昨日の広島原爆の日には、深夜までニュースに触れることもできませんでしたが、今さらながら核抑止力を強調した総理はどんな経緯で何を考えたのでしょう。

「核兵器廃絶の緊急性に気付かず、人類滅亡が回避されたのは私たちが賢かったからではなく、運が良かっただけだという事実に目を瞑(つぶ)っている人もまだ多い」という秋葉広島市長の平和宣言の言葉を総理は聞かなかったことにしたのかもしれません。

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先日のエントリーでもお知らせした、東京都の築地官製地上げ・汚染地への移転に関する技術会議の中で、コール&レスポンスよろしく、東京都にもっぱら有利な意見(と言っても無理筋の)を出している長谷川委員は、東京都OBの委員であり(都知事によれば最高権威※だそーです)、しかしいかにも酷い準備不足と事実誤認が目に余ります。

権威という概念に弱く、自らの力で権威者に仕立て上げることに至上の喜びを感じるらしい都知事は、「最高権威」とまで称して、そんな身内を褒めちぎっています。

2010-07-23
産経MSN
パンダ「ちっともかわいいと思わない」 石原都知事
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100723/lcl1007231949005-n1.htm

(略)
『汚染の除去は可能』と、最高権威の方々が実験結果を是としてくださったことは、
大変光栄だと思ってます。
(略)
(管理人注:この後、アスベスト問題をまた言っています。これはほぼ処理が終わっているもので、
 交通事故多発で機能しない、天井崩落、とともに都知事が繰り返す嘘3点セットです)
相変わらず蒙昧というのか何なのか特定しがたいひどすぎる発言ですが、ここで光栄に思わせておきっぱなしなわけにはいきません。

「最高権威」(イシハラ都知事による)の判断がどんなものだったのか、その一端を、

2010-08-03
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ<11>(会議の珍妙なやりとり・「米ぬか」?)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10607656528.html

でも一部触れました。

さらに重点をご紹介いただいたメールを転記します(了解済みです)。

ここから~~~
7月22日の技術会議での長谷川委員(元都の職員)の発言が問題だと思います。
下記抜粋です。

ーーーーーーー
1、 適用試験の公表における技術会議の役割とは。第13回技術会議の記録から分
かったこと。委員は当日[22日]報告書を初見でコメントをしていた。 
    資料を精査せずに、技術会議がその場で結論を出すことに問題はないか。

  【 初期値と調査地の問題について 長谷川委員】
  「初期値と既往値の関係を見ていると、
今見たばっかりで申し訳ないけれど

No.9のベンゼンは逆に初期値のほうが高くて、一番処理効率を見る上で気になるのは、
④の中温処理のNo.10、初期値が0.027、前の調査は430mg/l、多分これが基準の
43万倍だが基準以下になったかどうかでなくこういう高濃度のものが処理できたかが
気になると思うが、先ほどご説明があったように20万倍の濃度を人工的に作ってやった
ということなので問題無いと思う。以上です。」

 ベンゼン調査値43000倍についても43万倍という間違いもありました。
ーーーーーーーー

ベンゼン汚染の43000倍という数字は何度もマスコミが取り上げていますから、
一般人でも、43万倍という様な間違いはしないと思います
検査値は430mg/lとも同時に発言しているので、環境基準値0.01mg/l が頭に
入っていない様にも思えます。
都がせっかく20万倍の試験体を作ったとして報告しているのですから、
間違いに気付いてもよさそうなものですが、その後の訂正もありませんでした。
石原都知事は記者会見で「最高権威の判断を信用しなくて
どうする」

という主旨の発言をしていますが、最高権威がこれではどうでしょう。
昨年の2月の報告が出るまで、委員会が公開されなかったのは、間違った発言が公開
されるのを恐れたためではないかとも勘ぐりたくなりました。

長谷川委員の履歴
長谷川猛さんは、東京理科大卒で45年入都、
平成3年に水質規制課長、
5年港湾局参事、

7年環境科学研究所参事、
9年アセス担当部長、
12年環境改善部長、
13年環境局総務部長、

14年環境科学研究所所長(非常勤)です。
2004年の都政人名鑑より抜粋


環境科学研究所とはhttp://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/kankyoken/
[財団法人]東京都環境科学研究所  です。
ここまで~~~

いやはや・・・何度見ても、これが日本の最高権威とは衝撃的です!

