「運命の時は来た! 人が人を苦しめ、人と人とが○し合う世界。それは既に人の世ではない、野獣の世界だ。
悪魔の目、サザンクロスには死の影が差す。
虐げられ○にゆく運命より逃れられぬ人々 …
その人々に希望の光を呼ぶ世紀末救世主伝説が語り継がれてゆく …」(ナレーション)
嘗て南斗聖拳の秘密要塞があった場所。
焼け落ちた戦艦の上で佇むリンの姿があった。
「ケン … 本当に○んじゃったの? 私そんなの信じない! ケンはきっと生きている …」(リン心の声)
夕焼け空に浮かぶケンシロウの姿はリンだけでない … 乱世に生きる人々の希望の象徴 …
ケンシロウの生存を願い、バットとリンはサザンクロスに向けて出発する。
同時刻のサザンクロスでは、ユリアの像を作る為、多くの人々が奴隷の様に働かされていた …
そんな状況は露知らず、
「ユリア … 生きてくれ … 俺の為に生き続けてくれ …」(ケンシロウ。以下「ケ」で)
というケンシロウとの約束を守ることだけを頼りに、今日もユリアは生きている。
そんなユリアの希望を支える1人であるサキをシンは「ユリアの為にならない」という理由でサザンクロスより追放する。
サキを失い、不安に震えるユリアにシンは「ユリア。サキはもう戻ってはこない。明日お前に見せたいものがある。きっと気に入ってくれるはずだ」と囁く。
だがユリアの表情に喜びは浮かばず、先を失った悲しみの涙が流れっるのみ …
その夜 … サザンクロスの状況にはドクロのような赤い不気味な月が浮かび
とある一室ではキングことシンに対するクーデターを起こそうとバルコム将軍が生き残った幹部達に呼びかけていた。
多くの仲間を失い、7つの傷の男 … ケンシロウを倒したのに褒賞も出ず、略奪も暴行も禁止という状況にあって、ほとんどの幹部はバルコムの扇動に乗りかけていたが
ナリマンという幹部だけがクーデターに反対する。
シンという強力な統率者がいればこそ安泰が保たれているのであり、シンがいなくなれば、元のように仲間同士で○し合う野獣の世界に逆戻り。
そんなのは、ゴメンという理由だ。
何よりもバルコムのように裏でコソコソと策動するのが嫌いなナリマン。
シンに告げ口もせず、クーデターにも参加しないと言って、その場を後にしようとするが
秘密漏洩を恐れるバルコムはナリマンを活かして帰そうとはしない!
ナリマンも只やられはせず、自分の武器や
傍にあった石像で攻撃するが、泰山寺憲法による呼吸法で肉体を鋼鉄よりも固くできるバルコムには通じない。
逆に一瞬の隙を突かれベアハッグを受け
ナイフによる苦し紛れの攻撃も通じず、背骨を折られて絶○してしまう。
南斗聖拳も我が肉体には通じないと嘯き哄笑するバルコム。
既に内部よりサザンクロスは崩壊しつつあった。
そんな不平分子と違い、シンへ絶対の忠誠を誓うジョーカーは一人、秘密要塞跡に来ていた。
「ここがケンシロウが生き埋めになったという場所か … しかし本当にヤツは○んだのか?
ヤツの○体を確認した訳ではない … ヤツは今までも幾多の○地から脱出してきた男だ。」(ジョーカー)
捜索中、奇妙な音を聞いたジョーカーが
音の発信源らしい廃戦艦跡まで来てみると
内部から罅割れ、眩い光が射し、その中にケンシロウらしき人の姿が !?
舞台変わって、サザンクロスのユリア像の前。
シンがユリアに見せたいものとは、これであった。
「シン … これは?」(ユリア)
「ユリア … 気に入ってくれたか? お前の美しさを称えるために作った像だ。
今は只の石像だが、世界中より黄金と宝石を集めて飾り立てよう。お前は美の女神として永遠に名を残す」(シン)
「また戦いを始めるのですか?」(ユリア)
「そうだ。俺の力を見せつける為 … お前の美しさを知らしめる為に俺は戦う」(シン)
煌びやかに飾り立てられるであろう自分の像 …
だが、その背後に完成するまでに流されるであろう多くの人の命、血、涙、悲しみをユリアは見てしまう。
「また多くの血が流れる。罪の無い人々が苦しむ」(ユリア)
「泣くな、ユリア」と慰めるシンだが
自分達を取り巻く異様な気配を感じると
数多くの矢が自分達に向けて射られてきた!
余裕をもちユリアを連れて像の下へとシンは逃げる。
「何の真似だ!」とシンが叫ぶと
部下達が十重二十重にシン達を囲む。
「命令だ! 直ちに引き上げろ」(シン)
「ここにいる者は誰もお前の命令など聞かん。」(バルコム)
「将軍、お前の差金か?」(シン)
「お前がキングと呼ばれるのもこれまでだ」(バルコム)
「ユリア、隠れておれ」(シン)
「この俺に逆らうというのか … 良かろう、相手になってやろう。」(シン)
「ほざくな。やれぇ」とバルコムの命令の下
荒くれさん達がシンに向かっていくが
空気を切り裂く「南斗飛燕斬」の前に木っ端微塵。
不敵に笑いながら
雄叫びを上げながら
拳を繰り出し
キングである事の窮屈さの鬱憤を晴らすかのように、嘗ての部下達をシンは葬っていく!
業を煮やしたバルコムの部下の命を顧みない爆薬投入により、さすがのシンも倒されたのか、姿が見えない。
シンを倒したと思い込み喜ぶバルコム。
不安に怯えるユリア。
ユリアの像には不吉さを伝えるかのように皸が走る。
波乱を含みつつ中編↓へ <(_ _)>
「週刊 北斗の拳 第21話 前編」 ~ 完