今年のドラフトの超目玉、東海大・菅野智之(4年・東海大相模)を観戦に平塚球場に足を運んだ。
首都大学リーグの開幕節、第一試合は帝京大対筑波大、第二試合は東海大対城西大というカード。
菅野が「原監督の甥っ子」というのは有名だが、父・隆志氏も東海大相模から法政大に進んだ野球エリート。
父親に加えて、祖父に東海大系列総監督・原貢、叔父に原辰徳という純正の東海大サラブレッドである。
余談になるが、隆志氏も現役時代は投手として活躍したという。
「サイドスローの一二三」(弊ブログ・10年7月26日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-10600174924.html
昨年の大学選手権では決勝戦で東洋大に敗れたものの、 全国大会で次元の違う投球で評価を不動にした。
準々決勝・同志社大戦では、7回参考ながらノーヒットノーランを達成。
続く準決勝・慶応大戦では、4安打17奪三振完封。最速155㌔を記録するなど大学球界の盟主を圧倒した。
更には第5回世界大学野球選手権大会・予選リーグのキューバ戦で自己最速となる157㌔を記録した。
秋の明治神宮大会では決勝で早稲田大に逆転負けで準優勝。春の大学選手権に続き優勝には届かなかった。
大学ラストシーズンの今年は大学日本一、更には首都大学リーグを全勝での完全優勝を目標に掲げている。
「早稲田、明治神宮大会初優勝」(弊ブログ・10年11月26日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-10717205524.html
今日の菅野は、最速150㌔を記録。アベレージでもストレートは140㌔を楽々と超えていた。
110㌔台の緩いカーブを投じた直後に140㌔台のストレート、カットボールが同じ腕の振りから繰り出される。
加えて、高速スライダー、ワンシームも織り交ぜる投球構成は安定感というより安心感に溢れている。
城西大を相手に8回を被安打2、奪三振10で無失点に抑える完璧な内容。
試合前のウォーミングアップでは力み無いフォームから糸を引くような軌道で遠投を繰り返していた。
軽々と投じているが、球筋はヤマナリの放物線ではなく直線的な軌道を描いていた。
菅野の投球は力感と球威・球筋がシンクロしない。
同年代の選りすぐりの選手のみで構成される大学レベルでの余裕溢れる投球は別格である。
今年に入ってからの菅野を評価したコメントを紹介してみたい。
日本ハム・今成スカウト
「ダルビッシュ級。球に威力があって変化球の制球も良い。ダルになれる資質を持ってるね」
広島・苑田スカウト部長
「超目玉。去年でも早大の3人と澤村のSクラスに入った。頭ふたつくらい抜けてる」
阪神・菊地東日本統括スカウト
「スケールの大きさ、球威、球の角度、制球と文句のつけようがない」
JR東日本・堀井哲也監督
「他の大学生とランクが違う。排気量の大きさを感じる」
巨人は、昨年12月14日の第1回スカウト会議で菅野を1位指名することを早々に決めている。
清武球団代表は「メジャーも注目しているし、そういうところに対抗する意味もある」と説明している。
巨人志望が伝えられた澤村拓一から手を引いた様に他球団は指名を見送ることができるのだろうか。
試合の詳細は首都大学野球連盟・一部リーグ試合速報を参照下さい。
第一試合では07年夏の甲子園優勝投手・久保貴大(4年・佐賀北)が筑波大の先発投手を務めていた。
ストレートは130㌔台と菅野と比較すると物足りないが、高校時代からは力強さが増している。
菅野は高校時代、甲子園を土を踏むことは無かった。一方、久保は夏の甲子園で頂点に立っている。
現在の優勝劣敗、技量の是非を問うのではなく、それぞれが自分の選んだ進路で着実な進化を示している。
各選手の進歩進化を見守ることもアマチュア野球観戦の醍醐味の一つである。