先日まとめていた大間原発の情報をアップします。


かんすけさんのエントリー『「大間原発」をめぐる2つの社説。 』(ニッポンを改造するBYかんすけ)への補足になっているか どうか、自信がありませんが(長くなってしまったので)、ともかく、


> 個人的に「読売新聞は原発を楽観視しすぎなのではないか


と書かれている部分に賛同です。


ここから先が情報となります。これまでのエントリーのリンクも示します。

~~~~~~~~

プルサーマル(フルMOX燃料による運転を計画する)での実用運転を試みる、大間原発(電源開発)の設置に対して、この4/23に経済産業省から許可が出されてしまいました。

この施設は、六ヶ所村再処理工場で分離したプルトニウムを用いる ものです。


政府の洞爺湖サミットへの手持ち土産のつもりでしょうが、フルMOXで稼動しようなどあまりに暴力的です。


本件の許可について、また、読売北海道新聞 の対極的な社説について、かんすけさんからコメントをいただいて います。

まだ的確な補足資料になっていないかもしれませんが、これまでにまとめていた資料をアップします。

経済産業省

電源開発株式会社大間原子力発電所の原子炉の設置の許可について

本件の概要
 平成16年3月18日付け電源開発株式会社から申請のありました大間原子力発電所の原子炉の設置については、本日、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第23条第1項の規定に基づき、同社に対し許可を行いましたのでお知らせ致します。


担当
原子力安全・保安院 原子力発電安全審査課 


公表日
平成20年4月23日(水)


発表資料

電源開発株式会社大間原子力発電所の原子炉の設置の許可について(PDF形式:121KB)


この資料には、「電源開発株式会社による大間原子力発電所設置の申請に対し、原子力安全委員会が定める指針等に基づき審査を行い、当該の原子炉の設置については、災害の防止上支障がないものと判断した」という一文がありますが、判断基準があいかわらず極めて不透明です。長い時間だけを検討の証拠にしていますが、必要性や安全性の十分な説明ができなかったこと、再処理を含めたトータルの危険性(※)を無視していることも、雑すぎます。


(※)美浜の会の以下の資料などもご参照ください。(PDF)

http://www.jca.apc.org/mihama/reprocess/rokkasho_series7.pdf


シリーズ:六ヶ所再処理のここが問題(7)

胎児や乳児を苦しめる人工の放射性ヨウ素
ヨウ素を大切に使うという人類進化の結果がもたらす皮肉な危険性
青森県はなぜわざわざヨウ素の影響を無視するのか
2008 年4 月14 日 美浜の会



また、大間原発の着工延期については、昨年8月に、弊ブログエントリー

柏崎刈羽原発:「現時点では顕在化していない損傷」にIAEA言及(当然です!)

で触れましたが、関連箇所を引用します。


ここから~~~


同じく8/20に、大間原発の着工が延期されたそうです。


*MOX燃料を用いる大間原発についてはこちら:

原子力資料情報室 投稿日時: 2005/7/12 14:21:42
大間原発-10月に二次ヒヤリング開催、函館市を対象地域に追加

◆大間原発は、ABWR型原子炉で全炉心にMOX燃料を装荷する予定になっている。現行のプルサーマル計画では、MOX燃料の装荷は最大でも炉心の1/3までとされている。国や電力会社が宣伝する海外の知見でも、全炉心にMOX燃料を装荷した商業原子炉はない。


Wikipedia MOX燃料 」より短く抜粋します:
 問題点
 ウラン新燃料に比べ放射能が高いため、取り扱いが困難となる。


そして、MOX燃料による汚染として、セラフィールドの問題をご存知の方も多いと思います。

【セラフィールド関連記事】
*JanJan 07/05/17 ガンと放射能 英国科学者が警告


*The Guardianの記事もご覧下さい。
"Huge radioactive leak closes Thorp nuclear plant"  Monday May 9, 2005


ここからが大間原発着工延期記事です。

asahi.com MOX燃料の大間原発着工を延期 Jパワーが表明
2007年08月20日11時21分 Jパワー(電源開発)の中垣喜彦社長は20日、青森県大間町を訪れ、今月に予定していた大間原発(改良型沸騰水型、138.3万キロワット)の着工を延期すると表明した。新潟県中越沖地震により東京電力の柏崎刈羽原発が被害を受けた影響で、国の許可がおりる見通しが立たないためと見られる。Jパワーは、着工を延期しても、12年3月としている運転開始時期は当面変更せず、工程の見直しで対応したいとしている
 大間原発は、すべての燃料にMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)を使用する世界初の原発となる。許可されれば、新耐震指針に基づいて建設される原発の第1号となる予定だった。当初は06年8月の着工を予定していた。昨年9月に国が原発関連施設の耐震指針を改訂したことにより、耐震性を再評価するため、着工時期を今年8月に延期していた。これ以前にも、炉心位置の変更などで着工が16回延期されていた。
 中垣社長は、20日に開かれた金沢満春町長や議員らに対する説明会で、「安全性向上のため対応すべきものは対応し、早期着工に努力したい」と語った。
 同町の建設予定地では、すでに敷地造成などの準備工事が進んでいる。

