S2000に取り付けるため、格安のオイルキャッチタンクをネットで購入した事を先日書いたが。
予想どおり、そのままでは使えるものではなかった。
そこで、こいつをベースに、オイルキャッチタンクとして機能するものに改良する事にした。
オイルキャッチタンクがなぜ必要かは、やはりブローバイガスについての解説も必要かな。
一般的な4サイクルのガソリンエンジンで簡単に。
エンジンは、まず空気とガソリンの混合気を吸気する。
吸気した混合気を圧縮、スパークプラグで点火して爆発させる。
爆発した後の燃焼ガスを排気すると言う工程を繰り返す。
ここで、混合気が爆発すると、ピストンを押し下げる。と、同時にピストンとシリンダーの隙間から一部の燃焼ガスがエンジン内に漏れてくる。
そのままではエンジン内部の圧力が上がってしまい、エンジンを壊すことになる。
そのために、エンジン内に漏れ出た燃焼ガスを抜く事になるが、この漏れ出た燃焼ガスをブローバイガスと呼ぶ。このガスは触媒で浄化されていない排気ガスと言ってもいい。未燃焼のガソリンも含まれる。
だから、NOxやHCを多く含む事になるので、そのまま放出したのでは環境に悪い。
更には、エンジン内部を通って来ているので、ミスト状のエンジンオイルも含んでいる。
現在のエンジンは、このブローバイガスをインテークパイプに戻して、混合気と一緒に、再度エンジン内で燃やして、触媒を通して浄化するシステムになっているし、そうする事が義務化されている。
しかし、エンジンにとってはブローバイガスを再燃焼させることは、あまりいい事ではない。
空気とガソリン以外の不純物を混ぜる事になるので。
そこで、ブローバイガスを一旦、オイルキャッチタンクに入れて、混じっているオイルミストや未燃焼ガソリンを液化させて分離させようと言う訳である。
オイルキャッチタンクでは、入ったガスを出来るだけ冷やして含まれていオイルミストなどを液体に戻す必要がある。
ところが、今回購入した中華製と思われるオイルキャッチタンクもどきには、その機能が期待できない構造になっていた。
下の図の現状が、それになる。タンク内には何もなく、ガスのINとOUTになるホースニップルはすぐ隣りにある。従って、図の矢印のようにブローバイガスは殆ど冷やされる事もなく、素通りしてしまうと思われる。
これでは、オイルミストなどを分離する事は、殆ど出来ないだろう。
一般的なものは案1に書いたようにタンク内を上下に分ける隔壁を設けて(当然、ガスが通る穴は空いている)タンク内を循環させ、更には隔壁にガスを当てる事で、含まれているオイルミストを液化させる。
ただ、このタイプに加工しようとすると、IN側のニップルから隔壁の下までの配管を増設する必要がある。
購入したものはニップルが斜めに付いているので、タンク内に配管を増設するがやや面倒である。
更に、隔壁が円形となるので、これも加工が手間だし、中間での固定方法も難しいか。
そこで、隔壁でIN側とOUT側を縦に分ける案2の方法を選択した。
この方法であれば、隔壁の形状は、直線のみで構成されるので、加工もし易い。
案1に比べると、やや分離能力は劣るかも知れないが、何もないよりはマシだろう。
早速、購入したオイルキャッチタンクの各部を採寸。
簡単な図面を起こした。
この程度のポンチ絵ならCADなどなくても、ワードのオートシェイプで十分。
この図面を元に、まずは厚紙で型紙を作る。
一番、簡単な方法は厚紙の上に図面を置いて線の交わる場所を針で刺して写す方法かな。
厚紙に付いた針の穴を線で結べば、写真のようになる。
これを切り出す。
この型紙を、現品に合わせてみる。
イメージとしては、こんな感じになる。
上蓋部分に合わせてみると・・・
ちょっと、隙間が大きいようだった。
再度、微調整をして、型紙を作り直す。
新しく作った型紙をタンク内にセットして、上蓋を合わせてみると、
隙間が出来てしまった。どこか干渉しているようだ。
上蓋部分と合わせて見る。
テーパー部分の角度が若干、ずれていて一番上まで届いていないようだった。
ハサミで、慎重に干渉部分をカットして、再度組み付けてみる。
今度は、うまくいった。まぁ、上蓋部分には少し隙間があるが、シール剤で何とかなるだろう。
これで、隔壁作りの型紙の完成。
後は、この型紙を元にして、ホンチャンの材料で作れば、オイルキャッチタンクの改良ができる。
今回は、アルミ板を使う予定。
ちょうど、ロドスタ時代や模型小僧をやっていた時のものが残っていたので。
また、時間を見て作成に取り掛かります。
この記事に掲載したポンチ絵などは、ご自由に使って頂いて結構です。
但し、あくまでもオウンリスクにて、お願いします。