(参考:0396「ペルー政府、アマゾン先住民を武力で弾圧」)


6月5日のアマソニア州バグアを中心とした先住民とペルー政府治安部隊の衝突ののち、午後3時から午前6時までの外出禁止令がバグアとウトゥクバンバに3日間のあいだ公布され、政府軍が自治体にかわる形で治安がたもたれている。バグアに本部を置く第6旅団のラウル・シルバ将軍は、地方当局から権限を委任されていることを認めた。


6月7日には、東北部のタテン・デル・マラニョンにおいて、1,300人のアシャニンカス族がトロンペテロス空港を占拠した。その要求はバグアの先住民と同じく、先祖伝来の土地を米国企業に売り渡すことを可能にする法令の撤回である。やはりセルバのアルゼンチン企業ペルスペトロルのロテ8が占拠されており、午後4時までに退去しない場合、治安部隊は実力行使をすると、警告をおこなっている。


6月5日の衝突では警官22名が死亡したと政府は発表しているが、事件を先住民の犯罪に仕立てるために、意図的に先住民側の犠牲者の報道がなされていない。先住民側は40人以上が殺害され、150人以上が逮捕され、軍事基地に収容されているという。10人以上が行方不明となっているが、軍隊の存在と外出禁止令によって、遺体を回収することができないでいる。またヘリコプターから断崖に、ビニール袋に入れた遺体を遺棄しているのを目撃したという情報もある。


オンブズマンのベアトリス・メリノは、バグア・チカに入ったが、病院には多くの負傷者が運び込まれ、薬品が不足する状態になっているという。


一方ボリビアのセリマ・トリコ法相はケチュア族出身だが、6月6日、ペルー・アマゾンの事態に懸念の念を表明し、アラン・ガルシア政府にこそ責任があり、ペルー先住民の要求、権利を顧みてこなかったと批判した。これにたいし、ペルーの在ボリビア大使フェルナンド・ロハスはこれを内政干渉であり、事実にも合致していないと不快感をしめした。しかしガルシア大統領が、事件の背後に外国の勢力がいると言ったのは可能性の問題であって、具体的にいかなる国も指してはいないと説明した。


ペルー先住民密林発展協会(Aidesep)のアルベルト・ピサンゴ議長は、ペルー政府から、暴動・反乱罪で逮捕状がだされ、現在潜伏中となっている。これについてトリコ法相はいかなる情報も今のところないと述べた。


ボリビア、ペルー、エクアドル、チリ、コロンビア、アルゼンチンの先住民でつくる、アンデス先住民諸組織調整機関(CAOI)は、世界のすべての組織と民衆にたいして、ペルーのアマゾン先住民と連帯して、政府による流血の弾圧がやむまで、米国との自由貿易協定と委任立法法令を撤廃させるまで、ペルー大使館への抗議行動など、具体的な闘いに立ちあがることを訴えた。(0398)