キモノの色気 | 銀座きものギャラリー泰三

銀座きものギャラリー泰三

一度は袖を通したい着物がここにあります。きもの創作工房 (株)染の聚楽

最近京都の祇園あたりをレンタルのキモノで歩き回る若い女性が増えています。
なかにはカップルで来ている若い人もいます。


まあそのキモノの質はとんでもなく低いですし、帯も袋帯でなく浴衣に締めるようなペラペラのものです。レンタルの料金も安いので仕方がありませんが、祇園のお茶屋の女将さんもまさに景観を乱すと嘆いています


着る側もほとんどが初心者が多いので、その立ち居振る舞いがあまりにもひどい者も多く、特に若い男のひどさには呆れ返り時々注意してやります。


ただ稀にですが、同じキモノなのにとても美しく見える女性もいます。
それは明らかに着姿の違いです。


日本人のキモノの着姿は、他のすべての国の服飾文化を凌駕する存在であることは疑う余地がなく、それなりの人がキモノを着ないのは、自分が日本人ではないと言っているようなもので恥ずかしい思いをします。


キモノの着姿が素晴らしいと思うのは、他の国の服飾と全く違う発想であることです。

多くの服飾はその体の線の線に沿うものが多いようですから、いわゆるプロポーションの良し悪しが問われます。


しかしキモノはその逆に体の線を隠すところにその特徴があります。


いわゆる直線美がキモノの神髄で、身体の線がわかるように着ることほど野暮なことはありません。浴衣でも胸の大きい人は晒などで体の線を隠すように着ると綺麗に見えるのです。


直線裁ちのキモノを着ると、当然ながらその動きに制約があって、外股で大股に歩くなどできないわけです。そのように歩くとすぐに着くずれしてしまいますので、自然に内股となり、また歩幅も小さくなります。


そして大事なことは姿勢をよくして前を向いて歩くことです。

そうすることで楚々とした中に凛とした雰囲気が醸し出されて美しい姿に映ります。

体の線を隠すのがキモノですが、ただ1か所だけ洋服よりも肌を見せるところがあります。


それは項(うなじ)です。


男物にはないのですが女性のキモノは襟のところを抜いて仕立てます。
体型によって多少その寸法が変わります。


舞妓や芸妓の引き摺りなどでは、相当に大きく抜いてきますので、首のところの下のほうまで白粉を塗っていますね。


まあ普通の人はそういう着方をすると下品になりますから、ほどほどですが、その衣紋を抜くということがキモノ姿を美しく見せるポイントとであることは言うまでもありません。


また襦袢の衿がキモノの衿より大きくはみ出しているような着方も綺麗に見えません。

胸元も含めてこの首周りを綺麗にしていると。キモノ姿には洋服にない色気を感じるものです。

最近独学で着付けを会得されている方も多いようですが、このことがうまくできていない人もまま見かけます。

キモノをより美しく着るためにも、このことだけは忘れないでください。

男性のキモノ姿で大事なことは、何よりも姿勢です。猫背で着るととても貧相に見えます。


胸を張って下腹に重心を置いて、それなりの歩幅でしっかりと歩くことです。

ちょこちょこ歩くのは貫録もなく見っともありません。

キモノを着ての男の色気もその立ち居振る舞いにあることは忘れないでほしいものです。


もうじき涼しくなると思います。秋はキモノを着るに一番いいシーズンです。

格好良く、美しく着たいものです。