一昨日の日曜日、循環器病学者のご夫妻とともに、
知り合いの会社社長ご夫妻に連れられて、ディープな京都探訪に出かけた。
その分野では「世界で」知らぬ人はまずいない、この循環器の先生は大学の2年後輩だが、
工学部に入学後に医学部に再入学されているので、わたしと同世代である。
この大先生、年間100~150論文(もちろん英文)のレビューワーをされているそうで、
わたしのブログ更新回数より多いので驚きである。
滅多にいないスーパードクターではあるが、日常話していると、きさくで偉さを感じさせない。
この京都ツアーには、案内人がおられた。
生粋の京都に生まれの人だが、面白いことに大学は大阪で、わたしの先輩である。
子ども2人も京都に下宿していたし、われわれ夫妻はけっこう京都に出かける機会が多い。
るるぶを見てやって来る観光客よりは、ずっと京都に詳しいと自認している。
先日も日本最古のスイーツ「あぶり餅」を食べに行ったことはブログにも書いた。
しかし、今回のディープな京都には脱帽である。
とても書ききれるとは思えないが、さわりだけを書き留めておくことにする。
島原の角屋
まずは太夫で有名な島原へ。
島原に残る唯一の遺構がこの角屋(すみや)で、
江戸期の揚屋(あげや)であり、今で言う高級料亭に当たる。
太夫や芸妓は置屋から揚屋に向かうが、その道中の歩くさまは有名である。
これぞ京都らしい文化遺産であり、今では一般公開している。
実は25年以上前、年末に家内と2人でここを訪れ、
店の前を掃き掃除していた女性に「見学させてもらえるのか」と聞いたことがある。
「一般には公開していません。観光バスのお客さんだけ入れています」
という返答だったので、一度四条河原町に戻り、
旅行社に行ってバスツアーの予約をして、夜になって再訪した。
角屋の建物そのものが文化遺産であり、円山応挙のふすま絵もあると楽しみにして行ったのだが、
1階の小さな会場で、太夫の道中の再現とお茶のお点前を拝見したのみであった。
しかし現在では、予約はいるものの内部を公開している。
1800円の入場料はへたな映画館より値が張るが、2階も含めて丁寧に案内してもらった。
今は太夫が登場する観光客向けの「仮視の式」はもうやっていないようである。
風邪を引いていた高齢の太夫が現れた場所は、展示場になっていて隔世の感があった。
角屋の玄関や2階には、新撰組がつけた刀傷が今も残る。
300年の歴史ある建物である。
円山応挙のふすま絵は、ろうそくのすすで真っ黒になっており、
美術館で見るのとは大違いである(2階は撮影禁止なので、写真はない)。
実際に使われていたふすま絵がかえって歴史を感じさせたが、
25年以上前からの念願が、こんなところで叶うとは思わなかった。
角屋の庭 松が見事
静かな庭だが、すぐ横にJR山陰線の高架があり、列車が通るとやかましい。
世界遺産 西本願寺
次いで浄土真宗の総本山(と言っていいのかな)、西本願寺へ。
ここは世界遺産に指定されており、御影堂の威容が厳かである。
しかし、この右奥に国宝の飛雲閣と書院がある。
屋外にわが国最大かつ最古の能舞台もある。
これまた予約が必要で、時間を指定されるが、お坊さんが丁寧に説明して下さる。
撮影禁止なので写真はなし。
高木珈琲店 プリンとコーヒーでちょっと休憩
京都市指定有形文化財 長江家住宅
元は呉服問屋だった、長江さんが代々住まわれている、今では数少なくなった京町家である。
一般公開はしていないが、案内人である先輩の紹介で入れて頂いた。
何代目かの現当主が、気持ちよく迎えて下さった。
今年まで京都市の関連施設におられたという、若い女性が丁寧に中を案内して下さった。
立命館大学の男子学生2人もいたが、保存活動に参加しているそうである。
文化施設の保存に若い人が活躍されているようで、心強い。
奥の方から玄関を望む
京都らしい鰻の寝床のような土地の形で、間口に比べて奥行きが長い。
このお宅はいわゆるお金持ちの商家であり、何と奥行きは50m もあるそうだ。
老舗の料亭 萬亀楼
さて夕食は、ミシュラン☆☆の萬亀楼である。
創業250年以上という、とんでもない歴史のある有職料理の店だそうだが、もちろん初訪問だ。
店の建物から庭から、そして花の飾りまで、細部に神経が行き渡っている。
料理だけ美味しければ良い、というものでもないのだろう。
こんなところにも、京都のすごさを感じる。
今週は☆のところばかり行っている気がするな。
家内なんて、ポワン☆☆・fujiya☆☆☆と連ちゃんである。
明るいうちに撮った中庭
鱧の椀もの
ここにアップした料理は、ほんの1部である。
鮎 これが新鮮で美味しい
萬亀楼名物 海苔を乗せた鯛のぶぶ漬け 海苔の味が濃厚で美味
これぞ京都の無形文化の真骨頂、お茶や発祥の地「上七軒」からお越し頂いた
芸妓の勝也さんと、舞妓の勝音ちゃん。
2人ともべっぴんさんどす。
何と勝也さんは、ソムリエの資格を取られたとか。
上七軒「大文字」の女将さんである今井さんから、芸妓と舞妓の違いの説明を受ける
だ~ら~り~の帯は舞妓の象徴
家内と話し込む勝音ちゃん(18歳)の可愛いこと
というわけで、たいへんディープな1日でありました。
参りました,降参です。
自称京都通の家内が大いに感激して、わたしの株も上がった1日であった。
お世話下さった社長ご夫妻はじめ関係者の皆さん、案内頂いたOさんと女将の今井さん、
そしてご一緒した循環器の大先生ご夫妻、どうもありがとうございました。