絆 ( 36 ) | 君がために奏でる詩

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絆~三十六話~






「双子を・・・助けてください・・・・」


~数分前~


「お願い・・・っ

頑張って!」


容態が急変して、母子共に危険な状態。

看護師を旦那さんの元に行ったけど・・・

早くしなきゃ、全員死んじゃうわ・・・!


「アカチャ・・・ッ・・タスケ・・・ッ

ハア・・・アカチャン・・・・・・・タスケテ・・・・・・・」


ー私の腕を握って、うわ言のように言い続ける。


「意識は!?」


「まだ戻っていません!」


「呼吸・脈拍数低下してます!」


意識が戻っていないのに・・・なぜ?

こんな場合、旦那さんよりも本人の意思を優先すべき。

私は、


「子供を助けるー「神山さんが双子を優先しろと!」


その声に、驚いて見る。

看護師の女の子は、もう一度言った。


「双子を助けてくれと仰っています」


ドアの隙間から、静かに泣いている旦那さんがチラリと見えた。

私は大きく息を吸って、その場に居たスタッフに命令を下した。


「子供を優先します!

急ぎなさい!」




陵side


僕が言って、どれくらい時間が経っただろう。

あの時の未来さんの意識を失っている姿を見て、決めたんだ。


彼女が命を懸けて守ろうとしているものを、僕も守らなければと。

それが彼女の為になるー。


でも、体は正直だ。

涙が止まらない。

僕は、双子を助けると言った時点で、未来さんを殺したんだ。


「陵くん」


ビクッとさくらさんを見る。

さくらさんは、さくらさんの目にも、涙が溜まっていた。


「うちな・・・うちも、双子助けろって言うと思うんや・・・

未来の・・・願いやから・・・せやから・・・殺したとか・・・

思わんでな・・・?」


「私もそうよ、陵くん」


静かに、僕の耳に入ってきた。

その声の主は・・・


「お母さん・・・」


未来さんのお母さんとお父さんだった。


「母親はね、子供のことを何に代えても守りたいの。

未来も、きっとそれを望んでた・・・」


「だから、自分を責めるんじゃないよ?

それに・・・まだ死ぬと決まったわけじゃないんだから。

勝手に殺したら未来に怒られてしまう」


ははっと悲しそうに笑うお父さん。

目をつぶっている、お母さん。


「そうですね・・・・」


その時、未来さんのいる部屋から・・・泣き声が。

赤ん坊の、泣き声。


誰もが呆然として。

永遠にも思えた沈黙の後、中から・・・

看護師さん二人が出てきた。


「無事に生まれましたよ。

ーどうぞお入りください」


促されるまま入る。

そこには、未来さんと、二人の赤ちゃんがいた。


「女の子がお姉ちゃんで、男の子が弟君です。

そして・・・」


看護師さんの言葉をさえぎるように放たれた忙しい声。


「体力も限界です!

先生・・・っ」


「モルヒネと鎮痛剤を投与して!

お願いだから・・・意識を戻して!」


少し離れたところで、必死に動いている人たち。

未来さんの顔は丁度見えない。


「失礼ですが、一旦お戻りください!

神山さんの処置は、隣の部屋・・・自室でさせてもらいます!」


隣は、未来さんの病室。

そこでー?


「器具は一通り揃えてあるからな」


龍羽くんの声に、反応も出来なかった。

ただ、慌しく動く未来さんと、運ばれていく赤ちゃん。

きっと服を着せたりするんだろう。


「未来さん・・・・・・」


        ~続く~



゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚


随分と批判が多いと思います。


三人の命はダメですか?という声の皆さん!


すみません(´・ω・`)


嫌なら見なくても構いません。


続きは、涙腺もろい人は覚悟を!w


いい意味か悪い意味かは・・・お楽しみで^^