この春から私的な理由で2度ばかり博多に寄せていただいたのですが、ついでに市場調査でキモノの販売拠点を見てまいりました。
ハッキリ言って150万人以上の人口のある街にしてはあまりに品揃えが貧弱だとしか言いようがありませんでした。
かつては大変有名な専門店やデパートの呉服売り場も充実していましたので、泰三のキモノもそういうところを通じて売れていたのは確かです。
ところが現在そうした店もなくなりデパートもリストラやベテランの退職で、優秀な販売員が枯渇し、モノのわかる社員がいないようです。
売れないから従来からの問屋も引いてしまいとんでもない大手の問屋などが入り込み商品レベルは格段に下がっています。
外商客相手も店外催事では、従来からの問屋のものが出品されても、普段の品ぞろえがひどいのでなかなか売上に結び付かないようです。
潜在的な購買力はあると思うのですが、それを引き出すためのまじめな努力がなされていないと思います。
総じて今のデパートも専門店も、店外の催事で稼ごうとするので、どうしても店内の品ぞろえが手薄で、いわゆる情報発信力に欠けます。
だから勢いチェーン店などでつい買ってしまうお客も多く、上質な本物が手に入らない、あるいは見ることさえできないというのが偽らざる実情です。
せっかくキモノを着よう言う人が増えているというのに、京都で作る良質な上物を見ることさえできない流通環境というのはありえない現実ですし、我々モノづくりをするものとしては非常に残念で悔しい思いをします。
また消費者の声も今の流通環境では全く流れてきませんので、作り手も迷いがあります。
そうした現状に鑑み、今回大都市の福岡(博多)で、ぜひ一度泰三の作品展を開催し、皆様に見ていただきご講評いただければと思っております。
多分こんなキモノ一度も見たことがないとおっしゃる方が多いと思いますが、宮内庁のお仕事もさせていただいている、泰三のものづくりの力を感じていただきたいと願うものです。
開催要領は下記の通りです
もちろんどなたでも入って頂けますが、事前に案内状ご希望の方ございましたらご通知頂ければお送りいたします。
是非泰三の美しいキモノの世界をご堪能ください。
当日は打掛、振袖、黒留袖、色留袖、訪問着、付下げ着尺、小紋着尺、染帯、縫い帯などの自慢の作品の他に、梅垣さんの帯も展示させていただきます。
玉三郎丞のご依頼で製作させていただいた豪華な舞台衣装のお写真などもお持ちしますのでご覧になってください。