今日の2つめのエントリーです。

豊洲新市場予定地の汚染浄化が「できるということを示す」ための第13回技術会議(今日が第14回です)の記録には奇天烈珍妙なところが満載ですが、特に呆れ返る、もはや「マッチポンプ」と言っていいような議論に関する部分、そしてこれまた呆れた追加実験(米ぬか、トウキビ芯などを利用!しかも特許があるのかを未調査など)のテキスト化をこちらに記載します。

まず、初期値などについて、また土壌汚染対策法の規定も満たさないでベンゼン実験をしている点について、長谷川委員(これでは実質お身内ですね。東京都の港湾局にもいらした方です。→前 (財)東京都環境整備公社 東京都環境科学研究所 所長)がいろいろと発言をされているようなので、その一部を抜粋します。

岡田市場長
ただいま説明があったデータの取り扱いについて。
データは実験の概要、諸条件、結果、それに対する考察など一連のデータとして一括して考えている。
本日全てのデータが示されたので全体を見たうえで実験の有効性について審議したい。
本日の会議に示されたデータはいろんな意味で非常に貴重なもの。
そういう意味ではこれまで技術会議や事務局に非常に慎重に取り扱っていただいたわけですが、
(管理人: それが中間報告の墨塗りデータ)
これに示された技術データは個々の問題についてはそれぞれ関連の会社等で実績が
あったりしましても、こういう組み合わせた格好でデータが出てくるのは、非常にシステマチックな
データとして意味がある、今まであまり例がございません。
そういう点から整理してきちっと一括して公表するということに意味がある。
本日まで個々の実験の進行にしたがってデータを出してこなかったことはこういった配慮に
基づくものでございます。ご理解いただきたい。
ではご審議いただきたい。初期値について。委員の皆様に、資料の説明を。

事務局(東京都職員)
それでは資料の4ページに。左上にまとめをしている。
3ページ表2-2-1とあわせて確認を。
まとめ1。初期値が既往調査値に比べて低いものばかりでなく、初期値のほうが高い区画もあった。
2つめ。初期値と既往調査値の違いは汚染分布が均一でないこと、
試料採取法方法がことなること。
3つめ。既往調査では43000倍のベンゼンが検出されたNo.10地点について、初期値は低い濃度、2.7倍になっている。
これは高濃度汚染が広く分布するものでなく局所的に存在するためと考えられる。
No.10では既往調査値に対して模擬的に中温加熱の実験を行っている。
20ページ、3-4-4を。
20ページの右側に中温加熱の補完のための追加実験。既往調査で確認された
43000倍の高濃度のベンゼン汚染土壌を対象した場合の浄化能力を対象とした。
模擬土壌が43000倍の汚染濃度を目標に、気温調査で実際に43000倍が検出された
区画の土壌にベンゼンを添加して実験をした。
なお、ベンゼンは揮発性が高いので43000倍そのものの模擬土壌を作成するのは難しいので
(管理人:それで揮発性で一過性であるというニュアンスを出しつつさらにマージンを見たというのは印象操作と言われてやむなしです)
43000倍を上回るものを作成したところ20万倍となった。これに中温加熱処理をしたところ、
結果が3-4-5に示すように浄化が確認された。
ではまた4ページに。まとめが④。
初期値が環境基準以下だったものについて。
No.2のベンゼン。同じベンゼンがNo.1、3で初期値を超えている。
環境基準を超えていないのがNo.4のシアン化合物、No.5、6でシアンが環境基準値以上。
No.9の、12、13のヒ素が環境基準値以下。No.8が超えていた。
よっていずれの処理も実験として成立していると見た。
地下水については。表2-2-1。
No.14ベンゼン、No.16鉛について初期値が環境基準値以下だった。
No.17、18の実験を追加した。
地下水についてのまとめ、4ページの右下。2つめ、既往調査値の違いは
既往調査の段階から、汚染地下水の希釈や分解等により変化したことが考えられる。
3つめ。地下水汚染の状態は既往値から今回の初期値の値に変化したと考えられる。
(管理人:酷い仮説です。安全な5点の平均を取っている可能性もかなり高いですね!
 だいたい、この2年でどうして急に自然に汚染浄化が進行したのでしょう?
実験の初期値に対して比較を行うのが妥当と考えられる。
(管理人:妥当でない可能性が著しく大!)

