村野瀬玲奈さんの5/22のエントリー『介護保険制度は行き詰まりつつあるのではないでしょうか 』ぜひお読みいただきたいと思います。


以下に一部引用させていただきます。


福祉や社会政策に責任を持って国民全体に向かって取り組むことができるだけの予算的資源と人的資源を持つことが可能なのは政府しかないと私は思います。社会保障の中身など見ずにただ社会保障費を金額ベースで削るだけなら、そんな無能な政府はいらないし、与党も今すぐ下野するべきでしょう。今の政府自公チュー与党には政治はできないという確信は深まるばかりです。

心からうなずきます。高福祉高負担か低福祉低負担か、という議論を、キーワード(あるいはワンフレーズ)で国民に突きつけるものではなく、それぞれのプランであればどんな選択肢があるか熟考して、誠実に示すことが政府の仕事です。もちろん無駄は排除し、「お政府様」が私益を得ないということは大前提です。


政府が本質的で、その分困難な意思決定を避け、ただひたすらお金(社会保障費)という単一の、簡便すぎる指標を使って、本来の責務を放棄し続ける口実にするならば(それがたとえ「優秀な官僚」によって提起されたものであったとしてもです)、まったくそんな方々に統治機構の舵取りなど任せられるはずがありません。

そして、上記の村野瀬玲奈さんのエントリーに書かせていただいたわたしのコメントをこちらで再掲します。

政府不在の自立支援法と介護保険の「普遍化」


玲奈さん、こんばんは。

後期高齢者医療制度では、65歳以上の障碍を持つ方は対象に組み入れようとする理不尽さがありますが、このことと関係して、障害者自立支援法は介護保険との「統合」を長年厚労省が目指して成立させられた、という詳細な出自をかつて聞き、不明を恥じるとともに、とても驚きました。


下記の資料では(8年前)、「障害者についても、40歳以上の者は、原則として介護保険の被保険者となる」という表現があります。
http://www.kaigoseido.net/kaigohoken/k_document/000324kannkeisei.html


なお、この構想は迷走を続け、「統合」という言葉を「普遍化」に変えながら、続いているのが昨今の状況だそうです。
介護保険と障害者施策が共倒れになることを関係者の方々も大いに懸念しています。


以前、このことを少し書いたエントリーをTBさせていただきますね。
わたしのエントリーでの典型的に悪いパターン(長すぎて重要な箇所が最後)ですが(汗)、かいつまんで言うと、説明パンフレットの全体像に「国」「政府」の役割は書かれていないことが象徴的であると言えるかと思います。
http://www.shakyo.or.jp/pdf/pamphlet.pdf


* 2008-05-23
* 投稿者 : Rolling Bean

その、以前のわたしの元のエントリー は、返す返すも長く重すぎるテーマをいくつも書いていたので(時間をかけないとそうなります・・・)、ここでふたたび重要箇所をアップします。


その重要箇所、つまりは介護保険と障碍者福祉の「統合」、その後「普遍化」に置き換わっていますが(行政の言葉のあやレベルの変更)を、障碍者自立支援法批判の側の立脚点から見てみたいと思います。

たまたま、ある方からいただいたかなりのボリュームの資料があるためです。

2008-02-18

原発も基地も安全確保までが地方の「自己責任」なのですか(障害者自立支援法説明資料に片鱗を見る) 』から抜粋:

(略)

ちょうど先日、たまたまある方から、障害者自立支援法の問題を詳しくお聞きする機会があったのですが(静かに怒っていらっしゃいました)、なにしろその時に、一番わたしが驚愕したのは、厚生労働省が中心となり、全国社会福祉協議会と連名で作っている、「障害者自立支援法における新制度説明パンフレット」の冒頭の、「システム全体像」に、国・政府の関与する部分がまったく図示されていないということでした。

