よう。


「そうだな…。」

上官はそうつぶやいた。

そして、一歩二歩離れかけて。
その足を止めて振り向いた。


「あのさ。」

「はい?」

いけない。
間の抜けた返答になってしまった。


「自分のいいわけをかけよ。」

「はい?」

すまない。
君が何をいっているのかわからない。


「お前の責任にならないようにな。」

そう。
この上官は私のことを考えてくれている。


「それが俺の責任にならないことになるからさ。」

違ったようだ。

私は上官が帰ったあとも調査を進め。
報告書を書き上げ、上官のデスクに置いた。




翌日。



朝がきた。

昨日の件はどうなっただろうか。
上官は朝早く、大本営に説明にいったはずだ。

責め苦は受けよう。
覚悟はできている。


扉をあける。

作戦本部(事務所)の奥で一人の男が顔を上げた。
上官だ。

つかつかと近づいてくる。
わかっている、もう覚悟はできている。

そして上官は私のそばまで来ると。
慌てて言葉を発した。


「なんてことをしてくれたんだ!」

やはり。


でも私の受け取った意味合いと。
彼の言っている意味合いとが、全然違うことをまだこのとき、私は知らない。




つづく。










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