絆~十六話~
相変わらず、あたしたちは同じ部屋。
声が出るようになったからもういいよ?
って言ったら、周囲が猛反対。
陵じゃなく、周囲がね!!
あの無口な龍までもが、
「何かあったとき助かるだろ」
とか言うし!
その一言で全てが決まったよ・・・。
さすがに、ね?
恥ずかしいセリフ言っちゃったから正直逃げ出したい。
いつもだったら、そのままお別れで次の日リセット、みたいなさ。
だから意識しちゃうっていうか・・・。
チラッと陵を見ると、目が合って。
慌てて逸らす。
・・・ダメじゃん、あたし・・・。
「未来さん、部屋着きましたよ」
ご丁寧にありがとう・・・。
部屋の前まで来たことすら気づかなかったよ・・・。
パタンと閉まる音があたしをより緊張させる。
声が出るから恥ずかしくても言わなきゃだし・・・。
出るようになったら嬉しいんだけど、戸惑う!
「り・・・陵!」
「はい?」
う゛・・・。
「な、何も無い」
「?そうですか」
パパッと着替えを持って、シャワーを浴びに行こうとする。
すると。
ぐっと腕をつかまれて。
「った・・・
なに?」
「・・・・・」
無視ですかい。
痛いんですけど・・・。
陵の顔が髪の毛に隠れて見えないし。
ふっと顔を上げた陵。
壁にもたれかかるようにあたしは、陵に押し倒される。
なになになにっ!
「りょ・・・っ」
「もう無理ですよ・・・
僕だって限度ってものがあるんですよ?」
「なに言って・・・」
「あんなセリフ言われた後に二人きりってどれ程の忍耐力がいるか・・・
未来さん分かります?」
真面目な顔で言う陵。
カッコイイ・・・じゃなくて!
「知らないに決まって・・・ん」
拒否できない自分に腹が立つ。
けど・・・どこかで期待してた自分もいて。
声が出るようになったから・・・
陵の望むことに応えてあげたいって。
あたしが目覚めたのは、次の日の昼頃だった。