(参考:0468「ベネズエラ、コロンビアとの断交の可能性も示唆」)


10月27日、ベネズエラ政府はコロンビアの政治警察、安全監理部(DAS)の要員をスパイ行為、および賄賂によるウーゴ・チャベス政府の弱体化を計画したとして逮捕した。ベネズエラ政府はコロンビア政府にたいして強い抗議の意思を表明した。抗議の文書は、カラカスのコロンビアのマリア・ルイサ・チアペ大使に手渡された。


ベネズエラのコロンビアへの抗議は、この48時間で2度目となる。コロンビアのガブリエル・シルバ国防相は、10月23日、ベネズエラからはほとんど自由に麻薬が中米方面に飛行機で運ばれていると発言した。これにたいし、ベネズエラのラモン・カリサレス副大統領はコロンビアにたいし、正式に抗議をおこなっていた。チャベス大統領も10月25日のテレビ番組『こんにちは、大統領』において、「シルバは頭が悪いのか。少なくともかれは自分のやっていることを理解している。帝国主義の指図に従って」と非難した。


DASのスパイ行為については、ベネズエラ、ラテンアメリカ・カリブ担当の、フランシスコ・アリアス・カルデナス外務副大臣が、事件について容疑者の逮捕と計画を失敗させたこと、のちに証拠を提示すると述べたが、この場では詳細なことは報告されなかった。


チアペ大使は、これは先週末のコロンビア人8人の殺害事件から目をそらせるためのものだとコメントした。10月24日、コロンビアとの国境沿いのベネズエラのタチラ州において、8人のコロンビア人の遺体が発見された。かれらは2週間前に12人でサッカーをしていたところを約25人の武装グループに誘拐され、1人は逃れたが、11人が行方不明となっていた。DAS要員はこの捜査を口実にして、ベネズエラ国内の情報活動をおこなっていたとされる。


タチラ州政府のレマグノ・フローレス事務総長は、この事件にかんして、コロンビアの左翼ゲリラ、民族解放軍(ELN)によるものとの見方をしめした。いっぽうコロンビア野党のピエダ・コルドバ上院議員はパラミリターレス(反共民兵)によるものではないかとしている。


コロンビア、ベネズエラ関係は緊張度を増しているが、こうしたなか、シルバ国防大臣は米国を訪問、中央情報部(CIA)、全国麻薬取締局(DEA)、議会指導者と会談することが予定されている。もっとも注目されるのが、ロバート・ゲイツ国防長官との会談であり、10月30日、コロンビア内の7つの軍事基地の米軍の使用にかんする協定が締結されることが予想されている。(0518)