【95】可哀想? | 〈 追 憶 の 向 こ う 側 〉

〈 追 憶 の 向 こ う 側 〉

筆者のリアル体験物語。「社内恋愛」を題材にした私小説をメインに、創作小説、詩を綴っています。忘れられない恋、片思い、裏切り、絶望、裏の顔―― 全てが入った、小説ブログです。


「ふーん。浅尾くん、彼女いないんだー」


女の中に男が一人では、どうしても男が話しの標的になりやすいのか。
面白そうに、神崎さんと由里ちゃんが、根掘り葉掘り聞いている。

彼のお父さんと、社長は友達? とかで、縁故採用的に、2~3年ほど身を置かせてもらうとか。
将来は会社を継ぐそうで、その事についても興味深く聞きこんでいた。

私は、紅茶を飲みながら、話半分で違う事を考えていた。
…というより、あまり頭に入ってこなかった。


向かいには、神崎さん。その隣が、浅尾くん。
私の隣に由里ちゃんと、加藤さんが座っている。

四人掛けのテーブル席だから、狭くはあるが、3人でも少しはマシ。
椅子はソファーだし、ややゆったりと座っていられる。
皆で会社の愚痴や、プライベートな事を話した。

時折、浅尾くんの視線を感じて目を上げ…視線が重なると、私から逸らせた。

曖昧なのがいけないことは、私が一番よく解っている。
だから、彼と話す機会が来たら、きちんと言わなければ。

そんな事を頭の中でグルグルと考えていて、思いついた。


浅尾くんは、さっきも岩田さんの運転する車で来ていた。
社員旅行の時は同じ部屋で、自由時間にも一緒に観光していた。
――しかも、田浦さんも一緒に。

ひょっとしたら、岩田さんが何かを吹き込んだとか、私に関することを言ったとか…。
田浦さんと一緒にいる姿も見ているのだから、彼なりに感じた事が何かしらあるはず。
――“ある”と考えるのが、自然ではないか。


本当は、どういうつもりで、私を「好き」などと言ったのだろう。

単に、“可哀想な子”に見えた、という事は ないのだろうか。




・「この人誰?」と思ったら → 登場人物
-------------------------------------------------------
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。m(*- -*)m

当ブログは、ランキングサイトに登録をしています。
お帰り前にクリックをして頂けると嬉しいです♪
(*-ω人)オネガイシマス♪

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(悲恋)へ