眞個(まつたく)の事を申しませう。 ‥‥其の時分は最う火は消えたんです。
火事は濟みました。 ‥‥‥ 紀伊國屋の支配人長五郎が腕を見せて、
大金を一時に儲ける働きも忘れました。が、唯殘つて居るのは、
こがれ死をした娘の一念、燃えながら天に昇つた紫の振袖です。
虹は勿論、徂徠ふ雲の白いのを見ても、飛ぶ鳥の翼を見ても、
皆それが宙を通る振袖に見えて忘れられない、幾年も/\。
小兒は何時までも恍惚と空を見るやうに成りました。
夜は、星のなかにも、其の振袖がちらついて。さうした時は、
明星が、其の白菊の模樣でした。 ―泉鏡花「卯辰新地」より
1月18日は、江戸三大大火のひとつ“明暦の大火”が起きた「振袖火事の日」でしたが、
お蔭で何事もなく過ぎ、ただ“寒”の冷たい風に晒された一日でしたがいかがお過ごしでしたか?
先日福井県・・・へと旅に出た由美ママhttp://ameblo.jp/ginzayumimama/entry-10431393459.html でしたが、
あいにくの体調不良で『永平寺』へと詣でられず、変わりに南青山の『永平寺別院 長谷寺』http://www.aiemu.co.jp/im-tyokokuji.html
へと出かけました・・・
南青山『ブルーノート東京』http://www.bluenote.co.jp/
関東地方では、今日からは冬型が緩み、ここ二・三日は暖かい“寒中”のようですが、
こんな日の心配事は、やはり一番は“火事”で、
今日はそんな“防火”の心配から、1657年1月18日の「振り袖火事」について調べてみることにしました。
さて、昔から「喧嘩と火事は江戸の華」と云いますが、
この1657(明暦3)年に起きた「振袖火事」は、“華”どころか、地獄絵そのもので、
この猛火は、江戸城天守閣と市街の殆どを焼失し、死者が10万人にも及んだ大火で、
当時の江戸の人口は35万余であったことからも、その被害の惨さが伺えますが、
そもそもこの「振袖火事」とは、次の話に由来します。 http://www.k5.dion.ne.jp/~schutz/uta2sinc/uta2sinc_r_01.html
――或る花見の日、上野の神商大増屋十右衛門の娘おきくは、美しい寺小姓を見初め、
以来、小姓が着ていた着物の色模様に似せた“振袖”を作ってもらい、毎日、寺小姓を想い続けましたが、
やがて、恋の病に臥せったまま明暦元年1月16日、17歳で儚くも亡くなってしまいました。
その後、両親は憐れんで娘の棺にその“振袖”を被せましたが、寺では法事が済むと、
当時のしきたりから、この“振袖”を売ってしまい、別の娘(これも17歳)の物になりましたが、
この娘も、しばらくの後に亡くなり、“振袖”は再び棺にかけられ寺に持ち込まれました。
寺の小姓たちは、同じ“振袖”に驚きましたが、またもや、しきたりから古着屋へ売り払い、
今度は本郷元町の麹屋吉兵衛の娘お花の手に渡りましたが、その日以降、お花は病気になり、
明暦2年の同じ日に死亡しました。
“振袖”はまたまた古着屋の手を経て、麻布の質屋伊勢屋五兵衛の娘おたつの元に渡りましたが、
おたつも同じように明暦3年の1月16日に亡くなり、このおたつの葬儀の際に三家は相談して、
因縁の“振袖”を「本妙寺」で供養してもらうことにしましたが、
しかし、和尚が読経しながら“振袖”を火の中に投げ込んだ瞬間、突如つむじ風が吹いて、
“振袖”を空に舞い上げ、その火は屋根に燃え移り、消し止める間もなく次々と延焼し続け、
翌日には、江戸城本丸天守閣まで類焼し、何と江戸市街の55%が焼失してしまいました・・・・
――以上が、真相は老中陰謀説と囁かれる中、火元は「本妙寺」とされる“振袖火事”の通説です。
http://www.geocities.jp/michio_nozawa/episode14.html
http://www6.ocn.ne.jp/~honmyoji/
南青山の一角に佇む竹藪の中は・・・
かの隈 研吾氏http://www.kkaa.co.jp/ 建築の『根津美術館』http://www.nezu-muse.or.jp/
そして「根津美術館」の手前には“小皿中華”の発祥の店「ダイニーズテーブル」http://www.dainis-table.com/
で、その横のマンションには・・・???
由美ママ“ご用達”のネイルサロン『Lani Aoyama
』があります!
『Lani Aoyama』シャンデリア
『Lani Aoyama』店内
ゆったりとリラックスできる椅子・・・
『Lani Aoyama
』は昨年12月にOPENした新しい“ネイルサロン”ですが、白浜麻衣子オーナーの洗練されたセンスと優れた技術のネイルの美学をお楽しみ下さい!!!
*港区南青山6-13-3 サーラ南青山404号 tel 09032384639(完全予約制・由美ママ特典?有り!)
其の中に、私は美しい袖を見ました。其の袖に、緋の襲衣(かさねぎ)が重つても、
島田の手絡が紅鹿子でも、決して其が、燃えるのではありません。
が、此の故郷に唯一人、其の袖ばかり見えるのが、まるで、江戸の空に燃えながら靡いた・・・
と云ふ、振袖を見ると同一やうに思はれたんです。
其の袖は、私の目に炎よりは輝いたのです。けれども、月の光でした。
片袖は峰の三日月、まむきの姿は明月でした。光は、こんな、一葉の草にも浸透る、
けれども手に取られず、近づけないのは、空の影と同一でした。
―泉鏡花「卯辰新地」第6章
今週は週末あたりに、泉鏡花が「卯辰新地」にて、“月”が“炎より輝く”美しい“袖”の中に、江戸への想いを馳せたそんな“振袖”を偲び、「振袖火事」の三人の娘“おとき”“お花”“おたつ”の供養に、巣鴨「本妙寺」へと、参りたく思っておりますので、どうかよき“寒”の一日をお過ごし下さい。
そして今宵由美ママは“振袖”ならぬ艶やかな“袖”の“いでたち”で、きびきびと銀座へ向かいます!!!