~~~ここまで過去エントリー引用


電源開発(J-Power)が民営化された後、英国系投資ファンドTCIによる株式取得が推進され、さらなる追加取得には政府勧告で停止するように言われていました(しかし、それにTCIからの拒否宣言 がありました)。


このTCIというファンドについてのおさらいとして、FACTAの阿部編集長ブログを改めて挙げておきます。

泣く子も黙る? 笑う? 1年で550億円寄付
2007年07月03日


TCIにも利益をもって子どもを救うという理念はありそうで、市場開放主義者(あえて言葉を選べば)は、TCIを拒絶することに、「何でも外資参入阻止の愚」を大いに語ったりもしています。


市場開放ということを考えたとき、すべての案件が特殊で、一般化できる部分は極めて小さいのかもしれませんが、その分高度な判断が求められるということだと考えるべきでしょう。


コイズミ内閣により電源開発が民営化され海外に供出される可能性をどう見たのか、今からでもその腹積もりを聞いてみたいところです。


見直しの必要の大きい失敗続きの原子力・エネルギー行政と、加えて再考の余地だらけの企業を民営化したことの明確な失政を踏まえれば、今後の「国益」を考えるならば、単純に市場開放は是か非かという議論ではないはずです。


そうした事情があるにも関わらず、市場開放主義者は、本件の技術面の高いリスクを考慮をすることなく、あるいは大本営発表の「安全な原子力」を妄信して、どうも理論面での市場開放のあり方に拘泥しているような懸念を覚えています。


以下に大間原発関連情報を記載します。


◆大間原発反対運動からの情報:


原子力資料情報室 投稿日時: 2008/1/31
「私たちは大間の海を放射能から守りたい!!」、「Yes!!」【終】

― 大間原発問題・交流集会のお知らせ ―


― 原子力安全保安院への署名提出行動とヒヤリングのお知らせ ―

青森県大間町では、六ヶ所再処理工場のプルトニウムを利用するための原発、大間原子力発電所の計画が進んでいます。大間原発では炉心に、MOX燃料(プルトニウム燃料)を100%装荷する予定です。
同原発は現在原子力安全委員会で安全審査中です。実質的審査は概ね終了している段階で、柏崎刈羽原発を襲った「中越沖地震」が発生したために、地質・地盤問題について審議が行われています。しかしいつ「設置許可」が出されるか、余談は許されません。

大間原発建設に反対する大間町の対岸、北海道・函館市の「大間原発訴訟準備会」は建設反対の署名運動を展開し、下記日程(5日)で原子力安全保安院に提出・ヒヤリング行動を行います。また、その前日(4日)の夜には交流集会を開催致します。
「私たちは大間の海を放射能から守りたい!!」、「Yes!!」と思っている皆さん、どうかご参加ください!

(”緊急”のお知らせで申し訳ありません)



--------------------------------------------------------------------------------


【大間原発問題・交流”緊急”集会】【終】

日 時:2月4日(月)午後6時30分~9時

会 場:総評会館5階501会議室
http://www.sohyokaikan.or.jp/access/

内 容:
・故熊谷あさ子さんの在りし日のビデオ上映+サプライズあり
・報告:大間原発の問題点と安全審査の状況について(澤井正子)
・「大間原発訴訟準備会(函館)」の皆さんとの交流会

主催:原子力資料情報室+原水禁

問合せ先 :
原子力資料情報室(担当*永井・澤井)
 〒162-0065 
 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B
TEL:03-3357-3800  FAX:03-3357-3801


--------------------------------------------------------------------------------


【原子力安全保安院への署名提出行動とヒヤリング】【終】

日 時:2月5日(火)午前10時30分~
会 場:衆議院第2議員会館第4会議室
出 席:
原子力政策転換議員懇談会(金田誠一衆議院議員他)
原子力安全委員会、原子力安全保安院

(どなたでも参加できます。)(問合せは原子力資料情報室へ)


--------------------------------------------------------------------------------


◆大間原発について(電源開発)
http://www.jpower.co.jp/bs/field/gensiryoku/index.html
大間原子力発電所は、フルMOX(100%プルトニウム燃料)での運転を予定している、138.3万kW、ABWR(改良型沸騰水型)原発です。プルトニウム燃料を利用するプルサーマルも危ないのに、大間原発では炉心全部にプルトニウム燃料を装荷する予定です。この原発から津軽海峡に向かって原発の温排水が放出されます。そこはあの「大間のマグロ」が回遊している場所です。


