絆~三十一話~
三日後、さくらちゃんたちが帰ってきた。
「はぁぁぁぁ!?
いっいつや!」
赤ちゃんのことを話したら、予想以上の驚きようで。
龍も、顔だけは驚いてる。
「分かったのは、さくらちゃんが出発した日でー・・・
今5ヶ月」
さくらちゃんは、口をあんぐり開けてお腹を見る。
「ごかっごかっ・・・
っちゅうことは、あれやろ?
あと半年も経たんで産まれるやんか!」
陵もにっこり微笑んで、あたしの後ろに立つ。
「そうですね。
それに、双子ですよ^^」
「双子・・・!?」
龍もすごい驚きよう。
・・・無口だけど。
「一卵双生児か?二卵双生児か?」
いちらんそうせいじ、にらんそうせいじ。
何それ。
あたしの表情を読み取ったのか、龍が苦笑いしながら言う。
「一卵双生児は、一つの卵子に二つの精子がくっついて産まれる場合だ。
二卵双生児は、二つの卵子にそれぞれの精子がくっつくことだ」
つ・ま・り・・・?
「一卵双生児の場合は、同じ遺伝子を持って生まれてくるので
性別、血液、顔も非常に似通ってくるものなんです。
ですが、二卵双生児は、別々の固体ですから、性別も血液型も、違う場合が多いんですよ」
あーあれでしょ。
一卵双生児=陵と優くんみたいな場合。
二卵双生児=さくらちゃんと龍みたいな場合。
「なるほどねー」
「・・・理解するの遅すぎやわ、あんた」
さくらちゃんも、フリーズ状態から回復したのか口を開く。
「でも、平気なん?
体・・・」
遠慮がちに問うさくらちゃん。
あたしはお腹をさすりながら、
「最悪の場合は、どっちかの命を選ぶことになるんだって。
それでなくても・・・産んだらあたしは寿命縮めちゃうらしいし」
腫瘍に蝕まれた体。
それはもう、産むだけの体力も・・・条件も揃ってない。
後、半年しか生きられないかもしれない。
でも、それでも・・・。
「絶対に産んでみせる。
あたしが、この子たちを守らなきゃ・・・!」
さくらちゃんは、ふうっとため息をついて。
「なんや、もう立派なお母さんの顔やん。
元気な子、見せてな?」
「うん!」
頑張って元気に産んでみせるから。
あと、半年の間・・・
待っててね?
「あと、さくらちゃん・・・
おねがいがあるんだけど・・・」
「なんや?」
くすっと笑って、耳元で話す。
ええでー♪って、快く了承してくれた。
何かは・・・次のお楽しみ。