第15回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール ファイナル 第4日 および結果発表 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

アメリカのフォートワースで開催されている、第15回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

6月10日は、ファイナルの第4日。

いよいよ最終日である。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、これまでの記事はこちら。

 

1次予選 第1日

1次予選 第2日

1次予選 第3日

1次予選 第4日

2次予選 第1日

2次予選 第2日

セミファイナル 第1日

セミファイナル 第2日

セミファイナル 第3日

セミファイナル 第4日

セミファイナル 第5日

ファイナル 第1日

ファイナル 第2日

ファイナル 第3日

 

 

 

Rachel Cheung (Hong Kong | Age 25)

 

BEETHOVEN Piano Concerto No. 4 in G Major, op. 58

 

瑕もあるが、期待通り存在感のある演奏。

何でもないようなパッセージでも、彼女が弾くと「聴かせる」音楽になるのがすごい。

Hsuの表現が比較的ロマンティックな要素に基づいているのに対し、彼女のほうは、もちろんロマン性もあるのだが、よりはっきりとしたイントネーションと安定した歩みを持っていて、「情感豊かだが流されない」音楽になっている気がする。

この曲にはぴったりの演奏だと思う。

 

 

Georgy Tchaidze (Russia | Age 29)

 

PROKOFIEV Piano Concerto No. 3 in C Major, op. 26

 

意外にも(と言ったら失礼だが)かなりの名演だった。

音の粒立ちがよく、力強さと軽やかさとのバランスも良い。

瞑想的な部分での表現力もあるし、何よりもコンチェルトにふさわしい「華」がある。

 

 

Daniel Hsu (United States | Age 19)

 

TCHAIKOVSKY Piano Concerto No. 1 in B-flat Minor, op. 23

 

この曲にありがちなゴリゴリした演奏ではなく、細部まで入念にコントロールされ、また情感豊かな表現力に溢れた名演。

いわゆる爆演に慣れていると物足りないかもしれないが、そういった演奏の多くに比べても優るほどに、高度に安定したテクニックがある。

 

 

これで、全演奏が終わった。

CheungとHsu、どちらかが優勝すると思っていたが、Tchaidzeというダークホースが現れた(プロコフィエフの協奏曲第3番は、こういったことが起こりやすい曲のような気がする)。

こうなると順位をつけるのが大変難しいが、私としては

 

ゴールド: Rachel Cheung (Hong Kong | Age 25)

シルバー: Daniel Hsu (United States | Age 19)

クリスタル: Georgy Tchaidze (Russia | Age 29)

 

とした。

CheungとHsuは、逆でも良い。

Tchaidzeが優勝することも十分ありうると思うけれども、そういうどんでん返しは個人的にはあまり起こってほしくないという願いを込めて、このような順位にしておいた(何も彼のこれまでの演奏が悪かったわけでは決してないのだが、とはいえもし彼が優勝したならば、最後のコンチェルトで持って行った感はあると思う)。

 

 

 

さて、実際の結果は下記のようになった。

 

【ファイナル結果】

ゴールド: Yekwon Sunwoo (South Korea | Age 28)

シルバー: Kenneth Broberg (United States | Age 23)

ブロンズ: Daniel Hsu (United States | Age 19)

 

うーむ、そう来たか?

けっこう当てが外れてしまった。

Cheungは、瑕があったのがマイナスだったのだろうか。

Tchaidzeは、最後のコンチェルトで持って行けなかったようだ(笑)。

当ては外れたが、Sunwoo、Brobergいずれも良い演奏だったことに異論はない。

ここまでくると、順位付けはあまり意味をなさないように思う。

 

なお、その他の賞は下記の通り。

 

Audience Award:

Rachel Cheung (Hong Kong | Age 25)

 

Steven De Groote Memorial Award for the Best Performance of Chamber Music:

Daniel Hsu (United States | Age 19)

 

Beverley Taylor Smith Award for the Best Performance of a New Work:

Daniel Hsu (United States | Age 19)

 

John Giordano Jury Chairman Discretionary Award:

Dasol Kim (South Korea | Age 28)

 

Raymond E. Buck Jury Discretionary Award:

Leonardo Pierdomenico (Italy | Age 24)

 

Jury Discretionary Award:

Tony Yike Yang (Canada | Age 18)

 

聴衆賞はCheungだったらしい。

私も同意見である。

 

なお、どうでもいい話だが、3位はクリスタルではなくブロンズになっているようである。

 

 


音楽(クラシック) ブログランキングへ

↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。