そしてここからも、不可思議かつ珍妙なやりとりが続きます。

岡田市場長
初期値が低かったことについて説明があったが委員から。
では長谷川委員、何かコメントございますでしょうか。

長谷川委員
浄化実験の目的は浄化による処理効率を求めるものであり、
そういう意味では原位置微生物処理を除いては汚染土壌を掘削して混合して処理をする。
処理中・処理後の値が平均値となる。
処理前の初期値も平均値でいいんじゃないか、と思っております。
具体的には平均値の取り方、図2-2-1にあるが、10m10m深さ1mで混合しているが
土壌汚染対策法での汚染土壌を場外に搬出するとき「5地点から取れ」とあるので、
ここにあるように法律に準拠している。
ちょっと1点確認したい。
(管理人:事前に委員で話し合ったのではないですか?都から打診がなかったでしょうか?)
土壌汚染対策法では重金属については取った5地点を混合しろとあるが
ベンゼンは揮発性のため、5地点を混合してはならず1点だけとって分析に供するとあるが、
ベンゼンについてはどうやって分析したか、そこだけ確認したいが

事務局
ベンゼンについてだが、混合時の揮発を避けるため1地点とある。
今回の調査は先生仰っていただいたように浄化効率の調査です。
汚染土壌は処理過程で混合されるため、平均濃度を求めるのが正しいと考えた次第で。
このためベンゼンにつきましても委員の先生の了解を得まして
(管理人:まさか長谷川委員その人、ではないですよね??)
このような混合法で行っている。

長谷川委員
混合法とは、いわゆる採取したときに混合してはいいけないことになっているが、
多分揮発を避けるためには、分析をする、溶出試験をする段階で、
等量ずつ溶出試験をかけなくてはならないが、そういうやり方をしている?

事務局
その通りです。ヘッドスペース、空気が入って揮発しないように瓶いっぱいに土壌を採って
分析時に等量を混合している。
(管理人: 要するに土対法のルールをも満たしていないわけです)

長谷川委員
先ほどの話通りでしたら、原位置微生物処理を除いて、
平均的土壌を処理して平均的な値を取る、そういう意味から5地点を採って平均値を取る
ことは問題ないと思う。
(管理人:まさか長谷川委員その人が起案して本人が回答しているわけはないですよね??)
初期値と既往調査値、これずいぶん見ているとグラフ2-1-3を見ているとだいたい同じような
傾向があるが、非常に離れているのを見ると初期値のほうが低くて既往調査値のほうが高い、
これはスポット的な汚染があったのではないか、
5点平均のほうが処理効率を見る上で妥当で、先ほど言いました43万倍
(管理人:43000倍ですよーー)
なんかは局所的汚染だったんじゃないかと思う。
今回の処理法自体、原位置微生物処理を除いて、混合したやつが基準以下になるかどうかが
問題であって初期値で評価すること自体、値がこういう値になるのはある意味自然で、
特に問題ないんじゃないかと思います

岡田市場長
どうもありがとうございます
今の説明について事務局コメントありますか?よろしいですか?
初期値に関してさらに議論は必要でしょうか?
初期値が環境基準値以下なところが沢山あったが、そこに補足されますか?

<ここから、お墨付きをうけたとして事務局の説明が始まります>

さらに呆れたのはこちらです。
掘削微生物処理の「追加実験」と称し、「昇温剤」として、なんと、
「米皮ぬか、米ぬか、トウキビぬか、トウキビ芯」
を使った追加実験をしていますが、その材料だと特許などがあるのではないか、という質問に、
それは全く調べていないという回答があります。

またそもそも、昇温の効果だけを見ると言いながら、矢木委員(委員の中では多分、唯一と言っていいくらい、東京都の姿勢に対して、多くの疑問を挙げて下さっています)も問題提起したように、栄養を与えてしまって微生物の状態も違うのですから、これでは実験にならず、単にお金を無駄に使いましたというだけではないでしょうか?

