本題に入る前に、ジャーナリスト黒木昭雄さんの死を悼みます。
事実関係がどうであれ、真実を日本のメディアのいくつかが大きく伝えていれば、その生命は守られたであろうと思うと、悔しくてなりません。

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11月2日の毎日新聞朝刊東京面の大きな記事に、こちらでも紹介してきた、築地市場移転をめぐる分断戦術(としか思えない)、ありえない仲卸組合の特定調停問題について、組合の理事の職務を監査する監事の方が、理事長ら6理事(債権を安く査定して「特定調停」という破綻処理に追い込み、自らは「マーケット・プランニング社」という債権回収会社を築地市場の豊洲移転賛成理事の6人だけで作って、組合員である仲卸から借金取り立て!)の責任追及の報告書を出したという、大きな展開を伝えるニュースです。

伊藤理事長は、昨年の選挙で築地市場の移転をめぐって5回めの選挙で僅差で今の地位にある人物で、選挙の成り行きは新聞報道も多数あり、広く注目されていました。
伊藤理事長自らは「移転しなくては存続できない」との旨を述べていますが、実際のところ、東卸組合としては移転しないことで機関決定をしていて変わっていません。

・・・ちょっとそれましたが、そうは言うもののこの監事の責任追及は、単純な、移転をめぐる内部抗争、といった性質のものではありません。
移転賛成理事による組合の機能強制転換(互助組織から、借金を回収される・脅しの効く場)という暴挙に、関係者だけでなくあらゆる権力が関与し、かつその無理筋を認め、しかも「初めて」(!)きちっとした監査をしたら、案の定これまでも疑われたように、責任追及をしなくてはならない不適切な、債権を過小評価してのたたき売りが客観的事実として発覚した、ということです。

これでよく、会計士(とは言っても東京都OBの出向!)も、弁護士(すでに懲戒請求)も、東京地裁(特定調停は簡裁じゃないんでしたっけ?しかも規模が特段に大きいわけでもありません)も、あるいは債権を不当に安くされて買い叩かれ損を出した金融機関(みずほ・商工中金)もこんなものを認めて、あるいは妥協したものです。
資料もまっとうにそろっていなかったのは、この手の破綻で常態化していたから見落としたのか(職務不履行)、あるいは意図的なものか、どちらなのでしょう。

では毎日の記事です。ネット検索で当初ひっかからない状態でした。
毎日新聞 東京欄
東京魚市場卸協同組合:債務調停 監事が責任追及要請 /東京
 ◇「理事長ら、不適正手続き」
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20101102ddlk13040208000c.html

 築地市場の約740の水産仲卸業者でつくる「東京魚市場卸協同組合(東卸)」(伊藤宏之理事長)の債務約30億円のうち17億円が免除された特定調停を巡り、不適正な手続きがあったとして、東卸の町山順一監事が1日、伊藤理事長ら6理事の責任追及を求める報告書を東卸に提出した。

 6月に東京地裁で成立した調停では、東卸が組合員に貸し付けていた債権約26億円を、債権回収の特定目的会社に1億5000万円で売却して金融機関への返済資金に充てることが決まった。

 しかし報告書は(1)1億5000万円の根拠となった監査法人の評価の際、詳細な資料を提出しなかったため、債権は実際より安く売られた(2)特定目的会社は6理事が出資しており、6理事が配当など利益を得る可能性がある--などと指摘している。

 東卸事務局によると、監事が業務監査で執行部に疑問を呈した例は過去になく、担当者は「内容を精査した上で対応したい」と話している。

 東卸は市場の豊洲移転を巡って賛否が割れており、伊藤理事長は推進、町山氏は反対の立場。

 中小企業等協同組合法は、監事は理事の職務を監査すると同時に、虚偽の記録を残した場合は損害賠償の責任を負うと定めている。【日下部聡】

この、債権査定の過小評価を始めとするもろもろの証拠が報告書として提出された、ということになります。

なお、この特定調停の組合理事への説明では、「借金棒引きの良い話である」とだけ伝えられ、しかし債権回収会社が豊洲新市場移転賛成側だけだったので、現金まで用意して設立に加わることを申し出た理事は、移転賛成でないから?、即座に却下されたとも聞いています。

そのからくりなどは以下に示されています。

2010-10-20
現代ビジネスの必読記事:『都知事選の争点となる「築地移転」で浮上した「債券回収会社」のカラクリ』
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10682012491.html

おさらいとして、この特定調停の幅広い問題を以前アップしていますので、

2010-10-03
築地移転反対に圧力となる「特定調停問題」の重要点(9/22築地市場を考える勉強会から~その2~)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10666136495.html

