死後の世界―「あの世」とはなんとすごい世界なんだ
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暗黒の惑星


私たちは氷結した惑星を離れ、さらなる未知の惑星へ向かった。
何故かはわからないが、私は 混乱をきたした。

惑星に接近するにつれ'旺しい光に目が臨んだ。

ますます熟くなり'耐えられないほどになった。

ついに、私たちは到着し'ある山の頂きに立った。


火山が大量の噴煙を出している。


方々の亀裂から黒雲と火が吹き出し'赤い溶岩ときらきらする液体金属が、四方の谷へ流れ出している。


視界は効かない。


何時聞かの間、厚い幕に覆われた円盤状の天体が見え、そこからかすかな光が下方に向かって放たれた。


方々で火が長い時間吹き上げては突然やんだ。

私はとても悲しくなり、絶望し始めた。

方々の谷間に葉のない異様な形の朽木がある以外、どんな種類の草木も見えない。


その反対側では、泥の河がゆっくり動いている。

何もかもがどす黒く、荒涼とし、砂漠を思わせた。
それから、随伴者が一段と深い谷を指差して'


「見なさい!」


と  言った。

彼の指差す方を見ると、ほとんど見通せないほどの晴がりの中に、忙しく動き回る影を見た。


峡谷に降り、途中の岩場に立つと、随伴者は言った。


「今から'あなたは一人で彼らの中に入るのです。私抜きでです。何が起きても'たとえ恐怖に襲われても'けっして祈ってはなりません。ひどい仕打ちを受けることになります。
知恵を絞り、神の御名を呼んではなりません。ここでは祈りが開かれないからです」


「何故です'何故開かれないのですか。祈りが妨げられる理由がわか-ません」


「罪が神の恵みを妨げるのです。地上の人々が、電話や無線の助けがなければ、遠-の人に話せないのと同じ-、聖霊の恵みを通さなければ祈-は神に到達しません」


こう話すと、突然、彼は姿を消した。

私はさらに下に降りてみた。

罪人の群れが踊り狂っている。

彼らは止めた-ても止められなかった。

魔物たちが、男、女、老人まで駆り出している。

疲れて倒れる者がいれば、蹴飛ばして、どろどろした肥溜めに投げ込んだ。

この場を離れて、さらに下の平地へ向かった。

そこは荒涼たる砂漠で'ここでも、哀れな罪人たちの恐ろしい踊りを見た。

踊りは一瞬たりとも止まないように見えたが、彼らは多くの涙を流して'悲鳴を上げていた。


さらに近づくと、悪霊たちが、たえず罵倒しながら、共に踊っている。

彼らは、回るたびに


「やれ! やれ!」


と叫び、哀れな魂を強制していた。

罪人たちは完全に希望を失っていた。


彼らは刺々工い枝に縛-付けられ'蹴られ'殴られ、石で打たれ、燃える溶岩に押し込まれた。
石で目をふさがれたままへかみそりのように尖る岩に追い立てられた。

それ以外の残虐行為はとても言葉に表せない。

それから、悪霊たちは彼らの背中に乗り、汚れで固まった髪の毛をむしりとった。


一人をふるい落とせば、次のもっと強力な悪霊が背中に乗った。

恐ろしい魔物たちは'ときどき地獄で苦しむ家族と地上で犯した罪の数々を見せたが、これが彼らの苦しみをいっそう大き-した。


この恐ろしい光景を後にして、さらに奥に踏み入り、石だらけの谷に来た。

そこでは、竜巻とつむじ風が至るところで起き、塵の雲を巻き起こして'石が飛び交っている。


悪霊たちが、とても人とは思えないような姿の罪人の群れを追っている。

彼らは骨と皮ばかりで、腕を力な-下げ言語を絶する苦しみに顔を歪めていた。


渇きに苦しみながら砂嵐の中で黙々と体を引きずっていた。

辺りはひどい異臭に満ち、黒い塵の雲に覆われている。

ひどい罰が待っているのに争い合う者たちがいた。

彼らは、地獄には希望が仝-ないことを知-'すべてに無関心だった。
 
焼けるような熱風に耐えられなくなり、さらに下に-だ-、泥の池に着いた。

異様な姿の者たちが'どろどろした悪臭を放つ水を散らし手でかいては、紙めている。


私は憤怒の霊が間断なく彼らを苦しめる様子を見て恐怖に包まれた。


尖った岩の間を一歩1歩進み、ついに突き出した岩場に着いて、随伴者に助けられることを願いつつ腰を下ろした。


突然、不思議な蛤-声に驚かされた。


耳を覆うと、悲しい溜息と嘆きの声が聞こえてくる。

声のする方を振-向-と、大きな谷底の中で'真っ暗闇を見つめながら休む疲れ果てた者たちを見た。


「いつも夜と閤ばかりだ。
いつになったら光が見られるのだろう。
日の出がないなんて」 


彼らは太陽と春の陽気、日の下で怠け暮らしていた頃を思い出していた。
他の者たちも、これに倣って追憶に耽った。
一瞬ではあったが、それが永遠にわたる彼らの苦しみを、少しでも和ら
げた。


彼らの話から、過去の記憶が鮮明にあることがわかったが、悪霊は、彼らが一暁でも苦しみから解かれるのを許さなかった。

突然'高い岩の背後から、大きな赤い火の手が上がり、彼らが休むのを妨げた。

地獄に平和はない。

平和と静けさを愛する私は、このような恐ろしい光景に、それ以上耐えられなかった。


暗い平地に移動して歩いた。


すると、そこを通る誰をも監視し、冷酷に鞭打つ悪霊に再び出会った。

ときどき'色の付いた炎が上がって暗闇を照らしている。

憂欝な歌声が聞こえてきた。


近づいてみると、向こうの岩場に'土気色と青白い色をした顔の群れを見た。

彼らは骨と皮ばか-の手で巨岩を押していたが'岩はぴくりともしない。

上からは,黒い煙の雲から、たえず燃える石が降り注いでいる。


それから、地下から轟音が聞こえてきたので、私は慎重に降-始めた。

強い硫黄の臭いと真っ赤に燃える炭火を飛ばす熱風のために、ほとんど息ができない。


焼けた喉を潤そうと一滴の水を求める者たちを見た。

地獄の霊がたえず彼らを走らせている。

倒れる者がいれば'容赦なく鞭打ち、他の者を追わせた。

それを見ていたときに'随伴者が私の前に現れて、


「怖かったですか」


と声をかけた。

「恐ろしい」としかいえない。


「この場所を離れて、他の惑星に行かなければな-ません」


と彼は言った。

私たちは非常な速さで上昇し始めた。


白熱の星に接近して降り立つと'大気はいっそう熱く感じられた。

大気は非常に濃密で'視界は霞み'何とも言いようのない息苦しさを感じる。


悪霊が、罪人たちを引き回しては、彼らにふさわしい新しい罰を加えている。


混沌がすべてを支配している。


岩窟に逃れようとする罪人たちは'恐ろしい虫に刺され'這い出して-ると、鞭で打たれて、火の池に投げ込まれた。


彼らは「死はどこにあるのか!愛する死はどこに!」と叫んだ。
死はない。


あるのは存在である。


善良な者には永遠の歓びが存在するが'邪悪な者には永遠の苦しみが存在する。