横浜高校の逸材 | アマチュア野球をめぐる旅。

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高校野球を中心にアマチュア野球(ときどきプロ野球)の観戦記。

秋季関東大会の開幕を明日控えた本日は激戦区神奈川を制した横浜の逸材を紹介してみたい。

投手陣はエースナンバーを背負う齋藤健汰、夏の予選でも活躍した一年生左腕・山内達也が主戦を務める。

齋藤は小学生時代から横浜ベイスターズジュニアで活躍。
中学時代は名門・中本牧シニアという神奈川球児のエリート路線を歩んできた逸材。
入学後間もない春季大会決勝(横浜商大戦)でリリーフ登板。伸びのあるストレートを投げ込んでいた。


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横浜のエース齋藤のフィニッシュ


今年の夏の予選では全8試合に登板。東海大相模との決勝戦は立ち上がりを攻略され失点。
四回には齋藤の犠打野選でピンチを広げて山内にマウンドを譲っている。
試合中からベンチで泣き崩れている姿がテレビ中継で映し出されていたのが記憶に新しい。

仙台育英・硬式野球部 創部80周年記念招待試合・慶応義塾戦では僅か2/3イニングで降板。
一年生時の投球が鮮烈だっただけに現時点では伸び悩みの印象は否めない。華麗なる復調を期待したい。


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山内は夏より安定感が増した印象


山内は江戸川中央シニア時代はジャイアンツカップで4強に進出。大会後、日本代表に選出される。
中学生らしからぬ182cm81kgの体躯から140㌔に迫るストレートを投げ込んでいたという。

山内は打者の左右を問わずアウトコースには素晴らしい角度でストレートが決まる。
対してインコースの制球には不安があるように見受けられる。過度に死球を恐れているのだろうか。

変化球はカーブとスライダーを持ち合わせているが、時折高めの甘いコースに制球される。
夏の神奈川予選決勝では東海大相模打線は、高めに甘く入ってくるカーブに狙い打ちを試みていた。
山内攻略の糸口はアウトコースのストレート、肩口から高めに入って来るカーブにあると思われる。


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近藤の送球は低くて鋭い軌道を描く


齋藤、山内をリードするのはキャプテンである近藤健介。

近藤もまた入学後早々、昨春の関東大会でショートの守備位置から公式戦デビューを果たしている。
元来ショートの選手であったが、中学時代からキャッチャーも兼務している。
動きが全く異なり、掛け持ちの利きにくいポジションだけに近藤の高いセンスを感じる。
172cm79kgと体格は恵まれている訳ではないが、打撃でも守備でも中心を任される横浜のキャプテン。


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ショートに入った近藤の守備位置はかなり深い


近藤の特徴は守備での強肩ぶりにある。ショートに入った場合、定位置より深くポジションを取る。
打者の特徴やアウトカウントで多少の前後はあるが、通常の高校生ショートより深めである事は間違いない。

後方に守備位置を取る意図は守備範囲を広げる事にあると考えられる。
ただし、後方に構える事は誰にでも出来るが、内野ゴロを捌く為には俊敏な動きと肩の強さが求められる。

キャッチャーにポジションを移すと、投球練習後には低い軌道で鋭い送球が二塁ベースに放られる。
大きなモーションで送球する為、盗塁阻止に直結するものではないが、走者を尻込みさせるには十分である。


横浜と言えば本格派投手を大型の打撃陣が盛り立て、投打攻守に相手校を能力値の高さで圧倒する姿を連想するが、今季は全く違う印象である。

現時点では高卒即プロ入りするような選手は見当たらないが、堅実で渋みのあるチームである。
特定の勝ち方を持たないだけに相手に衝け入る隙も十分にあるが、柔軟な戦い方に奥行きを感じる。
投打攻守に鍛える余地を残した今季の横浜に渡辺元智監督がどのような成長曲線を描いて行くのだろうか。
来年の夏までこれまでの横浜とはひと味違った楽しみ方をしてみたいと思う。


「横浜は強いのか?」(弊ブログ・10月14日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-10679556493.html


「横浜対桐光学園」(弊ブログ・9月13日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-10646748014.html