第168回 ごんべえ君のこと | ビーグルトムのいえ

ビーグルトムのいえ

ご訪問いただき、ありがとうございます。
わがやのビーグルのなまえは、性別を無視して代々「トム」。
そんなビーグルトムとの暮らしを気ままに綴っています。
どうぞ、よろしくおねがいします。ぺこり。


きょうは、ごんべえ君のお話です。


長文ですし、楽しいお話ではないことを、あらかじめお伝えしておきますね。






ごんべえ君の本当の名前はわかりません。


たった半日だけうちの子だったオス猫・・・。


名前がないのはかわいそうだから、


「名無しの権兵衛」からとって、ごんべえ君と名づけました。






ひと月ほど前の出来事です。




いつもの公園で朝のお散歩。


そろそろ家に帰ろうと門の方へ向かっていたら、


ひとりの若い女性が自転車に乗って公園へ入ってくるのが見えました。


自転車は乗り入れ禁止なので、


困った人だなぁと、私はその女性を見るともなしに見ていました。





女性は、公園に入ってすぐの植え込みの横に自転車を止め、


しゃがみ込んで、何やらエサのようなものを置いている様子でした。


朝から何をしているんだろう?と、そのままぼんやりと眺めていたのですが・・・。




するとその女性は立ち上がり、自転車のところへ戻ったかと思うと、


おもむろに前カゴから一匹の猫を取り出し、


その猫を植え込みに置くやいなや、大慌てで自転車で走り去ってしまったのです。



あっという間の出来事でした。




遠目にも大人の猫であることは見て取れたので、


私はトムを連れてその場所へと急ぎました。



ビーグルトムのいえ




公園の植え込みの縁石のところに、猫(以下ごんべえ君)はうずくまっていました。


白地に茶色のブチ、イエローの目をしたきれいな子。


ただ猫素人の私が見ても、元気がなさそうな感じでした。





もし捨てられた瞬間を見ていなければ、


パッと見はきれいで、大人の猫でもあることですし、


ノラ猫が寝ているようにしか見えなかったと思います。




でも、こんべえ君が捨てられたのは事実。


何とかしなければ・・・・でもトムを連れているのでどうすることもできません。


なのでとりあえず、一旦家に帰って戻ってくることにしました。






ビーグルトムのいえ





公園に着いたのは、それから20分後ぐらいだったでしょうか。


ごんべえ君は置かれていた場所にそのままの姿でじっとしていました。


抱きかかえてバッグの中へ入れた時、


か細い声で「ミャーン」とないたのを今でも覚えています。




ともかくも、トムのかかりつけ医へ自転車でダーッシュ!



獣医さんでは、まず看護師さんが体重と体温を測ってくれたのですが、


体温計を見ては、「あれ?」「あれ?」といいいながら何回も測りなおしているんです。


変だなー?何をしているんだろう?と思っていたら、先生がやってきて、


体温計で測れないほど、体温が低下しているようですと告げられました。




それから診察していただいたのですが、


ごんべえ君は、相当な高齢であること、


ノミもいないし、汚れてもいないし、おそらく飼い猫だったであろうということ、


そして検査をしていないので原因は断定できないものの


もはや治療によって回復が見込めるような状態ではないことなど説明を受けました。





よくなったら、何とかして飼い主さんを見つけなければと思案していた私は、


自分の認識の甘さに愕然としました。






獣医さんと相談した結果、


対症療法でしかないものの、体温が低下しているので温かい点滴をしてもらって


せめて温かいところでゆっくり寝かせてあげるのがいちばんだと思い、


ごんべえ君にはそのまま入院してもらうことにしました。




ビーグルトムのいえ



午後の診察がはじまってすぐに、


心配だったので、もう一度様子を見に行ったのですが


点滴をした後はしばらく声を出していたし、


注射器で高栄養食を与えたら食べて、吐いてもいませんとうれしい報告。


ただ、ごんべえ君にはもう表情がありませんでした。




「またくるからね、がんばろうね」と


額をちょんちょんと突つきながら声をかけて家に戻ったのですが、


それから1時間ほどして、ごんべえ君が亡くなったと電話がありました。





ビーグルトムのいえ




「どうされますか?」と訊ねられたのですが、


やはり家から送り出してやろうと思い、ごんべえ君を引き取りに行きました。






ごんべえ君は、たくさんのお花と、キャットフードと、ひと束のお線香とともに旅立ちました。


元飼い主さんが、ごんべえ君の口元に置いていったオヤツらしきものも2粒ほど入れてやりました。


まぁ、ええ時もあったでしょうからね。




ビーグルトムのいえ



元飼い主さんについては、あえて何も書きません。


書いたところでむなしいだけだし、


私ごときががああだこうだと言わなくても、正義は粛々となされると信じているからです。







当たり前のことですが、ペットは最後まで飼いましょう。


止むを得ない事情が生じた場合は、


最近はいろいろ動物保護団体がありますし、努力して次の飼い主さんを見つけてあげましょう。


それができないのであれば、最初から動物は飼わないでいただきたいと思います。






ごんべえ君に合掌。


たった半日のご縁でしたけど、虹の橋で元気に暮らしてくださいね。


ビーグルトムのいえ






大阪府が発行しているパンフレットに


「動物の飼育を決める前に、次の事を確認してください」


という一文を見つけましたのでご紹介します。



あなたがもし今、動物を飼おうかどうか迷っているのなら、


事前にぜひご一読いただきたいと思います。



1.毎日世話や散歩ができる人がいますか?


2.犬や猫は10年以上生きます。終生飼い続けられますか?


3.猫は室内飼育が原則です。必ず室内で飼えますか?


4.旅行や外出が制限されることを覚悟できますか?


5.飼育する準備は十分できていますか?


6.不妊や去勢手術ができますか?


7.食費、予防接種等の経費は大丈夫ですか?


8.根気と愛情をもってしつけができますか?


9.隣近所に迷惑をかけないように飼えますか?


10.動物が逃げ出したりしたときに飼い主がすぐわかるようにできますか?





長文にお付き合いいただきありがとうございました。


ペタしてね