「就社志向」の研究　なぜ若者は会社にしがみつくのか＠常見陽平

制度上、構造上の欠陥を抱えていると指摘される

新卒採用システムが

長期にわたって存続するのはなぜか

「就社志向」の研究なぜ若者は会社にしがみつくのか (角川oneテーマ21)/角川書店: ￥820; Amazon.co.jp

いわゆる”元リク”で、現在は人材コンサルタントとして活躍され
『「すり減らない」働き方』などの著書も多数出版されています
常見陽平さんの新刊です
タイトルは、『自由な働き方をつくる「食えるノマド」の仕事術』と
真逆の感じで、へへぇ～って思いながら読みました

昨今、会社組織の限界を感じ、「ノマド」「フリーランス」など
もっと自由に自分らしさを提案するような働き方が増えていって
企業なんかに就職するのはもう古いなんて思いがちなんですが
この本は、そんな安易な考え方を真逆から指摘をする
だから、新卒採用のシステムは存続するんだ
なかなかもって、なるほどなぁと思うわけであります

サラリーマン、OL、派遣社員などなど、組織の一員となって
日々奮闘していらっしゃる方々は多いと思います
会社、またはその組織からお給料をいただく代わりに
自分の貴重な時間をつかって対価を得るという仕組み
この仕組みがすでに古いと「ノマド」「フリーランス」などの
働き方が出てきているように思うのですが、そもそも
自分が何者でどんなスキルがあるかなんて分かりもしないうちに
「ノマド」「フリーランス」なんて言っている場合でもない
自分のできることを世の中に提示していなければ

食べることすら難しくなってきてしまうわけであります

その点、この本の指摘にもあるのですが、会社の一員となって働く
いいですよね、そんな自分にも給料がもらえるわけですから
まぁ、仕事がデキるデキないなどあるかもしれませんが
個人事業主になるなんて、とってもリスクだわって思っている
私みたいな人間には、この仕組みは重宝するわけであります

確かに、新卒採用すべてにおいて

いい仕組みというわけではありません
この考えをやめない限り、日本がグローバルに戦えないという指摘も
そのとおりではないかと感じます
かといって、いきなり武器すらもたずに世界に放りこまれたとしたら
家族のいる私なんか、冷や汗出まくりってことになりかねない

まずは、今の採用の仕組みをきちんと理解することから始める
この本の意義はそんなところにもある気がします
よく分かっていないのにもかかわらず、新卒採用の仕組みを
批判するのは確かに違うかなとも思うんですよね
そこは専門家の意見を聞く、知らないことは愚直に学ぶ
対比する意見をそれぞれ聞いてみて、学んでみて、自分なりの
考えをまとめていく、『新書3冊でできる「自分の考え」のつくり方』なんて
本も出版されていますけど、その考えに固執しずぎない
柔軟な考えというのは、こうした日々の積み重ねの末の結果と
いうことに改めて気づかされるわけでした

普通に考えたら、何ももたない人が起業するって、自然じゃないですよね
かといって、我慢して働くのがいいとも思えない
ようは、自分は何をしたいのかどうやって生きたいのか
自分の人生は自分で考えて行動すると、そういうことでしょうか

「指示待ち人間」が増えているなんていいます
その方がラクですからね、自分に責任もないし
それはそれでいいと思えばいいのでしょうが、人の親となった
今の私には、そんな家族共々、他人の指示に委ねるなんて
恐ろしくってできませんね
「ノマド」するにも「フリーランス」するにも、会社で働くにも
それぞれのいいところ、悪いところをきちんとしたカタチで理解をし
議論されていることにも自分なりの意見を持っていけるよう
この「就社志向」側からの意見は、本当に貴重だとも感じました