絆 ( 15 ) | 君がために奏でる詩

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絆~十五話~





声が出たから、皆お祭り騒ぎで。

陵が自分の両親に、さくらちゃんがうちに電話して。

おかげで、あたしの両親と陵の両親が居合わせて。


なんだろう、この・・・。

桜咲家、神山家、唐沢家の全員集合図は・・・。


「未来ー!!」


「う、わっ!?

お父さん離れて!!」


抱きついてくるお父さん。

みんな見てるし!

それはもう、微笑ましそうな顔で。


「ほーら、離れて!

未来も嫌がってるでしょ!」


「いやが・・・!?

母さん何てことを言うんだ!」


「いや、ホントだし」


ショックを受けるお父さんを横に。

すぐ傍でさくらちゃんの悲鳴が。


「ぎゃー!

ちょ・・・っ陵くん何とかしてや!!」


「わー!

父さん何してるんですかっ!」


可愛い女の子を目にして勢いよく飛びつく陵のお父さん・・・。

陵が慌てて引き離しに行こうとする。


「女の子ぉぉぉ♪」


「・・・アナタ、何しているのですか?

人様に迷惑をかけてはいけませんよー」


おっとりとした声が聞こえた途端。

お父さんは直立不動の体制に。

にこにこと微笑みながら、


「ごめんなさいね、さくらさん。

そしてお母様」


「いいえぇ。

どこの家も女の方が強いんですわね」


「ふふ、そうみたいですね」


なんか美人さんが微笑みながら話してるよ。

・・・怖いんだけどね。


さくらちゃんが、ゲッソリした顔であたしの方に歩いてくる。


「死ぬかと思ったわ・・・」


「ナンパはいつものことだろう、さくら」


「せやけど・・・

オッサンは慣れへん・・・」


「すみません・・・父さんが」


「気にするな。

さくらはこんなことでへこたれない」


うん。

それには同感。

いつの間にか、みんなコップを持って。

さくらちゃんが、


「未来の声にカンパーィ!」


「意味分かんない!!」


あたしの声に乾杯!?

どうかしてるよ、さくらちゃん・・・。

それに乗る皆さんもどうかと思うんだけどね!


どんちゃん騒ぎとなった頃。

陵がこっそりとあたしを廊下に連れ出した。


う・・・。

なんか声が出るようになって会うのって緊張する・・・。


『支那都比古神よ』


「えっ?」


ぐっと抱き寄せられてそう唱える陵。

これって・・・まさか・・・!


「ぎゃあああああ!

おっ降ろして陵!」


窓からスルリと抜け出て、病院の屋根に到着。

せ、せめて屋上に・・・。


「未来さん、もう大丈夫ですよ」


離れてもいいよって意味だと思う。

けど・・・。

離れたくない。

ぎゅぅぅっとしがみついてると。

ふふっと笑って、陵は言った。


「甘えん坊ですね、未来さん」


「・・・悪いか!」


「いえ、可愛いなぁって・・・」


「それ余計!/////」


恥ずかしいじゃん。

今更だけどさ。


すると、陵はあたしを離す。

そして覆いかぶさるようにして、あたしにキスをする。


「・・・んっ」


唇が離れると、陵は自分の顔が見えないようにぎゅっと抱きしめた。

耳元で囁くように言う陵。


「今、すごい幸せなんです。

未来さんが、僕の声に返事をしてくれる。

手を伸ばせば届く距離にいる。

当たり前だと思っていたことがこんなにも大切なんだって

思い知らされました」


・・・ホントだね。

辛い想いさせちゃったよね。


「辛い想いさせて、ごめん・・・

でも、そんな思いさせても、

陵の傍にいたいって、ずっとずっと隣に居たいって・・・

思っていいのかな・・・?」


陵には、幸せにさせてくれる人を見つけて欲しかった。

でもね、あたしには無理だった。

耐えられない・・・。


「前に誓ったとおりです。

生涯あなただけを愛します。

僕だって・・・あなたの傍にいてもいいんでしょうか?」


「当たり前じゃん。

ずっとずっと・・・傍にいて」


命が途絶える最後の瞬間まで。

陵といたい。


「陵のこと、誰よりも大好きだって自信あるから。

今も・・・これからも」


悪戯っぽく笑うと、陵はほんのりと頬を赤く染めて。

優しく微笑んだ。


「本当に僕は幸せ者ですね・・・」


何もかも覚えておきたい。

優しく笑う顔も。

あたしを呼ぶ声も。

後悔したくない。


ズキンッー


体中が痛い。

きっともう、鎮痛剤なんて効かなくなってくると思う。

どんどん迷惑をかけると思う。

それでも・・・。


「ずっと傍にいてね、陵」


そう願い続ける。

奇跡を起こす。

あたし自信の為に・・・。