ツインドライヴの本稼動、そしてトランザム。それによって引き起こされた現象は意識共有空間(領域)の形成だけではなかった。リヴァイヴの乗るガデッサとの戦闘中に、ダブルオーライザーを『量子化』させるという現象も起した。ダブルオーライザーはガデッサからビームサーベルで貫かれたはずなのに、その瞬間機体全身が光の粒子のように霧散して、無傷のまま別の空間に姿を現した。一瞬で空間転移したかのように。


その現象を「量子化」と呼んだのはリボンズだ。あくまでも断定形ではなく「量子化した?!」という驚きと疑問形交じりでだけど。このダブルオーに起きた現象が本当に量子化と表現するのが正確かどうかはわからない。まぁ、他にこの現象の説明に結び付くヒントはないので、量子化だと仮定して話をするしかないのだけど。


さて、ところで量子化の『量子』ってなんじゃらほい? 量子とは?これって本当のところを理解しようと思うと結構難しい。量子って言葉や概念は日常生活では殆ど使わないし無縁だ。量子論とか量子力学とかネットで検索して読んでみても、自分には全然理解出来ない。量子を説明する内容自体が理系の専門用語や難解な数式等で、思いっきり文系脳な自分にはさっぱりだ。人並み平均以下の自分の頭では何度読んでも無理!としか言い様がない。しかし、ガンダム00を視聴するのに、量子力学の真髄まで知らなくっても大丈夫だろ?ということで、非常にアバウトな理解と考察をしてみる。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

量子(quantum)とは、簡単に言えば物理量の最小単位で、物質を原子よりも更に小さく分割した最小の粒子の事。例えば光子(フォトン)や電子は量子の一種である。理科の授業とかで物質は分子で出来ているとか、その分子も更に小さく分解すれば原子(物質の最小単位)になるとか教わった気がするが、その原子の部品とも言える存在が量子だと考えても大間違いではないと思う。


分子:物質としての性質を保持している最小レベルの粒子(複数の原子が結び付いた物)

原子:分子を更に小さく分解した単位の物で原子核といくつかの電子で出来ている粒子

量子:原子を構成している電子などの最小粒子


概ね↑こんなイメージかと。


じゃあ『量子化』って?…量子になること…と言いたい所だが、ガンダムを構成する材料物質自体が、突き詰めれば元々から量子で出来ていわけで、単純な意味で量子に化ける事を指して量子化と言うのはちょっと違う気がする。量子から原子は出来ていて、原子が複数組み合わさって分子となり、数多くの分子が結合して各種の物質となっている。色んな種類の物質を材料として人間もガンダムも出来ている。それを量子化するというのは、要するに物質を量子レベルに瞬時に細分化(粒子状態に)することを指すのだろう。量子と化すというよりも、量子状態に一時返るということ。物質としての結合を解いて量子レベルへの分解を行うという事では?


量子物理学の用語に『量子テレポーテーション』というのがあるが、これはSF作品などでエスパーが行う瞬間移動能力(超能力者のESP能力の一つ)とはちょっと違う。粒子が別の場所に移動することではない。量子もつれの関係にある離れた場所に存在する量子の間で、量子状態(情報)が転送されることであり、一方の状態が観測出来ればもう一方の状態も確定するということらしい。なので、ダブルオーライザーの起した現象を、言葉尻のイメージ(語呂の雰囲気)だけで量子テレポーテーションと呼んでしまうのはちょっと違う気がする。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ただし、ダブルオーライザーの量子化(ガデッサの攻撃を回避した空間移動現象)を、SF作品によくある『空間転送(移送)』と捉えた場合、ここでは量子自体は大いに関係してくる可能性がある。例えば映画スタートレックに登場する転送装置は、物質を分解してビームに乗せて運び、転送先で元通りに復元・再構築させるという理屈で動いている。貨物類は分子レベル、人間等の生物は量子レベルにまで微細に分解されて構成物質は転送される。分解前の状態はコンピュータのメモリ(バッファ)にデータとして一時保管されて、目的地にて分子や量子を再構成する際に、そのデータに基づいて物質として元通りに復元されるのだ。


なぜ貨物類は分子レベルなのに人間等生物は量子レベルに分解するのかというと、多分、生物には精神(魂のようなもの)があり、単純に同等の物質が転送されれば良いというものではないからだろう。分解レベルの細かさは即ち、データとしてのサンプリングレートの精度の細かさにあたるのではないかと思う。サンプリングをキメ細かく行えば、その分だけデータ容量も大きくなってしまうが、それだけオリジナルに忠実に復元出来る事になる。量子よりも最小の単位はないのだとしたら、量子レベルでの分解、再構成が最も高精度だということになるわけだ。


ちなみにスタートレックでは、転送ビームが目的地で反射されて戻ってきてしまい、位相が反転して構造が逆になった個体が作り出されてしまったり、転送データが復元完了まで完全に保持出来ず、元通りの生きた人間として復元出来ないなどの転送事故も起きたりしている。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

話は戻るが、ダブルオーライザーの行った量子化は、ガンダム及びパイロットを含めた丸ごとを、瞬時に量子レベルに分解し、その状態情報を別の空間に元通りに復元することをやってのけた機能だと推察される。ガデッサのビームサーベルに貫かれようとしたその一瞬前に、刹那の意識か脳量子波か何かにGNドライヴのブラックボックスのシステムあたりが自動的に反応して、機体や刹那を全て瞬時に量子に分解した。量子レベルの粒子は非常に小さくて軽いので、ビームサーベルのエネルギー圧に押しのけられて、ダブルオーの残像(粒子状態の機体)に穴が開いたかのように広がって粒子が散った。その後、量子化のシステム(?)によって量子が別の場所で元の物質に復元されて、結果的に無傷のままで瞬間移動を果たす事になったと。


この一連の流れが全てGN粒子によって行われたかのように思われがちだけど、GN粒子だけでは元通りの姿形への復元は無理がある気がする。高純度・高濃度のGN粒子によって(粒子が触媒等となって?)物質構造が量子分解し易くなるなどの欠かせない要素ではあるのだろうが、量子が復元不可能なほどに散らばってしまうのを防いだり、元の物質構造等のデータを保持、転送する必要があることから、粒子の作用だけではやり切れないはず。GNドライヴのシステムもしくはヴェーダの密かな情報バックアップ等があってこそ、実現されている現象のように思う。 量子化はGN粒子のみによる不思議な怪奇現象ではなく、粒子の作用を応用したシステム的な機能ではないかと思う。