今がピークか・・・パカレの2003 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

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テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


フィリップ・パカレ ポマール 2003
購入日    2005年10月
開栓日    2007年3月22日
購入先    Alcoholic Armadillo
インポーター INA
購入価格   8000円(セットなので推測)

昨年にAlcoholic Armadilloからまとめて購入したものの1本。
セットで同じポマールがもう1本あり、それは昨年9月に開栓した。

2003では、その後にジュブレ・シャンベルタンペルナン・ヴェルジュレスも開栓したが、
今回ポマールを開栓した印象から、それらはすべて大なり小なり若かったのだと理解できた。

このポマールは、わたしが知る限り、これまでで最上のパカレである。
といっても、わたしはこれまで2001を1本、2002を数本、2003を3本しか開栓して
おらず、数少ない経験の中での話であるが。

何より、現在間違いなく飲み頃に入ったと、確信を持って断言できる。
つまり、これまで開けた10本のパカレのすべてが、飲み頃を外していた、
またはコンディションが万全ではなかった、ということだ。
2001の1本と2003の3本はまだ若かったし、2002の数本すべては遅かった、
というかすでに枯れていた。

プリューレ・ロックのクロ・デ・コルヴェは、97、98、99、00と開栓したが、
まともに美味しかったのは昨年11月に六覚燈で開けてもらった99だけで、
あとはさしたるワインではなかった。
その六覚燈の99の美点が、このポマール03にはある。
98はパカレが造っていたようだが、99はどうなのかわたしはよく知らないが、
今日のポマールとは芳香が驚くほど共通している。

いかにもビオワインらしい芳香で、周囲0.5mまで香りの気体で満たしてしまう。
だし風味の効いた旨味ワインで、酸味とタンニンは控えめであり、まろやかで優しい。
なるほど、パカレの本来の姿はこうだったのか、
これまでこんな姿を知らないばかりに、さんざん悪口を書き続けてきたが、
この人の真の実力には目を見張るものがある。
これなら8000円という価格も、決して法外とは言えない。

だが、賛辞はここまで。
開栓当日にも、そんなに力があるワインではないとの予想はついた。
こんなワインの飲み頃が、2020年まで(リアルワインガイドによる)とはお笑いだ。
断言してもいい。1年もすれば枯れているだろう。

それが証拠に、翌日の落ち方には目を、じゃなかった、舌を覆いたくなる。
まるで漢方を煎じた液体のように薬味がして、ブドウからできた飲み物とは思えない。
この変化が、単に亜硫酸が少ないことだけで説明がつくのだろうか。
もしそうだとしたら、亜硫酸は悪ではなく、まっとうなワインには必要不可欠なものであると
いうことになってしまう。

2001から2003まで、10本ばかりのパカレを開けてきて思う。
ここにきて、やっと最上の状態のワインに巡り会った。
それはもはや希有な出会いである。
投資額にはまったく見合わない。
いくら今回の1本の初日だけ素晴らしかったとしても、
パカレのワインの造りは、何かが間違っている。

リアルワインガイドさん、そう思いませんか。
消費者の側に立つワイン雑誌なら、今現在のパカレの2002~2003の試飲記を
特集されたらいかがでしょう。