パンフレットのURL(PDF)
http://www.shakyo.or.jp/pdf/pamphlet.pdf


(クリックで拡大)
自立支援法パンフより


・・・本当に、全体像のどこにも「政府」にあたる文字や図形がありません

悪質な冗談、あるいはブラックなパロディなんじゃないかと思えます。


当然、このこと自体も見過ごすことはできません。

そしてこのきれいごとパンフレットで、政府もついうっかりいつもの本音を漏らしたのだな、という確信を持ちます。


さらには、これを見てしまった以上、地域ぐるみとか自己責任であるとか自助努力であるとか小さな政府、という毎度の言葉のうさんくささを再び強調しないわけにはいきません。

福祉に対しても、エネルギーに対しても、基地に対しても、きっとこの行政のスタンスは変わらないと見ざるを得ません。


「あらゆる交付金はその費用を込みだったんですよ」などととぼけないで頂きたいものです。


国やそこに住む人のために必要とされ、かつ地方の「協力」を求められることごとくのシステムの「全体像」に、政府の責任を示す位置は正しく示されているのですか?

国が何をするかを一切コミットしないようにしている、と見ていいでしょう。


~~~


また、障害者自立支援法の前段階の側からみた、そもそもの発端として顕著な証拠は、平成10年(つまり1996年)の、「社会福祉基礎構造改革(中間まとめ)」にあります。

http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1006/h0617-1.html


さらに、これがその2年後になって、「介護保険制度と障害者施策との適用関係等について」として、介護保険と障碍者福祉がなぜ(いえ、もちろんカギカッコつきの「構造改革」のためでしょう)かいっしょくたにされます。


コメント引用でも挙げた、

http://www.kaigoseido.net/kaigohoken/k_document/000324kannkeisei.html

から抜粋します。


発想が分かると思います。40歳以上、65歳以上、という点に注目し、また高貴高齢者医療制度のことに思いがいたります。


以下引用部分の機種依存の丸数字は厚生省(当時)の原文ママです。


障企第16号

                            障障第8号

                            平成12年3月24日

  都道府県

各 指定都市 障害福祉主管部(局)長 殿

  中核市

 

                   厚生省大臣官房障害保健福祉部企画課長

                   厚生省大臣官房障害保健福祉部障害福祉課長

 
 介護保険制度と障害者施策との適用関係等について

 本年4月1日より施行される介護保険制度と障害者施策(身体障害者施策及び知的障害者施策をいう。以下同じ。)の関係や、身体障害者及び知的障害者(以下「障害者」という。)への適用等についての考え方は次の通りであるので、ご承知の上、管下市町村及び関係事業者等関係方面への周知、指導等について御配慮願いたい。

 

1.介護保険制度と障害者施策との適用関係の基本的な考え方について

(1)障害者についても、40歳以上の者は、原則として介護保険の被保険者となる

 ただし、次の①~⑥の施設に入所又は入院している者については、当該施設から介護保険におけるサービスに相当する介護サービスが提供されていること、当該施設に長期に継続して入所又は入院している実態があること等の理由から、介護保険法施行法第11条及び介護保険法施行規則第170条の規定により、当分の間、介護保険の被保険者とはならないこととされている。


① 身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第30条に規定する身体障害者療護施設

② 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第43条の4に規定する重症心身障害児施設

③ 児童福祉法第27条第2項の厚生大臣が指定する国立療養所等(重症心身障害児(者)病棟又は進行性筋萎縮症児(者)病棟)

④ 心身障害者福祉協会法(昭和45年法律第44号)第17条第1項第1号に規定する福祉施設

⑤ 国立及び国立以外のハンセン病療養所

⑥ 生活保護法(昭和25年法律第144号)第38条第1項第1号に規定する救護施設


