クリスマスの大宴会 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

クリスマスの日、著名な音楽評論家である宇野功芳が主催する、女性合唱団「アンサンブル・

フィオレッティ」のコンサートに行ったあと、大学の後輩の2人(男女)を招いてワイン会をした。

2人とも酒には滅法強く、しかも繊細な飲み手である。



さて、3人で3本。何を開けるか?

ワイン会は数時間という時間の中で完結してしまう。

24時間後がピークになるであろうブルゴーニュのグラン・クルは、1人でブツブツ言うための酒で、

このような会にはそぐわない。



今回のチョイスは常識的ではあるが、3本とも状態は申し分なく、見事な好対照をなしていた。

まさに亭主冥利に尽きる(自画自賛)。

何れもこのブログではおなじみのワインだが、ボルドーを代表する1本に対し、ブルゴーニュは

新し目の1本と古酒とし、3本同時に開栓した。






シャトー・ラフィット・ロートシルト(ボルドー ポイヤック) 1991

購入日    2001年頃

開栓日    2005年12月25日

購入先    不詳

インポーター メルシャン

購入価格   15000~18000円くらい



先日97を開けた時には、2時間ほどでブーケが爆発し、そして枯れていく様が目の前で展開された。

こんな短時間でのドラマティックな展開は、飲み頃のオフヴィンテージでしか体験できないと思う。



この年のボルドーもオフヴィンテージであり、飲み頃を過ぎていることを少し懸念したが、

それは杞憂であった。

しかし残念ながら、今回は格調を保ったまま豹変することはなかった。



こういう高いレベルのボルドーを開けて、凡庸であると評するのは生意気であると自覚しているが、

正直退屈であると感じる。






ドメーヌ・ドルーアン・ラローズ クロ・ド・ヴージョ 1999

購入日    2004年12月

開栓日    2005年12月25日

購入先    かわばた

インポーター 日合商事

購入価格   7980円



この夜は、性格の異なる2本のブルゴーニュの競演が見物であった。

つい先日同じワインを開けて「痩身の美女が薄衣で舞う」
と書いた。

しかし、今回は舞わなかった!



抜栓してすぐは、フルーティで軽やかなアロマがあり、先日と同じ展開になると思われたのだが、

美女は舞い上がらずに地面に降り立ち、真っ直ぐにこちらを見据えて両手いっぱいの花束を差し出す。



開栓後1時間を過ぎた頃からどっしりとした濃い味わいが現れ、この畑の地下に深く根ざした

ブドウの樹から収穫された実が、舌の上を転がる。

同席した2人は相当なワインの飲み手だが、2人とも希有な体験であるという。



あまりに品質が安定しないこの造り手を、わたしは最近「裏切りドルーアン・ラローズ」と

呼んでいる。

この夜は良い方に裏切られたから良かったものの、同じ時に同じところから購入したワインが、

こうも状態が異なると、もう何を信用したらいいのか分からない。



しかしこのクロ・ド・ヴージョなら極上の畑からのワインであると納得できる。

そしてこの価格は、驚くほど安いことは間違いない。






ドメーヌ・デュシェ ボーヌ 1er Cru サン・ヴィーニュ 1984

購入日    2005年10月

開栓日    2005年12月25日

購入先    湘南ワインセラー

インポーター モトックス

購入価格   2980円



そして最後の1本は、ooisotaroさんが紹介
して下さったワインである。

このワインについては、10月のブログにも書いた。

「無きドメーヌのためのパヴァーヌ」




この時の印象はooisotaroさんの感想に違うことはなかったが、今回も同じであった。

開栓直後には、そっけない木の香り。枯れて頼りない味わいの中から、30分を過ぎる頃から

旨味成分が現れ、イチゴのような甘みを感じるようになる。



古酒なのでふくよかさはないが、20年を越えてこの「口に残る完熟した甘み@ooisotaro」は

実に魅力的だ。




この夜も気が付けば7時間。日曜日なのに、日付が変わって解散となった。

わたしと後輩の大学教授(男性)は、翌日は朝から晩まで年末の忙しい外来診療がある。

後輩の女性の方は、翌日昼にメールがあって無事が確認できたが、

教授の方は大学から患者さんを送ってきて、無事仕事をしていることが確認できた。



良いブルゴーニュなら、二日酔でも幸せだ。これが今回の結論。