(参考:0521「コロンビア、米軍と基地供与協定を調印」)


ペルーでおこなわれていた第40回米州機構(OEA)年次総会(6月6日ー8日)に出席していた、米国のヒラリー・クリントン国務長官は、6月8日、エクアドルを訪問、ラファエル・コレア大統領と会談した。クリントン長官のエクアドル訪問は6時間であった。


ボリーバル同盟(ALBA)主要国の一つへのクリントン長官の訪問ということで注目されたが、外交辞令的な表現となった。経済的な協力関係、麻薬問題とともに、米国における移民問題が話された。南米諸国連合(UNASUR)をめぐっては、意見は一致しなかったが、友情に満ちて論議されたとされた。


キト滞在中、クリントン国務長官は、コロンビアのテレビ局NTN24の取材を受け、その内容は、6月9日、長官のコロンビア訪問中に放映された。「米国政府はベネズエラのウーゴ・チャベス大統領が、テロ組織と規定される組織、たとえば、イラン・イスラム革命防衛隊(GRII)と関係をもっているという情報を得ている。これについては確証とまではいっていない」。


OEA総会と関連して、「米国は価値観を共有する国、米国が提供する関係を受け入れる指導者たちとともに仕事をしていくであろう」と語った。ベネズエラにかんしては、「米国はベネズエラと(現在とは)違う関係を望んでいる。しかし(チャベスは)、それを望んでいないようだ」と述べた。


これにたいして、チャベス大統領は、同じ6月9日、テレサ・カレニョ劇場でおこなわれた社会主義者の式典で、クリントン発言を批判した。「俺ゃヒラリー・クリントンに嫌われちまった。俺もあいつが好きじゃねえが音譜」、即興歌で、返した。ベネズエラを批判した内容を米国に置き換え、米国労働者の置かれた不幸を指摘した。


クリントン長官はアルバロ・ウリベ大統領と会談、その後の記者会見で、コロンビアにおける民主主義、人権問題、麻薬問題での前進を強調、2006年に締結した米国とコロンビアの自由貿易協定(TLC)の早期批准を約束した。


コロンビアにおいては、2009年だけでも、48人の労働組合活動家が殺害されており、このような人権侵害状況をまえに、米国議会の民主党議員は、コロンビアとのTLCの批准を拒否し続けている。


クリントン長官は、6月20日の大統領選挙の2人の候補者と個別に会談した。フアン・マヌエル・サントス候補(与党、U党)とは、麻薬密輸、安全保障、自由貿易について話したという。アンタナス・モックス(野党、緑の党)とは、人権問題、労働組合運動の保障について話したとされる。


「いずれが決選投票で勝利しても、コロンビアは麻薬とゲリラとの戦いにおいて、米国の強固な同盟者でありつづける」、クリントン長官は述べた。(0716)