ある新聞に庄井良信氏は「弱さへのまなざし」の中で、「失敗を恐れる~間違う権利を奪われて」と書いておられる。失敗することを恐れる子どもの登場は、もう二十年も前から言われているが、今日ほどそのことを痛切に、感じる時代はないかもしれない。食べ物さえも初めてのものは食べようとはせず、初めての遊びは、入ろうともしない。


 それは正解を求める親たちの子育てによって、プライドだけが強くなり、失敗を恐れ、「間違ったらどうしよう」といつも恐れているからだ。入園当初の幼児たちにも「間違ったらどうしよう」という恐れ、新しいことへの恐れが見受けられるのはかわいそうなくらいだ。

 そんな園児たちも、年長の子が「うずまき鬼」でジャンケンで何度も負けて自分の陣地に帰ったり、「靴とり」「うどで自分から鬼になって、何度も平気で靴を取り合ったり、んつるつる」で鬼の側に何度もなったりしているのを見ていると、自分もしたくなってきて、恐る恐る入ってきて、やはりジャンケンで負けたり鬼になつってしまったら、抜けた」と辞めてしまったり、鬼になっても今度は交代できずに泣いていたりするが、三回目にもなると、少しずつ喜んで遊び始めるようになる。


 それは、集団伝承遊びが四歳の幼児にもぴったりの遊びとなるよう、適宜工夫が可能だからであり、失敗しても面白いということを教えるからだ。例えば「靴とり」では、弱い子が鬼になってもタッチしやすいように円を小さくしてやると、鬼になりたがらなかった子も、あまり追いかけないでもタッチできるので、全員をタッチできたという満足感に浸れる。

円周を大きくするのは、大分なれてからで良い。


 こうして、サイズの決まっているスポーツと違い、集団伝承遊びは、弱い子どもたちに応じた線の引き方ゃいわゆる「ごまめ」ルールなど、さまざまな臨機応変の対処をすることができる。

 すると幼児も「間違ってもいいんだ。何度鬼になってもいいんだ」ということを肌で知り、自ら失敗を恐れない子どもにどんどん変わっていく。集団伝承遊びが、自分たちは弱いそのままでいいんだという勇気を幼児に与えてくれる。


 ーーー玉城豊先生著 「平安を伝える」~子育て講演エッセー集より~

集団伝承遊びの知的発達

身体をぶつけあうような遊びを

制限の中での動き

もっと集団伝承遊びを

順番で悪者になるには(2)

実感の訓練としての集団伝承遊び

柔軟性と巧緻性と敏捷性を

耐性を育てる

遊び  約束ごとの世界

やりとりを楽しむ

人生からのチャレンジ

ゆったりと流れる時間を

負けても立ち向かう勇気

実際に見てもらうのが一番

人権同和教育にジャンケンを

集団伝承遊びの復活を

うどんつるつるの遊び方

遊び・遊び・遊び

遊びこむときと場の必要性

なが馬の思い出

地面に線を描く遊びを

繰り返し伝えてこそ

ルールを変える