ポンテベッキオでの一夜 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

今月に入り、脂肪肝一直線のバブリーな夜が続く。
先週久々にポンテベッキオ本店に行った。天満橋から北浜に移って初めての訪問である。

ここは大阪で文字通りトップのイタリアンで、多くのヴィニュロンが訪れているそうである。
アルマン・ルソーや、パカレの名前も出ていたが、あのフランソワーズ・ベデルも来たことがある、
というのには驚いた。太めのおばさんなんだそうだ。

料理の内容はチラリと聞いただけで、手元にメニューがなく、あらかた失念した。
季節ものをあしらった、大変凝った料理で、値段も張るが内容は大したものである。
写真だけアップしておくが、どうもnackさんみたいに美味しそうに撮れないのがもどかしい。
写真の技術は、wakoさんとnackさんにはとてもかなわないなあ。

前回天満橋の店を訪れたのは3年くらい前だが、その際のソムリエが極めて無愛想で
不親切だったのを覚えているので、今回はどうかなと思って訪れたのだが、
シェフソムリエの植田さんが、懇切丁寧にワインの解説をして下さって、非常に楽しかった。
あとで名刺を頂いたが、この方がこの本店の総支配人で責任者のようだ。
相当な知識と経験のあるソムリエだとお見受けした。

ゆっくりとワインリストを見せていただいたが、3年前には、ここのワインは高いと
思ったのに、今回はずいぶん安いと思った。
ブルゴーニュが暴騰して、こっちの金銭感覚が狂ってしまったのかも知れない。


アグラパール ブラン・ド・ブラン レ・7(セット)・クリュ NV
飲んだ日   2007年7月5日
インポーター トーメンフーズ

まずは泡ものから。
こんな店だから当然グランメゾンは目白押しだが、あえてRMのドライなものを所望した。
シャルドネ100%のブラン・ド・ブラン、ということでこれをチョイスしたのだが、
予想通りドライで、暑かった日の夕暮れの1本目として最適な選択だったと思う。


アワビのスープ

次いで、魚料理に合わせて白ワインをどうするか。
植田さんからお勧めいただいたのは、これ以外にヴァンサン・ジラルダンの
シャサーニュの1級畑2001などだったが、古いヴィンテージの方を選択した。


ドメーヌ・ミシェル・ニーロン シャサーニュ・モンラッシェ 1998
飲んだ日   2007年7月5日
インポーター ミレジム

ちょうど良いくらいの熟成度。舌にまとわりつくシャルドネのクセがない、
たいへん素直に成熟したワインである。
樽香はほとんど感じないのも嬉しい。
前半は夏らしく、比較的あっさりした味付けの料理であり、白とは言えムルソーや
カリフォルニアを持ってこないところは、植田さんの心意気であると思われた。


季節ものの鮎


クレビネット(網脂)をまとった魚・・


鱧と・・


ドメーヌ・フーリエ グリオット・シャンベルタン 2000
飲んだ日   2007年7月5日
インポーター オーデックス・ジャパン

こんな稀少ワインがリストに載っていた。しかも価格は16,000円と非常に安く、
まだ少し早いのではないかと思ったが、迷わず注文。
わたしも2003と2004は持っているが、まだ飲んだことはない。
なにせ本数が出てこないので、ネットで入手するのも困難を極める。
この2000年もの、店で3ケースも入れたそうである。思わず感心して唸る。

グラスから止めどもなくみごとな香りが立ち上がるが、味わいは熟した印象はなく、
ピュアな酸味が前面に出ている。
若木からのワインではないかと思ったが、エチケットにはちゃんとVVと書かれている。
確かに酸っぱいサクランボ。
おんなじグリオットでも、デュガとは相当に個性が異なるなあ・・


イタリアンだから、ちゃんとパスタも・・


ドメーヌ・アルマン・ルソー シャンベルタン・クロ・ド・ベズ 1997
飲んだ日   2007年7月5日
インポーター トーメンフーズ

本日の真打ちで、植田さんが特にお勧めの1本。
価格を書いておくが、43,000円だった。これも安いと言うべきだろう。
1週間前に弘屋で、造り手不詳のクロ・ド・ベズ72に遭遇したが、
今年はクロ・ド・ベズが大当たりのようだ。

これぞブルゴーニュの王道を行く、というワインで、先のグリオットとはまるで役者が違う。
同じジュブレ・シャンベルタン村の特級畑だが、先のグリオットをあと3年熟成させても
ここまでのワインになるとはとても思えない。

余談だが、この店のワインの状態の良さには感心した。
おそらく造り手から正規インポーターを通してまとめて入れておられるから、
当然と言えば当然かも知れないが、グラスに注がれて目の前に持ってこられた時点で、
どのワインも混じりけのない香りが漂ってくる。
テイスティングのため口にする必要など全くない。


卵黄を添えたメインの肉料理


たっぷりトュリフをかけていただきます


デザート

いや、さすがは大阪を代表するレストランでありました。
六覚燈も弘屋も大好きだけれど、フォーマルに行くならこのポンテベッキオはいい。
料理ならいい勝負になっても、ワインリストを含めると、リッツ・カールトンのラ・ベでは
太刀打ちならない。
ラ・ベなら1本8000円(らしい)持ち込み料を払った方がましである。

来週の土曜日には、老舗リーガ・ロイヤルホテルで恒例の医師会の会合があり、
またもフルコースを食す予定だが、その内容にはちょっとうんざりする。
こっそりワインでも持ち込んでやろうか、と思うくらいだが、知らず知らずのうちに
こっちの舌が肥えているのか、レベルの高い店が出現しているのか・・・