そこでの関連部分を再掲します。※青字(フォントサイズ大)は追記です。
東卸(東京魚市場卸協同組合)の特定調停を巡る疑惑

特定調停→借金の返済に苦しむ借主について裁判所が借主と貸主の話し合いを仲介、
返済条件を緩和し経済的な再生を支援する手続き(FACTA記事より)

(1)そもそも債務超過に陥っていたとされる東卸の決算にまつわる疑惑
  →※初めて監事が監査をして報告書提出。
(2)組合員に対する相互扶助活動の一環として行われてきた融資事業の実態

(3)帳簿上の評価損で経営が破綻するのか? 粉飾決算疑惑

(4)本当に回収不能だったのか? 回収実績にまつわる疑惑
  →※未提出の詳細資料あり。
(5)約26億円分の組合員向け融資債権の評価額を巡る疑惑(1億5千万で売却)
  →※債権は実際より安く売られ、移転賛成6理事に配当へ。
(6)まるでだまし討ちによる強行突破? 理事会運営を巡る疑惑
(7)計画の総てに関与した弁護士(杉山真一)への疑惑
  →※弁護士はすでに懲戒請求されました(FACTA記事)。
(8)決算や債権評価に関与した会計士への疑惑
  →※(会計士は東京都OBの天下り)
(9)何故東京地裁? 特定調停の申請を巡る疑惑
(10)そもそも特定調停とは?
平成12年2月施行「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」に基づく新制度
(コイズミ改革とともに米国から入ってきた借金踏み倒しの新手法?)


Like a rolling bean (new) 出来事録-特定調停説明補足図

この毎日の記事の告知と、わたしの内容説明のツイート(11/2および11/3になってからの分)です。

11:57:18 【拡散・典型的ハゲタカ手法】毎日東京面に重大記事。「東京魚市場卸協同組合:債務調停 監事が責任追及要請」携帯からでリンク貼れませんが、入念に監査したら、26億の債権を1.5億で評価させた際「やはり」詳細資料出さず、儲かる配当は移転賛成6人理事に。粉飾倒産手法。誰が吹き込んだもの?

 

12:06:43 【拡散・築地問題】Google検索にかからない重要記事。調停では東京地裁も会計士弁護士皆スルー!→「東京魚市場卸協同組合:債務調停 監事が責任追及要請」 http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20101102ddlk13040208000c.html


12:19:59 .@iwakamiyasumi 現代ビジネスやFACTA記事になった件の最新の続報です。【拡散・築地問題】Google検索にかからない重要記事。調停では東京地裁も会計士弁護士皆スルー!→「東京魚市場卸協同組合:債務調停 監事が責任追及要請」 http://j.mp/97YS5d

 

12:37:11 【拡散・築地問題】(3)組合実質破綻の調停を求めた移転賛成理事長らの資料未提出、債権過少評価を狙ったと見られてやむなし。気付く立場にある会計士も弁護士(懲戒請求中)、東京地裁もなぜスルー?→「東京魚市場卸協同組合:債務調停 監事が責任追及要請」 http://j.mp/97YS5d

 

12:48:43 【拡散・築地問題】(4)見せかけの「借金棒引き破綻処理」で損を被った取引行(みずほ、商工中金)がよく甘受していました。だとしたら、この手のアメリカ風味のハゲタカ破綻はもはや日常的に蔓延?→「東京魚市場卸協同組合:債務調停 監事が責任追及要請」 http://j.mp/97YS5d

 

13:01:21 【拡散・築地問題】(5)特定調停は4月に理事のみ資料チラ見せで「説明」、東京地裁は6月に成立。あ、昨夏、仲卸理事から、みずほ銀行に利息を支払わないのはなぜと質問しまともな回答なしの経緯も。→「東京魚市場卸協同組合:債務調停 監事が責任追及要請」 http://j.mp/97YS5d

 

00:00:21 農水省はTPP参加を食い止めを!また、農水省第9次卸売市場整備基本方針(仲卸の縮減明記や生産者側は園芸農協1名のみの目茶目茶な人選など、審議会メモ→ http://bit.ly/aL3h2N )での徹底的な構造改革路線&業者行政を基本計画策定時に見直し、日本の農業漁業の滅亡抑止を。

 

00:25:10 【拡散】本当に悲しくやるせないことがあっても意志を継ぎ生き延び明日を作るにはご飯を食べなくてはならない。日本の台所の官製地上げと密接な、築地仲卸分断の暗部が見えてきたこのニュース!→毎日「東京魚市場卸協同組合:債務調停 監事が責任追及要請」 http://bit.ly/9lxHXF

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