(参考:0531「チャベス大統領、戦争への準備を呼びかける」)


12月18日、コロンビアのガブリエル・シルバ国防相は、同国北端でベネズエラとの国境を接するグアヒラ半島のナサレの近くに、あらたな軍事基地を建設することを決定したと発表した。現在近くにはウリビアに50人の兵士と6人の警官が駐留する基地があるが、これを1000人規模の基地の建設で置き換えることになる。


基地完成の日にちについては明らかにされていないが、150万ドルの建設費をかける。近くには先住民ワユウ族の共同体があり、これへの「ケアをおこなう」ことになる。防衛の観点から長年、待ち望まれてきたものであるという。


12月19日には、オスカル・ゴンサレス司令官が、あらたに6個の飛行大隊と1個の特殊大隊の創設を決定し、即日実施したと発表した。6個のうち、2個大隊はベネズエラとの国境近くにおかれることになる。北部のグアヒラと東部のアラウカである。グアヒラは人口は少ないが、ベネズエラのマラカイボに近く、石炭、天然ガスを有する。アラウカはカラカスからボゴタの幹線地帯にあり、石油を有する。


これ以外の大隊は、グアビアレ(南部)、カケタ(南部)のラランディア、トレマイダ(中央部)などの基地におかれる。ラランディアとトレマイダの基地は、米国とコロンビアが10月30日に締結した協定によって、米軍が使用することになった、7つの基地のうちの2つである。


飛行部隊は最新の高度のテクノロジーを装備した、戦闘ヘリコプター、輸送ヘリコプターなど120機を中心に組織される。これは米国製ブラックホークUH-60、ロシア製MI-17などで、コロンビア革命軍(FARC)、民族解放軍(ELN)との戦争で、すぐれた戦闘性、兵員輸送能力を示してきたとされる。


12月16日、FARCとELNは、対立を解消し、共同してコロンビアにおける米軍基地建設とアルバロ・ウリベ政権と闘うことを宣言したが、同じ12月16日、シルバ国防相は、少なくとも両組織の15人の指導者が、ベネズエラ政府の承認のもとに同国に在住していると非難した。これはベネズエラのラモン・カリサレス副大統領によって即刻否定されている。


いっぽうベネズエラ政府はアラウカと接するタチラ州において、コロンビア政府が右派民兵(パラミリターレス)を浸透させ、「不安定化政策」による撹乱作戦をおこなっていると繰り返し非難をおこなっている。


コロンビアのベネズエラ国境地帯での軍備強化は、両国間の緊張状態を一層強めるものと予想されている。((0570)