(参考:0374「アマソニアなど4州に非常事態宣言」)


4月9日以来、アマゾン地方の先住民はペルーと米国との自由貿易協定(TLC)発効にもとづく国内法「委任立法法令」(DL)に反対して、道路封鎖、石油施設占拠などの手段で闘ってきた。DLは、米国資本が石油開発などを行えるように、森林開発、先住民の土地の売買を認めるものである。


5月9日の非常事態宣言以後、イェウデ・シモン首相は対話を呼びかけ、先住民側もこれに応じるかたちで推移してきた。しかし6月4日、ペルー議会はDL撤廃を議論することになっていたが、これを先延ばしすることを決定した。アマゾン地方の65部族、5,000人以上で組織するペルー先住民密林発展協会(Aidesep)は議会での討議を要求して、ペルー労働者全国会議(CGTP)、全国農民会議(CNA)、ペルー鉱害被害者全国連絡協議会(CONACAMI)などとともに、6月11日に、全国集会の開催を決定した。まさにこのとき、ペルー政府、警察による実力行使が開始された。


6月5日明け方、オルタナティブ・ラジオ「セルバの声」によると、アマソニア州のバグアの近く、クルバ・デル・ディアブロで道路封鎖をおこなっていたアワフン族の先住民にたいして、警察はヘリコプターからの銃撃をくわえ、これにあわせて地上からの銃撃がおこなわれた。ガルシア・ベラウンデ外相はさきに先住民側からヘリコプター2機に、そして警官に撃ってきたと、責任は先住民側にあるとしている。Aidesepnoのアルベルト・ピサンゴ議長は、「先住民は銃をもっていなかった。アラン・ガルシアはジェノサイドを命令した。かれらはわれわれを動物を撃つように撃ってきた」と語った。ここでは警官11名が死亡と政府が発表、先住民側は30人以上が死亡したであろうとされる。現場に遺体が放置された状態にあるとの情報もあり、いまだはっきりした数字はわからない。


明け方の警察の武力行使に怒った住民は、バグア市内の政府および関係機関、アプラ党事務所などを放火、警察署にたいする攻撃を試みたとされる。ペルー政府はバグアに15時から06時までの外出禁止令を発令、6月6日朝の段階では平穏に戻ったと報告されている。


いっぽう占拠されていた石油施設の解除もおこなわれ、イマシタの国営石油公社ペトロペルー第6施設において、警官38人が先住民の捕虜となり、このうち9人が殺害されたとミゲル・イダルゴ国家警察将軍は述べた。その真相は不明である。


ノルマ・カルバハル判事は6月6日明け方、ピサンゴ議長の逮捕命令を出した。マルセデス・カバニージャス内相は、ピサンゴはおそらくボリビアにかくまわれようとしているのだろうと観測を述べた。前日すでにバグアで36人、チクラジョで17人が逮捕されている。いまも指導者の多くがエル・ミラグロなどで村民から身を守られているとされる。


アラン・ガルシア大統領は、警官の死を悼むとともに、事件の責任を先住民に、そして野党指導者オジャンタ・ウマラ前大統領候補、そして外国のイデオロギー勢力の反ペルーの陰謀事件によるものと非難した。(0396)