「行こう、彼らの母星へ。俺達はわかり合う必要がある」…というわけで、刹那とティエリアの乗るダブルオークアンタは、遥か彼方にあると思われるELSの母星へと旅立つことになった。恐らく母星の所在はクアンタムバーストでのELSとの対話時に情報を得たのであろう。この辺の情報処理は、ヴェーダがしっかりとサポートしてるに違いない。

ただ、母星まで何光年離れているのかは知らないが、普通にトレミーなどの航宙艦やモビルスーツの移動速度で行ったら、相当な時間を要してしまうはず。そこで登場するのがダブルオークアンタの量子テレポート機能である。これはダブルオーライザーでのトランザム時に図らずも発動が確認された、いわゆる「量子化」 と呼ばれた現象を機能として更に発展させ、任意に使用出来るようにシステムを確立させたものと思われる。

ダブルオーライザーの際には、量子化は刹那の任意操作によって発動したものではなかった。ガデッサやリボーンズガンダムとの戦闘の際に、図らずも自動で発動して瞬間移動し攻撃回避に繋がっただけだ。勿論、イノベイターとして変革を始めた刹那の意識や感情(脳量子波)に反応してのことだろうが、刹那が自由自在にON/OFFを操作出来たわけではなかった。つまり、この当時の量子化はコントロール出来ておらず運任せだったわけだ。

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もしかすると、量子化はダブルオーライザーやGNドライヴに予め秘密で仕込まれていた機能ではなく、GN粒子の作用による想定外の副産物だった可能性もあると思う。イオリアが生きていた頃にはGNドライヴ自体が基礎理論だけで現物が完成していなかったのだから。しかし、いずれにしてもいつ発動するか運任せでは、折角の量子化現象も有効には活用出来ない。そこで、イアン達CBの技術陣は、量子化のメカニズムを徹底的に解析したのだろう。その結果として、きちんと任意に使えるシステムとして完成させた。運が良ければ発動する現象ではなく、使いたい時に使える機能として。

また、ダブルオーライザーでの量子化では、その瞬間移動距離は短距離だけに過ぎなかった。それもダブルオークアンタでは大幅な性能アップを果たし、具体的な程度はわからんが、かなりの長距離を一気にジャンプ出来るようになってるらしい。テレポーテーションやワープ航法と呼んでも良いほどに。緊急の攻撃回避手段程度ではなく、長距離高速移動手段としての量子化が完成したわけだ。

ダブルオーライザーでの量子化は、トランザムによってGN粒子の輝きを発する機体が、そのままダイレクトに量子状態となって粒子のように霧散して消滅し、別の空間で再度量子が実体化するというスタイルだった。しかし、クアンタの量子テレポートはちょっと違う。GNソードビットをリング状に展開し、その輪の中にGN粒子によるフィールドを発生させる。そのフィールド内をゲートのように通過する事で、空間を飛び越えて別の場所に出現する。多分だが、移動先の出口側にもゲートが形成されて、そこを潜り抜けて出現するような気がする。まぁ、イメージ的にはどこでもドアだな。

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あくまでもSF的な架空の技術なので、その仕組みを科学的にハッキリと解説することは無理…だが、恐らくはGN粒子による強力で濃密なフィールドを通過する事で、クアンタの機体の構成物質の分子結合が解かれて量子レベルに分解されるのだろう。そして、機体や搭乗者の構造データと、テレポートする移動先の座標ポイントデータを何らかの形で保持し、予定の場所に量子を余すことなく転送した後に、その量子を集めてデータに基づき元通りに復元するのだと思われる。…って、物凄くいい加減で大雑把な解釈だが、科学に弱い文系の自分にはこの程度の理解しか出来てない…。

クアンタの量子テレポートのスペックがわからないので、一回当りのジャンプ距離もわからない。なので、一発でELSの母星にたどり着けたのかどうかもわからない。もしかすると途中でGN粒子のチャージをしながら、何度かのジャンプを繰り返して行ったのかも知れない。ELSの母星までの距離もわからんし、量子テレポートによる一発の移動距離も何もわからんので片道どのくらいの時間を要したのかも不明だ。わからん尽くしで考察にもなんにもなってないが。

また、クアンタでの量子テレポートは以前のようにトランザムは起動する必要が無く、いつでも可能だという説もあるが、設定本によってはクアンタムバースト状態(多分、対話時のようにフルパワーではない)で量子テレポートすると書いてる記事もある。まぁ、いずれにしろ量子テレポートをする際には、刹那がそれなりのモードを起動してGNソードビットもそれなりの配置にする必要はあるわけで、その機体の内部的なプロセスは通常活動時とは違うだろう。