◎格差社会


-----日本では格差社会も大きな心配事になっています。
金持ちと貧困層の二極化は今後も進行するのでしょうか。


はい、二極化はこれからも進んでいきます。

しかも'どの国もそうなんですが解決はできません。

経済では世界でトップの部類に入るスイスやデンマークも同じで'たいへん深刻な問題を抱えています。


----貧しい人は金持ちになろうと思ってもなれない、ということですか。


難しいでしょうね。


反対に、金持ちはこれから貧乏になる可能性はあります。

貧困層の人たちは同じ状態が続くか'もっと貧困が増す。
上にはい上がるのは困難でしょう。


----では'雷を追い求めるのはあきらめたほうがいい?


そうは言っていません。
現実的ではないと言っているだけです。
それに'じきに大きな破局の時期が訪れますから、富の集中が永遠に続くわけでもありません。


----その破局とは'先ほどから話しておられる環境問題ですね。


そうです。
あと何年かすれば'お金の価値はなくなっていく。

食料がなく、水がなく、仕事もなくなったときには'たとえお金があっても買うものがない。

お金は人類の歴史において何千年にもわたって用いられてきましたが、将来買うものがなくなったらどうしたらいいのでしょうか。

価値観の変化を迫られているのです。

それから、将来にはつねに希望を持っていてもらいたいと思います。

わたしは'幸せとは希望を持つことだと思っています。

日本人は戦災でたいへんな苦労を味わいましたが、大きな悲しみを乗り越えて立派に再建を果たしてきた。

そのように'新たになにかをつくりあげようとする意志がいちばん大事なのです。

幸せや不幸せは'周囲の状況ではなく本人の精神で決まるものだということを覚えておいて-ださい。

みなさんがどのようにものをとらえ、どのように活動をするかが問われるのです。

ひとつ例を挙げましょう。

ドイツは昔、東と西に分かれていました。

一方は共産党の国で'ほとんどの経済学者はふたつの国がいっしょになるのは無理だ'たとえなってもうまくいくわけがないと考えていました。

でも'実際はどうでしょう。

東西の統一はうまくいき'両者を分けていた壁はただの歴史記念物となりはてました。

ふたつの国にはどちらも人間がいるという点では変わりがなかったのです。

いちばん大切なのは信じること。

信じて'新しい世界をつくろうとする意志です。


-----おっしゃることはわかりますが、いまの日本で希望を持てない人が大勢いることも事実です。

その人たちに向けてなんと言ってあげたらいいんでしょう。


人は生まれたときから、物質的な方向に目を向けているものです。

大事な精神面にはなかなか頭が回らず、悪いほう、悪いほうへと考えてしまう傾向にある。

でもわたしたちは、毎日再生していることを思い出してほしいのです。
朝起きたとき、今日一日を生きる気持ちが生まれている。

目覚めたとき、自分自身と天に向けて再生ができたことをまず感謝すべきだと思うのです。

今日を生きられる感謝からスタートすれば'それだけでも喜びに満ちた一日が過ごせます。

人は'ただ求めるだけの生き物ではありません。


幸せは'精神的な資産から生まれるものです。

貧困層やお金のない国の人たちは'苦しみとともに生きることを学んでいる人たちです。

そうやって精神面を鍛えることができる。

一方、物質的なものの見方しかできない人は、これから大きな苦労が待ちかまえています。

一夜明けたら'持つものすべてを失っていた億万長者がいます。

でも彼はこう言いました-----「わたしにほうきを一本ください。
ここを全部掃いて、一から出直しますから」と。

すべてを失っても'お城を建て直すことはできるのです。

本当の富は条件や遵からではなく、いつでもやりなおせるという本人の気概から生まれるものです。


-----日本でも'精神的に豊かな人に会ったことはありますか。


はい、日本にもいらっしゃいますよ。

そういうことは年齢や収入とは関係な-、本人の行動からうかがいしれるものです。

心の準備が整っていると言ったらいいんでしょうか。

もちろん、精神性が完ぺきな人なんてこの世にはいません。

そんな人がいたら、いまごろエーテル体となって神の横に座っているでしょう。

わたしたちがここにいるのは'日常的に物質の世界にいながら'学びの日々を送るためです。

当然'物質面とのつながりを保ちながら、精神性の道を歩んでいくことになります。

ですから'世界と同様、日本にも'物質面にしか目がいかない人、両方で学んでいる人'精神性がたいへん豊かな人と'いろいろいらっしゃるわけです。