【66】海の向こうの孤独 | 〈 追 憶 の 向 こ う 側 〉

〈 追 憶 の 向 こ う 側 〉

筆者のリアル体験物語。「社内恋愛」を題材にした私小説をメインに、創作小説、詩を綴っています。忘れられない恋、片思い、裏切り、絶望、裏の顔―― 全てが入った、小説ブログです。


ロサンゼルスを経由して、ラスベガスへ――。
プライベートなら、胸躍るような旅行なのに、
時間が早く流れて欲しい。

<ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド>
今回の旅行で、皆が楽しみにしている観光地の一つ。
入場して早々の、自由行動。
皆は、親しい仲間と楽しげにしているのに、私だけが浮かない顔。

岩田さんは、一度も振り向いてくれない。
私は・・・どうして彼が気になるのだろう?
“愛しい”という、そういう気持ちではないと、ハッキリ気付いたはず。

行動にも、口にもしなかったが、
苛々とする私を察した萩野さんが、岩田さんに声を掛ける。
それとなく呼びつけて、私と2人にしようとするが・・・。

「岩ちゃーん! 早く!!」
――と、笹原さんを含む、例の女性4人が手招きをしている。
男女6~7人で行動しようとしている様子から、
彼がすぐに、私から離れることは判っていた。

岩田さんとは、確かに付き合っているのに、
日本を発ってから10時間以上、全く話さない。
今、ようやく話をしようかと言う時に、また引き離された。


「・・・じゃあ・・・」

「うん・・・」


こんなの、どう見ても恋人ではない。

少し離れたところから、岩田さんを待つ彼女たちの視線を感じる。
私の勘違いでなければ、意地悪な・・・
そして気味良さそうな眼差しが、居心地悪くて、
視線から逃げたい、今すぐに消えてしまいたい気持ち。

彼女達は、岩田さんと私を離して楽しんでいる――
そんな印象を受けた。


「・・・なに、アレ。感じ悪い」


由里ちゃんが、笹原さん達を睨みつけた。

岩田さんが戻っていった時、女性4人がチラリとこちらを見て、
何かを言いながら、薄ら笑っている。
その視線は、由里ちゃんや萩野さんではなく、
私に向けられていたものだ。

もどかしい想いを抑えて、遠ざかる彼に背中を向けた。

この旅行中、何があっても、由里ちゃんたちには、
迷惑を掛けてはいけない。
嫌なことがあったからと、家に帰り、部屋で泣くことが出来ないなら、
我慢をして、笑顔でいなければ。

折角の海外旅行なのだから、くだらない・・・
私のことで、巻き込むわけにはいかないのだ。

泣くのは、1人の時で充分だから。





・「この人誰?」と思ったら → 登場人物
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