(参考:0415「6.28クーデター決行される」)


6月29日、中米統合構想(SICA)+リオ・グループ緊急首脳会議がニカラグアのマナグアにおいて開催され、マヌエル・セラヤ大統領を含め、13カ国の大統領が参加、6月28日発生したホンジュラス、クーデターにたいする対応が話し合われた。これら諸国は、①ホンジュラスの唯一合法大統領はマヌエル・セラヤであると認め、クーデター政権を認めない。②これら諸国は駐在大使を召還し、融資を停止する。国境を接する4カ国は48時間、通商を停止する、などを決定した。


ホンジュラスにおけるすべての会議を中止し、国際会議にはセラヤ政権のみが参加できる。国連の潘基文事務総長にたいし、国連総会において非難決議をおこなうように要請する。SICA参加大統領はオスカル・アリアス(コスタリカ)、マウリシオ・フネス(エルサルバドル)、アルバロ・コロン(グアテマラ)、マルティン・トリーホス(パナマ)、レオネル・フェルナンデス(ドミニカ共和国)、ダニエル・オルテガ(ニカラグア)。


リオ・グループの輪番議長であるメキシコのフェリペ・カルデロン大統領は、セラヤ大統領の復帰、憲法秩序、民主主義の回復を要求した。キューバのラウル・カストロ議長は、セラヤ大統領が即時・無条件に復帰しなければならないと演説した。協定担当部署(CC)は、クーデター政府とのすべての経済活動の停止を検討している。カルデロン大統領はタルシシオ・ナバレッテ在ホンジュラス大使を召還した。


米国のバラク・オバマ大統領のクーデターにたいする対応は好感をもって受け止められているが、カストロ議長は米国の支援をあてにしないゴルピスタ(クーデター首謀者)などあり得ないと発言、言葉ではなく行動で示されなければならないと注文した。エクアドルのラファエル・コレア大統領は何も心配することはないと、セラヤ大統領への支持を表明した。ボリビアのエボ・モラーレス大統領は、米国CNNなどメディアが、ホンジュラスで権力継承が行なわれたように報道していることを批判した。ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領は、ホンジュラスに石油を送ることはないと言明した。


米国のオバマ大統領はクーデターを違法と非難したが、米国のホンジュラスへの軍事援助を変更する予定は現在のところないようである。2005年から2010年にかけてのその額は、4343万ドルにのぼる。2005年から2006年にかけて881人のホンジュラス軍人が米国で訓練を受けている。また500人から600人の米軍兵士がソト・カノ空軍基地に駐留している。


6月28日夜、にニカラグアで開催された、人民のためのアメリカのボリーバル同盟(ALBA)諸国首脳会議は、加盟国が在ホンジュラス大使を召還するとともに、ラテンアメリカとカリブのすべての国が外交的、経済的にクーデター政権を孤立化させることを要請した。こののちエルサルバドルのフネス大統領、ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領、チリのマウリアノ・フェルナンデス外相もマナグアで、それぞれ自国大使の召還を命令した。アンデス共同体(CAN)もクーデターにたいする非難声明を出した。グアテマラに置かれる中米議会は、軍事クーデターを野蛮で卑怯なものとし、米州機構(OEA)に民主主義の回復のための行動をとるように要請した。


国連緊急総会は6月29日開催され、国際社会にたいし、クーデター政権を承認しないように呼びかけた。国連総会のミゲル・D・エスコト議長(ニカラグア)は192カ国が一致してこの犯罪を許さないことの重要性を強調した。ホンジュラスのホルヘ・アルテューロ・レイナ国連大使は国際社会の協力にたいし、感謝の意を述べた。現在ロベルト・ミチェレッチ政権を承認した国は一国もない。ヨーロッパ連合もクーデター非難の声明を出している。


軍によって拘束されていたホンジュラスのパトリシア・ローダス外相は、クーデター政府による追放のため、6月29日早朝、メキシコシティーに到着した。カルデロン大統領が「外交的保護と相談」のため、受け入れを申し出ていた。


いっぽう外出禁止令にもかかわらず、ホンジュラスにおけるクーデターにたいする抗議行動は、国際的な支援にも元気づけられて継続しておこなわれている。テグシガルパの大統領宮殿前での軍と抗議行動の衝突で、少なくとも50人の負傷者と、人数不明の逮捕者がでている。これより離れた街路ではバリケードが築かれ、展開する軍部隊にたいしては石とビンが雨のように投げられ、またこん棒によって野戦状態となっている。空気は催涙ガスで充ち、空にはヘリコプターが展開し、救急車がサイレンを鳴らして走り回り、数十人がゴム弾によって負傷した。軍はクルマで道路を走行しないように警告している。


軍部隊はホンジュラスのマスメディアのみではなくCNN、テレス-ルの放送局をも占拠しており、ホンジュラス国民は報道を知ることができない状態にある。テレスールとAPの記者が逮捕された。このほかアラン・マクドナルドなど新聞記者などの行方不明がおこっているもようである。


中等学校教員組合のエウロヒオ・チャベス議長は、無期限ストに突入しているが、こんご抗議行動を強めていくとしている。大統領宮殿のまえでピケットをはる、セラヤ大統領支持派のラファエル・アレグリアは、こんごの成り行きでは武装も辞さないとしている。また全国的に抗議行動が広がっており、コロン州、アトランティーダ州などでデモと道路封鎖がおこなわれている。オランチョ州の農民一万人が首都に向かったが、軍部隊によって阻止されているという。


セラヤ大統領は6月30日に、国連総会で演説するためと米州議会(OEA)出席のため米国を訪れたのち、ホンジュラスに帰還すると発表した。その日にちは7月2日である。(0417)