事務局
3-1-4、掘削微生物処理についての追加実験につい説明する。
この追加実験は、分解特性を把握するために個別に実施。
目的は、昇温効果の確認、原位置微生物処理対照土壌、ベンゼンだけでなくシアン化合物が
含まれているということだが、これに対する昇温効果の確認。
表3-1-4。No.3については昇温剤を用いた昇温試験。
右上の表3-1-5、有機試剤として、米皮ぬか、米ぬか、トウキビぬか、トウキビ芯と、
その違いによる昇温効果の確認をしている。
表3-1-4のNo.4、No.6について、設定温度を変えて実験をしている。
表3-1-5に結果。4種類の有機試剤、いずれについても昇温効果が得られている。
表3-1-6。結果は示した通り。ベンゼン浄化の確認。
No.6シアン化合物は数値があまり変わっていない。
p.10。図3-1-10。上がベンゼンのみ、下がシアンも含まれているもの。
浄化のスピードが比較できる。
追加実験の考察。すべての試験でベンゼンの浄化が確認された。
米皮ぬか、米ぬか、トウキビぬか、トウキビ芯ともに40~60℃までの昇温効果が確認。
ベンゼンの浄化速度は60、40、20℃の順で速いことを確認。
ベンゼンとシアンの複合汚染土壌も掘削微生物処理でベンゼンの浄化が確認。
シアン化合物がベンゼンの浄化の阻害要因にならないことも確認。
シアン化合物の濃度経過は確認されなかった。

掘削微生物処理における分解特性について、矢木先生コメントを。

矢木委員
9ページのほうなのですが、この実験は米皮ぬか、米ぬか、トウキビぬか、トウキビ芯といった
こういったものが先ほど使った昇温剤と同じような効果かどうか。
だから温度の効果を見られているが、いずれも温度の効果なのか、こういった物質があれば
(管理人:栄養があるので)微生物も変わってきてしまうという2つのポイントがある。
そういう意味ではどちらか、この実験では分からない。
温度の効果、3-1-4のところで、中温設定が40℃、高温設定が60℃、これは昇温剤を
加えないで40、60℃でやった実験だと思うが、このとき結果がどうなるか興味があったが
3-1-10を見ると、60℃のほうは落ちていくが、40℃のほうは低い濃度でも落ちていかない。
60℃にすることで揮発してしまう、ベンゼンが飛ぶのだと感じる
ただし、微生物のほうが違うから分からない。
なぜこのように最初のほうの変化が違うのか。
泥としては同じ泥を使っているんでしょうから。

事務局
同じものを使っているがNo.4、現地微生物では処理の低減効率が長くかかってしまった、
掘り上げてきたものを実験室では比較的速く(濃度が)落ちた。
土壌の透水性の問題、14ページに5.2X10-7/secと
透水係数があるが、現地の場合だと
通りにくかった。
実験室に持ってきたら通気性がよくなって、かなり低減されたと。
(管理人:全然条件が違うと言っていますね!)
40℃と60℃でどうなったか我々でもなかなか説明がつかないところ。


候補になりうるというころだが、本来どの微生物か調べておかなくてはならない。

矢木委員
環境中にはベンゼンを食べる微生物は多いが、
米皮ぬか、米ぬかでベンゼンを食べる菌が増えるようだったらいいが、
これを見ると3日めくらいで同じようなデータになる。
そういう意味では、短期間で、3日間で落ちてしまうので
(管理人:3日しか効果がないということですね!!)
この泥で昇温剤を入れないでやった場合にはどのくらいで低減するかが必要なデータでは。


トウキビ芯は安いからこれにしたんですか?米ぬかより安い?

事務局
今回、値段でなく効果が得られるかを見た。これを温度だけで実験した。


こういうのを実際にやるときは性能保証をすると思うが、昇温剤にトウキビ芯がいいとなったら
浄化処理しようとすると業者が特許を持っているということはないか。
この実験では値段ということもあるし、温度が上がるのは米ぬかだから(それを選ぶ)という
ことは可能?

事務局
実際に工事をするにあたって特許があるかどうかは問題になる。
こういったものは今後調査をして適切なものを使っていきたいと考えている。
(管理人:「問題になる」のに調べていないと)
今回、米ぬか系を採用したが温度が高くなるという利点があるから。
今後、どういった材料を使うかは特許なども吟味するよう配慮する。

そもそも透水係数が異なる状態にしていると認めており、さらには特許は未調査で費用が見積もれないそうです(本当でしょうか?業者さんとの話し合いをしていたりしないでしょうか、疑問が残ります)。

この実験が成立しないことは度々指摘しましたが、こんな緩い心構えで大規模な官製地上げが正当化されるはずがありません。

ひとつ前のエントリーでもNatureの紹介をしましたが、この問題には世界が注目しています。