人造人間の研究に勤しむ光明寺博士と息子の一郎。
だが実験は上手くいかず
一郎が犠牲に …
「一郎~~!」(光明寺博士。以下「光明寺」で)
兄の最後の様子をミツコは父の日記で知る。
「兄さん …」(ミツコ)
ゴールエン・バットの屋敷前でジローは佇む。
「ふっふっふっふっふっふ
ふっふっふっふっふっふっふ」(バット)
音も無く宙に浮かび上がる十字架。
それをジローは眺めやる。
第7話「悲の残照」
息子である一郎の墓の前で
力なく項垂れている光明寺博士に
傘が差し出される。
傘を差し出したのはミツコの母である坂本千種であった。
「失礼、ドクトル … ドクトル光明寺ですな?」(ギル)
「あなたは?」(光明寺)
「あぁ。亡くなられた一郎君が留学していた時分、多少の縁がありましてな」(ギル)
「一郎 …」(光明寺)
「ギル・ヘルバートです。初めまして」(ギル)
「この手紙を一郎があなたに?」(光明寺)
「えぇ。失礼でなければ私は一郎君のこの依頼に応えたいんです。あなたの作ろうとしているロボット …
いや人造人間の開発資金を援助したい」(ギル)
「お言葉はありがたいのですが
私には、もう … そんな気力など … 妻に先立たれ、一郎までも失い
私にはもう … 何もないのです」(光明寺)
「お気持ちはお察しします。しかし
これが結果的に一郎君の最後の願いとなってしまった。
それをあなたは無にしてしまうおつもりか?」(ギル)
光明寺博士は嗚咽をもらすのみ。
そこへ千種からハンカチが差し出される。
「あっ ……」(光明寺)
「私には難しい事は分かりません。でも息子さんの望みをかなえてあげるのが何よりの供養になるのではないでしょうか」(千種)
「奥様 …」(光明寺)
「奥様では … ありませんわ」(千種)
「えっ!?」(光明寺)
「あぁ、紹介が遅れました。彼女は秘書の」(ギル)
「坂本千種と申します」(千種)
「お母さん … あなたとギルは一体 …」(ミツコ)
屋敷の外では
ジローが
次々と飛来する
十字架ロケットに苦戦していた。
「ふっふっふっふっふ。恐るなキカイダー。できるだけ楽に天に送ってやろうと言うのだ。
お前の苦しみが分かるのは私だけなのだからぁ」(バット)
「ギルをどこまで信用したらいいのだろう?
資金援助の見返りに次々と新たな人造人間のオーダーがくる」(ミツコ)
「兵器と成りうる人造人間。
ギルは彼らをどうしようというのか?」(光明寺)
突如ゴールデン・バットが苦しみ出す。
「夕べもギルよりコウモリ型ロボットの開発状況の確認があり
開発途中の良心回路
ジェミニィをそのロボットに密かに埋め込む。
ギルが良からぬ事を考えた時の歯止めとなれば」(光明寺)
「くくくっ …。うぅむ …。
何故、疼く良心回路 …。良心の呵責?
馬鹿なぁ!」(バット)
「ウソ … 嘘よ!
何と … 何と私は愚かだったのだ。あの事故までギルの …。
あぁっ!
嘘でしょ!? 母さん!」(ミツコ)
屋敷の外は業火に包まれている。
その中をジローはよろめきながら進むが
棺桶トラップに足を取られ
十字架ミサイルの集中砲火を浴び
遂に倒されてしまったのか!?
ミツコが振り向くと
そこにはゴールデン・バットがいた。
キカイダーは、お前さんのジローは私が倒した」(バット)
声にならぬ
声を上げ
ミツコは気絶した。
↓ 第二部へと続く。