(参考:0518「ベネズエラ、コロンビアをスパイ行為で抗議」)


11月2日、コロンビアへのベネズエラからの国境の街、サン・アントニオ・デ・タチラに近いウレニャ村で、国境警備にあたっていた2人のベネズエラ国防軍の兵士が、4人組によって殺害された。2人はヘラルド・サンブラノ軍曹とセニル・ロペス伍長で、背後から蜂の巣状態であった。11月3日、ラモン・カリサレス副大統領兼国防相はベネズエラ国籍の20歳のマヌエル・モラ・ロドリゲス容疑者を逮捕したことを発表した。


ベネズエラ政府は、この事件はパラミリターレス(反共民兵)の仕業と見ており、背後にはコロンビア政府がベネズエラの不安定化のために、パラミリターレスをベネズエラに浸透させているみなしている。10月24日には、9人のコロンビアの青年らが誘拐され殺害された。また8人のコロンビア人パラミリターレスが、ベネズエラ国内で逮捕されている。今回の事件はこれへの報復という見方もある。


ベネズエラ政府は、国境地帯で、コロンビア秘密警察(DAS)の要員1人をスパイ行為の容疑で逮捕し、コロンビア政府に抗議をおこなった。7月末にコロンビアの7つの基地を米軍の使用に供与する計画が明らかになって以来、コロンビアとベネズエラの外交関係は凍結され、商業関係も制限される方向にあり、両国は国境地帯を中心に緊張関係が強まってきた。


とりわけベネズエラのタチラ州とコロンビアのノルテ・デ・サンタンデル州のあいだの出入国管理所は、2200キロの両国の国境のなかでも、カラカスとボゴタをつなぐ幹線であり、商業活動の85%はここを通じてであり、毎日双方で25万人がここをとおり、2万台の車両が通過した。11月2日の午後から、ベネズエラ政府はこの国境管理所の通過を閉鎖した。コロンビアのククタの街とベネズエラのサンアントニオの街は、300メートルの国境橋“シモン・ボリーバル”でつながっていたが、ここを通過することはできない。


コロンビア北部のパラグアチョン、南部のアラウカでは国境は開かれているという情報があり、ククタとサンアントニオも現地の人は、なかば干上がったタチラ川を渡っているとも言うが、また非公式な国境通過点も閉鎖されているという情報もある。


カリサレス副大統領は、国境閉鎖の措置は、コロンビアの政策によって暴力的な事象がおこされており、これを防ぐための国境地帯の安全を確保するための手段であると説明している。ここ3週間、ククタ、サンアントニオは断続的に閉鎖されており、コロンビアの運輸業者、商業者に怒りをおこしている。((0526)