(参考:0570「コロンビア政府、ベネズエラとの国境軍備を増強」)


12月20日、ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領は、日曜日の定例番組『アロー・プレシデンテ』で、数日前の深夜、コロンビアから米国製の無人偵察機が国境に近いソリア州のマラ要塞に飛来し、スパイ活動をおこなった。撃墜命令をだしたが飛び去ったとして、今後このようなことがあれば、撃墜するように命令したと語った。


偵察機は2~3メートルの小さなものだが、撮影、爆弾投下もできるという。チャベス大統領は、もしも米国がコロンビアを使ってベネズエラを攻撃するならば、われわれはこれに手をこまねいていることはしない。かれらは後悔することになるだろうと警告した。


米国の在カラカス大使館のロビン・ホルツァウアー広報担当は、米国の無人機がベネズエラ領内を飛行したという情報は得ていないと述べた。コロンビアも無人機を所有していることは認めているが、飛行の事実を確認はしていない。


チャベス大統領は繰り返し、太平洋、カリブ海などの米軍基地11か所がベネズエラ攻撃に使われると予想を述べている。名指しされたベネズエラ北部のカリブ海のオランダ領、アルバ、キュラソー、ボネールなどに関して、オランダ政府はこの地に駐留する米軍は、麻薬密輸の取り締まりのみに従事していると説明している。


12月19日、パナマ政府もベネズエラの懸念を否定する声明をおこなった。おりしも1989年12月の米国のジョージ・ブッシュ(父)大統領が、マヌエル・ノリエガ将軍が指導するパナマに軍事介入してから20周年を迎えている。


12月19日、ベネズエラ国境2か所の基地への飛行大隊設置など、7つの基地の強化を発表したコロンビアは、12月20日、ガブリエル・シルバ国防相がベネズエラと接するジャングル地帯の、ビチャダ州のマランドゥア基地を視察した。


シルバ国防相は、コロンビアの軍備は、国内の左翼ゲリラとの戦いに向けたものである。ベネズエラは国内にそのような問題を抱えていないにもかかわらず、40億ドルもの軍事支出をおこなっている。これは他国との戦争のためとしか考えられない。コロンビアは1932年のペルーとの戦争以来初めて、対外戦争の危機にあると、新聞『エル・ティエンポ』のなかで語った。


チャベス大統領は、武力紛争の可能性を認めつつも、それはかれらにかかっているとして、ベネズエラは他国を攻撃することは考えていない。「われわれの闘いはここであり、犯罪、社会正義のための闘い、これがわれわれの仕事のすべてである」と述べた。(0571)