6月9日
報告者:神谷
お寿司騒ぎが収まった所で、坂本サトル、山寺宏一、石野田奈津代トリオ登場。
女子中高生の声援が飛びまくっています。3者3様のスタイルですが、皆さんそれぞれプロのなせる技とトークで会場を盛り上げます。
声優の山寺宏一さん(左)とミュージシャンの坂本サトルさん(右)
そして次は、TOKYOcreatist。名前の通り、東京から来たパフォーマンス集団です。ダンスをベースに、様々な芸を見せてくれます。
地元の中高生は、皆ステージに釘付け状態。彼らがステージを降りた後は、サインを貰おうと、彼らのもとに殺到。
そんな中登場したのが、大人向けバンド「じゅんちゃんバンド」です。何を隠そう、我らのボラセンのヒーロー「順ちゃん」率いる地元アマチュアバンドです。
津波で楽器を流されたりして、今回が震災後初のお披露目。大槌弁で挨拶をした後、渋く演奏を聞かせてくれます。
その後は、がらっと雰囲気を変えて「民謡大槌一心会」。着物を着て舞っています。
がれきが続く灰色の町並みを見慣れていた目に、着物の色の華やかさが新鮮に映ります。
この頃になると、あちこちで『即席宴会』が開かれています。友達同士、ご近所同士、職場仲間などなどが思い思いに集まり、ビールや焼酎を飲み交わしています。本当に、ゆったりとした暖かい時間が会場内に流れているのが感じられます。
食べ物屋台は売り切れ続出ですが、数店舗の方々が、自分のお店用の食材まで持ってきて下さって、皆に提供してくれています(食べ物は、すべて無料で提供してもらっています。)アルコール類だけは、沢山用意しておいたので、大丈夫です。
ステージでは、岩手県出身アーティスト、松本哲也さんのライブが始まりました。徐々に、夕日が濃くなっていき、お祭りムードがさらに高まっていきます。
そして、松本さんの後は、RIA+ノリシゲ。ノリシゲさんは、(大槌町)吉里吉里出身のアーティストです。吉里吉里にあった実家は全壊。親戚6人を失ったノリシゲさんは、妻のRIAさんと共に震災2日目には吉里吉里入りし、被災した人々の支援を行ったそうです。そんな中から生まれた曲が「歩きましょう (Youtube)」。
被災地を本当に自分たちの足で歩きまわった2人だから、自分たちの出来る事をしてきている2人だからこそ、この歌は出来たのではないかと思います。
大槌町のがれきの中にたたずむ時、この曲のもつ本当の強さが感じられます。無理強いはしない。でも、負けない。生きている。生きていこう。そういう事を感じさせてくれる曲です。
(この曲をアマゾンからダウンロード
すると、全額東日本大震災の義援金として寄付されます。)
この曲から、このお祭りの構想が開けていったと言っても過言じゃ無い程、私たちスタッフはこの曲に入れこんでいます。RIAさん、ノリシゲさん、お祭りに来て頂いて、そしてこの曲を本当に有り難うございました。
そして、とうとうお祭り大トリの郷土芸能の時間です。まずは、死者を弔う舞いである鹿子踊りが荘厳かつ激しく踊られます。
地元の方々は、いつの間にか舞台前にびっしりと集まっており、500人はくだらない観客の目が、鹿子踊りの動きに注がれています。
そして、鹿子踊りの後は、本当に最後の出し物、虎舞。大槌町には4つの虎舞の団体がありますが、今日は、地元のために4団体勢揃いしてくれました。大漁の踊りである虎舞に出て頂く為には、本当に様々な意見があり、紆余曲折がありました。しかし、今こうして、虎舞が出てくるのを今か今かと待っている500人以上の地元の方の顔を見ていると、やって良かったと感じます。
まずは、虎舞の代表者の方の挨拶です。「津波の後、大槌町は変わってしまったけれど、虎舞は、津波の前も後も変わりません。」地元の方々からは、割れんばかりの拍手が送られます。それを合図に、虎舞スタート。
郷土芸能の虎舞を見つめる男の子達(右の子のジャンパーも虎!)
ものすごい迫力です。普段、郷土芸能のたぐいには、ほとんど興味を持たない私ですが、この虎舞の迫力には驚きです。虎の動きにかなり年季が入っています。観客の方も、お囃子にあわせてかけ声をかけたりして、舞台上の虎の動きと一心同体です。地元の人間でない私でも、引きつけられてしまう程の舞いです。
この虎舞を見ていて、なぜ大槌の人間は大槌が大好きなのかが解ってきた気がしました。これだけ、自分たちの地元に誇れる文化がある事、一瞬にして皆を一体化させてしまえる郷土芸能を受け継いできている事。だからこそ、皆『大槌復興』に向けて一生懸命なんだと改めて気づかされます。この虎舞の時間を共有出来て、私も少しだけ『大槌人』に又一歩近づけた気がします。
大喝采の中虎舞は終わり、それと同時にお祭りも閉幕。大槌町民の大槌町民による、大槌町民の為のお祭りは、本当に、大槌の人々の笑顔と支えによって無事終える事が出来ました。
このお祭りは、 「何かしたい」「復興したい」という本当に小さな小さな地元の方のつぶやきから産まれました。そして、つぶやきならずとも、その思いは、大槌高校吹奏楽部の演奏やRIA+ノリシゲさんの歌、そして鹿子踊り/虎舞の全てに込められていました。
大槌町は、再興します。全国へ向けて、その思いを発信します。
たとえ小さい町であろうと、これだけの思いと愛と文化がのこっている町です。大槌町は、必ず復興します。このお祭りを終えて、強くそう思います。
この『大槌再興祭り』が、『大槌最高祭り』となる日まで。
大槌町は歩み続けます。 お祭りに参加された皆様、出店して下さった大槌町の方々、大槌町役場や商工会の方々、本当に有り難うございました。