(2)65歳以上の障害者が要介護又は要支援状態となった場合(40歳以上65歳未満の者の場合は、その要介護又は要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身上の変化に起因する特定疾病によって生じた場合。(以下「特定疾病による場合」という。)には、要介護又は要支援認定を受け、介護保険から介護保険法に定める保険給付を受けることができる。その際、障害者施策と介護保険とで共通するサービス(以下「在宅介護サービス」という。)については、介護保険から保険給付を受けることとなるので、支給された介護給付と重複する障害者施策で実施されている在宅介護サービスについては、原則として提供することを要しない。また、障害者に対する在宅介護サービスの適切な提供を行う上で、当該障害者の要介護状態等の把握を行うことが必要となるので、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者が、在宅介護サービスを利用しようとする場合は、介護保険法に基づく要介護等認定申請を行うよう、周知徹底を図られたい。

 なお、特定疾病による障害がある者の把握については市町村が備える身体障害者更生指導台帳及び身体障害者手帳交付状況台帳によりチェックすることとなるが、市町村において十分な情報を把握できないとして、都道府県や更生相談所に対して情報提供の依頼があった場合には、市町村に対して積極的な協力をお願いしたい。

 なお、事業者が介護保険の保険給付として在宅介護サービスの提供を行うためには、「指定居宅介護サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年3月31日厚生省令第33号。以下「居宅サービス基準」という。)の要件を満たし、指定居宅サービス事業の指定等を受けることが必要であるので、念のため、申し添える


(3)一方、障害者施策で実施されている在宅サービスのうち、ガイドヘルプサービスや各種の社会参加促進事業など介護保険の保険給付にはないサービスについては、引き続き障害者施策から提供される。

 なお、これらの障害者施策で実施されている在宅サービスについては、介護保険制度における居宅介護サービス費区分支給限度額の対象となる居宅介護サービスとならないので念のため申し添える。


(4)施設サービスについては、介護保険施設と障害者施設とでは、それぞれ目的、機能が異なっており、これらに照らして、障害者施設への入所(通所を含む。)が必要であると認められる場合には、介護保険法に定める保険給付を受けることができる場合であっても、障害者施設への入所(通所を含む。)が認められる。

(略)

そして、さらに3年後(政府表記平成15年です)に支援費移行制度 (左記はQ&A集)が成立してしまい、その支援が「措置」から「契約」に切り替えられ、美しき「自己決定」が謳われるようにいました。

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/syakai/sienhi/030128/index.html


その後も変遷を経ています。一貫して共通する、福祉削減のためにあらゆる浅薄な口実が並べ立てられていたことが詳細な資料で明らかにされていて、鳥肌の立つ思いがしました。

(数十枚あるので、また折を見て内容をよく検討しこちらで紹介したいと思います)


そしてコイズミ内閣において、支援費制度が「ぶっこわされ」、自立支援法が成立させられたことは記憶にも新しいところです。その間に、後期高齢者医療制度も成立させられ、偶発的に社会的な立場の弱さをもつ方々が、その自らの存在に罪悪感を持たせる仕組みがいっそう強化されていることに、「やり場のはっきりした怒り」を抱きます。


~~~

電子投票制度反対!トラックバックピープル(see21さんによる開設とロゴ)

電子投票制度反対!




UNPLUG KASHIWAZAKI-KARIWA

引き続き、柏崎刈羽原発停止への署名↑をお願いいたします。

被災された方々の不安と風説被害に心よりお見舞い申し上げます。

「運転再開は白紙」と所長が年頭会見で強調されたそうですが、動向を見守りたいと思います。

ブログランキング

(よろしければクリックをお願いいたします。ランキング:ニュース全般)


---

トラックバックピープル「自民党」 に参加しています。

トラックバックピープル「郵政民営化法案の凍結」 に参加しています。

トラックバックピープル「M&Aをやめろ!キャンペーン」 に参加しています。

トラックバックピープル「衆議院選挙 野党共闘に参加しています。

トラックバックピープル「自民党政治」 に参加しています。

News for the People in Japanリンク集 に登録していただいています。