(参考:0518「ベネズエラ、コロンビアをスパイ行為で抗議」)


10月30日、首都サンタフェ・デ・ボゴタにおいて、コロンビアの陸海空の7つの軍事基地を、米軍が使用することを認める協定が締結された。調印をおこなったのは、コロンビアのハイメ・ベルムデス外相と、米国の在コロンビア、ウィリアム・ブラウンフィールド大使。


現在コロンビアと米国とのあいだには、10年前に締結された、麻薬撲滅を目的にした「コロンビア計画」にもとづいて、米国の軍事要員が、兵士210人、民間契約要員400人在留している。あらたな協定はこれを拡大するものとして、兵士800人、民間契約要員600人までとし、米軍が7つの基地を使用する。エクアドルの太平洋岸のマンタ基地が、ラファエル・コレア大統領の公約として、10年の使用期限の延長が認められなかったことへの代替機能をはたす。


南米大陸に米軍が基地を持ち展開することにたいし、南米諸国は温度差はあれ批判的であったが、とりわけベネズエラは中米、カリブ海の米軍によって包囲された形となり、帝国によるボリーバル社会主義攻撃の計画と批判を強めている。


8月28日にアルゼンチンにおいて南米諸国連合(ウナスール)首脳会議、9月15日にはエクアドルでウナスール安全保障理事会(CDU)が開催されたが、コロンビアは米軍との基地協定は麻薬組織、テロリズムとの戦いを目的にしたもので、コロンビア領土の外の近隣国の主権を侵害するものではないと説明。また協定はいまだ締結されておらず交渉中であるとして、その内容を明らかにはしなかった。


ベルムデス外相は今回の調印にかんしても同様の説明をおこない、各国大使に手紙を書いたと報告した。協定の内容にかんしては、来週に明らかにされるという。


コロンビア国内においては、アルマンド・ボレロ元大統領防衛問題顧問など政府に近い立場からは、政府の説明とは裏腹に、コロンビア国内の米軍の存在は、近隣諸国にたいする軍事的抑止力になるとの評価がおこなわれている。反対に左翼政党、対抗する民主的軸(PDA)のホルヘ・エンリケ・ロブレド上院議員などは、コロンビアの主権をうりわたし、コロンビアを米国の世界支配の一環に組み込むものと批判した。


いっぽうブラウンフィールド大使は、協定が発効するためには、米国議会における承認が必要であると発言した。協定はブッシュ前政権時代から準備されてきたものとされ、政治状況が変わったなかで、民主党が多数をしめる議会ですんなりと承認されるか懸念がおこっている。アルバロ・ウリベ大統領も、協定はコロンビア議会の批准にはかけないと発言していたため波紋をよんでいる。(0521)