絆 ( 32 ) | 君がために奏でる詩

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絆~三十二話~






それから、二週間が経った。

赤ちゃんは、多分ニ卵双生児だろうって。

女の子と、男の子だよね?

そうと決まったら・・・!


「ごめんね、さくらちゃん、龍!」


「ええよー別に♪

それにしても、買い物って何買うん?」


「陵にも秘密なんだろう?

・・・なぜだ?」


キョトンと見るさくらちゃんと、訝しげな顔をする龍。

あたしはにこっと笑う。


「行ってからの、お楽しみ!」



数時間後。


朝に出たのに、もう夕方で。

隣には、荷物を持った龍。

結構多いよね、これ。


「陵にはナイショにしてね?

驚かせたいから」


「ああ、分かった」


あたしが唯一持っている袋の中身は、主にレターセットがこんもり。

60枚以上はあるかな・・・?


「もう病院の前だから。

じゃあね!」


「うん。

ちゃんと真っ直ぐ帰るんでー?」


「分かってるー」


トコトコ歩いて、ロビーに入る。

さくらちゃんたちは、それを確認して帰っていった。


「・・・よしっ!」


あたしも病室に戻る。

そこに待っていたのは、陵。


「・・・おかえりなさい、未来さん」


「た、ただいま」


・・・今日は来ないでって言ったのに!

分かる・・・?

さくらちゃんたちとのお出かけ、実は陵には言ってない。

検査だから、とか理由つけて。


「どこに行ってたんですか・・・?」


優しい、けど怖い。

黙ってると、陵が近づいて、持っていた袋を奪い取る。


「あっ!」


「手紙と封筒と・・・カラーペン?

なぜこんなものを・・・」


あたしを射抜くように真っ直ぐ見る陵。

夕日が陵を照らして、真っ白な部屋もオレンジ色に染まってく。


「さくらちゃんと龍と・・・買いに行ってたの。

病院の人と仲良くしてもらってるから・・・書こうかなって」


「さくらさんたちと?

僕も一緒じゃダメだったんですか・・・?」


「そう・・・じゃないけど・・・

でも・・・」


口ごもるあたしを横目に、陵は袋をテーブルの上に置く。

サラッとあたしの髪の毛に指を通して、

静かに聞いた。


「危険な場所や行動はしてないですよね?」


「・・・してない」


「本当に、さくらさんたちと行きましたよね?」


「・・・うん」


「一人で行ってませんよね?」


「・・・うん」


なら、いいんですって優しい声と目で言ってくれた陵。

・・・陵の、こうゆうとこが好き。

いっつもあたしを想ってくれる。

あたしが何か隠してるのが分かっても、何も言わない。

危険じゃないことだったら。


「ですが、僕も頼ってくださいね?

もう夫婦なんですから・・・」


その言葉に、頬が自然と緩む。


「陵のこと、頼ってるよ?

でも、無断で外出したのは・・・ごめん。

これから、ちゃんと言うから・・・」


陵は、はい、と頷いて。


「今日は泊まりましょうか・・・?」


「ううん、大丈夫。

だけど・・・・」


きゅっと陵の服を握ると、ぎゅって抱きしめてくれた。

・・・あったかい。


「僕が寂しいので、傍にいさせてください?」


「・・・うん」


あたしが寂しいのに。

陵と、一秒でも長く一緒にいたい。

そんなワガママを、優しく受け止めてくれる。


「・・・大好き」