座長は首都大学東京学長(身内)、そして、環境(土壌汚染)関係委員は東京都OBで、その委員、当日になって資料が初見でなおかつあの有名な4万3000倍のベンゼン汚染に対して、43万倍(10倍違い)という驚くべき間違いをしています。
単なる言い間違いでないことは、2回も言っていることから間違いないでしょう。
また、環境基準と比較して矛盾に気づかない点、追加実験がわざわざ余裕を見て20万倍としている(この実験そのものが無意味なことは別問題として)のに、20万<43万に気づかないのもすごいことです。

こうした場合、一般論ですが、本質的に、

 ・非常に数字に弱い
 ・非常に科学に疎い
 ・持論以外を聞く耳をもたない
 ・理解能力や記憶力に著しく乏しい

のいずれか、あるいは全部なのでしょう。

コメントするまでもないですが、一般の方が、苦手を持っていたりがんこであったりすることと今回のことはまったく別の意味を持ちます。

上記メール引用と同じ点に触れている、8月2日の第14回技術会議の後の記者会見(「市場を考える会」と有識者・都民による)から抜粋します。
なお、記者会見の(ほぼ)全文は以下エントリーに掲載しています。
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10608328148.html

都民代表
都民として取り組んできた。
コアサンプル訴訟、汚染を知りながら購入した公金支出賠償訴訟の
2つの裁判を抱えている原告。
今日の技術会議で気になったことをまず申し上げたい。
60万m3に対して調査すると結論付けた(報告書p.16)、
土地区画整理事業で搬入された土について発表した。
しかし持ち込まれた土はどうだったか。
都市整備局に搬入時の記録を開示請求したが、
区画整理事業全体でトラックが適当に入っておいていくので把握できていないという
清水課長の話だった。
全体で60万m3、東ガス43万m3
管轄しているところが分かっていないと言っている。まず判別できるのか。
100万m3あるなら全部調査しなくてはならないのではないか。
記者会見で申し上げたいことをカラーの配布資料にまとめた。
技術会議のあり方。何のために行われたか。
22日に長谷川委員、元東京都環境局総務部長だが、発言内容に驚いたので書き込んだ。
初期値と既往値の関係は「今みたばかりで申し訳ない」と報告書を所見だったと言ってている。
しかも4万3000倍を43万倍と言っている。2回も間違っている。
数字は正しく言っているので環境基準そのものが頭に入っていないと思った。
その後20万倍の検体と言ったが気づかず訂正しなかった。
初見で見た報告書の1~2時間後に「問題なし」と結論付けた。
技術会議メンバーはそこで判断してOKとした。
長谷川委員は東京都のことに積極的に発言した。
最初から決まっていたのではないか。
都知事は「有数の権威ある人が判断するから問題ない」というが、最高の権威が
この程度か、これでいいのかと思う。
わたしも、実験の手順や実施内容や評価基準や情報開示などがまずい、というより話にならないことは、従来からだいぶ多くをこちらのエントリーでも書かせていただいていますが、委員は案の定の、いえ、その予想をはるかに上回る状態だったことがはっきりしました。

そして、都知事だけでなく、人々の安全と健康を司る市場長も、委員持ち上げ発言に出ています。
こういうのを思考停止と呼びますね。

岡田市場長
委員の皆様には忙しい中、限られた時間の中、報告書をまとめてくださいましてありがとうございます。
ほぼ全ての実験結果について知見が得られたこと、新たなご提言もいただいた。
これは、都の土壌汚染対策を確実に実施していけば、豊洲新市場予定地の土壌汚染が
確実に除去されることを示したものでございます。(管理人:出ました、嘘八百!)

こうした結果に至ることができたのは年末年始も返上して実験の仕様書を作った職員
あるいは土日も出勤してデータをまとめた職員の努力があったことと思います。
(傍聴人失笑とともに騒然「話になりゃしない」)
実験に委員の方々の適切なアドバイスがあったものと考える。
改めて感謝を申し上げるとともに今後対策工事をする際には様々な相談をすることもあろうと
思いますのでどうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。

また盛り土の安全性につきまして技術会議からご提言いただきました調査に関しても
都としても提言を踏まえて具体的にこれから検討して参りたい。
今後、都としてはご提言の内容と今回実験で得た知見をもとに、
今後反映すべく引き続き検討をして参ります。
いったい、でたらめな汚染浄化実験を正当化しただけでなく資料もろくに読んでいない技術会議のどこが「最高権威」なのでしょうね?
これで秋には土地買収1260億円を含む1281億円の移転関連予算を執行させようというのだから(少なくとも自公は乗り乗りです)開いた口が塞がりません。

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