オチつき大五郎え日記
年賀状のご注文承り中




どーも。

この記事では、四の五の、もう言いません(汗)

『エンディング』の記事のほうで

解説という名の『言い訳』を語りたいと思います(笑)


告知したとおり、この記事のあとに

『外伝の外伝』を綴ってあります。

『エンディング』の記事の前に見て、

楽しんでいただければ幸いです(´▽`;)


では・・・とうとう最後になりました。

『誰にでもあった昭和のフィクション外伝』

最終話(23話目)を、どうぞ(^o^)/






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泣きに泣いた体育の授業が終わり、

この学校でのボクの生活は終わった。

イシカワ先生に花束をもらって、
みんなに見送られながら、
ボクは父さんと母さんと3人で帰ることになった。


その帰り道、いつもなら無関心で
一切、ボクのことに口を出さない父さんが


「・・・今まで、すまなかった。」


と言った。
ボクや母さんに顔を向けずに。
父さんが謝ったのは、初めてだ。


「もう転勤は決まってしまっているし、
学校にも手続きしてあるから、今回の引っ越しは
回避できないが、これからは、もう
転校させないと誓おう。」


「あ、あなた・・・。」


父さんは、突然、そんなことを宣言した。
いきなりだったから、びっくりしたけど、
ボクはとても嬉しかった。

でも・・・


「あの、その・・・父さん・・・。」


「ん?」


「ボ、ボクなら、へいきだよ。
どこに行っても、だいじょうぶだよ。
それよりも・・・父さんや母さんと
はなればなれになるのはイヤだよ・・・。」


ボクは、そう言って、泣いてしまった。
それを聞いた母さんも泣き始めた。
そして、父さんも・・・


「今まで、ツラい思いさせてたんだな。
本当に、すまなかった!」


そう言って、振り返り、
ボクを抱きしめてくれた。



オチつき大五郎え日記



あれから・・・






ボクは、福岡に引っ越したあと、
一度も転校することはなかった。
子供の頃は、よく分かっていなかったけど、
父さんが会社に頼んで、転勤する部署から
はずしてもらったらしい。
引っ越してから、しばらくは
居心地の悪い親戚の家に
お世話になっていたけれど、父さんは
夢のマイホームを建てて、
今でもそこに母さんと暮らしている。
ボクは全寮制の大学へ進んだ時から
家を出て、今でも
たまに帰る程度になっている。






もう・・・
あれから、20年の歳月が流れた・・・。






ボクのところに、一通の
『同窓会の案内』のハガキが届いた。
差出人は、イシカワ先生だ。
正確にいうと、ボク宛てに届いたものじゃない。


「ダイー、明日の準備、出来とるとー?」


「いや、まだだ。」


「またなんか忘れ物してても知らなかからねー。」


「はいはい。」


「『はい』は一回!」


「うっ・・・・はい・・・。」


自室にいながらボクは、
リビングにいる彼女に注意された。


ボクは3年前くらいに結婚した。
彼女と結婚するまで、長い時間をかけて
お互いの絆を深めていった。


彼女に出会ったのは、中学校の時。
同じクラスで、隣りの席になったことが
キッカケで、お互いのことを
よく話すようになって・・・。
よく聞けば、彼女も親戚の家を
転々とタライマワシにされていた。
そんな共通点を見つけ、お互いに
親近感を感じるようになっていった。
でも彼女の場合は、小学校のころに
母親を亡くして以来、
小さい弟や妹の世話をしながら

勉学に励んでいたから
ボクのような両親の元でヌクヌク育った
甘ちゃんとは違っていた。
情けない話だが・・・
男のボクより強くて、たくましくて、頼りになる。
そんな彼女がたまに、困った顔や泣き顔を
ボクにだけ見せていた。
似たような境遇ということで、
なんでも相談し合っていたら、いつの間にか
お互いに好きになっていた・・・。
馴れ初めは、そんな感じだ。


「また、その写真見とると?」


彼女がボクの部屋へ入って、そう聞いてきた。
ボクはボンヤリと
机の上の写真立てを見ていた。


「ん、まぁね。
みんな、変わっちゃってるだろうなぁって。」


「一番変わったのはダイやと思うけどね。」


「そうかな? ボクは全然変わってないと思うけど。」


付き合っている間も、お互いのことを
話し合っていて、すべて分かっていたつもりだったけど、
結婚してから分かった新事実があった。


「ワタシもみんなん会うの久々だし、
だれ?って言われたらどうしようとよ。」


「いや、きっと・・・みんなは覚えているよ。
イシカワ先生のように。」


「あ、ダイ! 先生におうたら
イシカワ先生って呼んやダメやけんね!
今は『ヤマグチ』なんやけん。」



オチつき大五郎え日記


彼女の旧姓は・・・『カワダ』さん。


単なる偶然というか、奇跡というか・・・。
彼女は、ボクの人生を変えた『あの学校』の、
『あの4年3組』の生徒だったのだ。
ボクが転校する1ヶ月前に、
九州地方へ転校していった女子生徒だった。
そう、ボクが、あの教室で使っていた机と椅子・・・
学校の備品ですら大切に扱う女子生徒・・・
それが彼女だったのだ。


「それにしても、えらい早く分かってたら、
みんなば結婚式に呼びたかったとに。」


「それはボクのセリフだよ。まさか、ずっと
イシカワ先生と文通してたなんて、
結婚してから初めて知ったんだから。」


「言ってたつもりやったんやけどね、えへへ。」


彼女は、4年生のころから、
ずっとイシカワ先生と
手紙のやり取りをしていたらしい。
両親を亡くして大変だった彼女を
ずっと手紙で励ましていたイシカワ先生。
彼女もボクも、本当に良い先生に
出会えて幸せだとつくづく思った。
ただし、ボクは転校してから、一度も
先生とも、みんなとも、連絡したことは無い。
お互い連絡先を交換してなかったからだ。
だから、ボクにとって
彼女に出会えたことは、まさに幸運だった。


「今さらだけど、
ボクがいきなり同窓会に行っても大丈夫かな?」


「ふふふ、大丈夫どころか、
きっとみんな喜ぶわよ! ワタシも楽しみ!」


「『喜ぶ』じゃなく、『驚く』の間違いだろ? ふふふ。」


彼女とイシカワ先生だけが、
ボクが参加することを知っているのだ。
イシカワ先生お得意のサプライズなんだろう。


「いつまでも写真見てなかで、
明日出発なんやけん、ほんまに準備しなさいよ。」


「分かった。」


彼女はそう言って、ボクの部屋から出て行く。
彼女に準備の催促をされながら、
ボクはまた机の上の写真立てを見た。
ずっと連絡は取り合ってなかったけど、
ボクの心の中には、いつだって
『4年3組』のみんながいた。
そして、『6班』のみんなが応援してくれていた。


「ダイー、コタローのお風呂、お願ーい!」


「あぁ、今、行くよ。」



オチつき大五郎え日記




明日、ボクは「帰る」んだ。




帰ろう・・・みんなが待つ、あの温かい場所へ。







オチつき大五郎え日記






おしまい。



*この作品を、やまぐちさんに捧げます。*


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→『外伝の外伝


この物語の余韻に浸ったまま終わりたい人は

→『エンディング~やまぐちさんへ~






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「ハッピーエンドー!」と「ことりーず」。


これがハッピーなだけに

『外伝の外伝』は余計だった気もする・・・( ̄ー ̄;