◆故熊谷あさ子さんについて
大間原発用地のど真ん中に位置する個人所有地を売らずに、原発建設に反対し
てきました。電源開発はありとあらゆる嫌がらせや生活妨害を、大間町の原発推進派とともに熊谷さんに行ってきました。熊谷さんが断固として土地を売らないため、電源開発は大間原発の炉心予定地を無理やり200メートル移動させるという暴挙に出ました。(⇒原発炉心と熊谷さんの所有地の距離は約300メートル)原発敷地の真ん中に、広大な未買収地(熊谷さんの土地)が存在するまま、電源開発は原子炉の設置許可申請を行っています(下記参照)。熊谷さんは志半ばで2006年5月亡くなられましたが、ご遺族がその意志を引き継いで土地を売らずに、原発建設反対の活動を続けています。


--------------------------------------------------------------------------------


◆原子力安全委員会

安全審査の状況(大間原発は109部会)
http://www.nsc.go.jp/shinsajokyo/index.htm

大間原発の安全審査の議事概要
http://www.nsc.go.jp/shinsa/shidai/dai109bukai.htm


--------------------------------------------------------------------------------


【大間計画の概要】(電源開発)
電気出力:138.3万kW 原子炉型式
改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)
燃料 :低濃縮ウラン燃料、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料
工程 :着工 平成18年8月(予定) 運転開始 平成24年3月(予定)
(でしたが、安全審査がおくれているために、現在は???の状態です。=澤井)


【当初申請からの主な変更内容】 配置計画の変更は、主要諸元は従来と同様とし、既取得敷地範囲内において原子炉建屋の中心を南側に約200m 移動したものであり、当初の申請から、発電所の配置、工事計画、原子炉建屋の設置地盤、周辺公衆が受ける放射線 量等が変更となっています。


【主要経緯】
平成11年8月第141回電源開発調整審議会にて大間原子力発電所計画を平成11年度電源開発基本計画に組み入れることが決定平成11年9月通商産業省(当時)に設置許可申請書を提出平成13年10月原子力安全・保安院に審査手続きの一時保留願いを提出平成15年8月配置計画の変更を公表し、経済産業省に供給計画変更を届出

2003年と以前のものになりますが、大間原発を電源開発民営化に向けて有無を言わさず実現しようとするための、炉心の移動のニュースです:


原子力情報宅配便“CNIC EXPRESS” 2003年2月11日

■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■原子力情報宅配便“CNIC EXPRESS”■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■

=脱原発を実現する原子力資料情報室(CNIC)のメールマガジン=

No.0037 経済産業省が新たな原発優遇策・他【2003年2月11日】
原子力資料情報室(CNIC)Citizens' Nuclear Information Center


■[2]大間原発炉心位置移動

http://www.cnic.or.jp/news/release/2003/0210oma.html

大間原発炉心位置移動
-南側へ200メートル-

2003年2月10日
原子力資料情報室


 電源開発(http://www.jpower.co.jp )が青森県大間町に計画している大間原子力発電所計画は、炉心の位置を南側に200メートル移動させ、新たな設置申請が行なわれることになった。

 同原発は、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)で、出力138万キロワット、フルMOX燃料の装荷が予定されている。しかし計画は、カナダ型重水炉、国産の新型転換炉、ABWRと転々としてきた。99年に電源開発調整審議会に了承されたが、一部用地の買収が進まず、計14回も計画を延期してきたし、現在は安全審査凍結中である。

 それは炉心直下の土地の地権者が、「地域の将来を考えたら売れない」と、地域の中で孤立しながらも頑張って原発を止めてきたからだ。今回の炉心位置変更は、この未買収地を炉心から外せば計画が進むがごとくのイメージを流布し、地権者の説得に攻勢をかけようという、電発の非常に姑息なやり方だ。さらに今国会で予定され
ている電源開発の民営化法案審議に際し、「大間原発」という超不良債権をカモフラージュするための方便である。未買収地があるかぎり、事業申請は認められない。

 プルサーマル計画が頓挫し、もんじゅ判決で安全審査自体の信頼性も失われている現状で、政府や電力会社は、核燃料サイクル計画推進という建前だけを振りかざす姿勢を改めるべきである。大間原発計画は、その必要性自体がすでに失われている。これ以上立地地域を混乱させるような無責任な計画変更を中止し、原発計画そのものを放棄すべきである。


なお、この2003年の記事にある炉心下の地主さん(熊谷あさ子さん)についても、

「私たちは大間の海を放射能から守りたい!!」、「Yes!!」【終】

― 大間原発問題・交流集会のお知らせ ―

で言及されていますが、(日本での基地やエネルギー行政を訴える住民側がことごとく敗訴する例に漏れず)熊谷さん亡き後に電源開発の勝訴が確定しています。

東奥日報 2006/10/13

電源開発の勝訴が確定/大間訴訟
 大間町に原発を計画中の電源開発(東京)が、建設に反対する地元住民に、建設予定地内の共有地を分割して移転登記するよう求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)は十二日、住民側の上告を退ける決定をした。

 移転登記を命じた一審青森地裁判決をおおむね支持し、電源開発側の全面勝訴を言い渡した二審仙台高裁判決が確定した。

 住民側は「原発は極めて危険で分割請求は権利の乱用」などと主張したが、昨年五月の一審判決は「電源開発には民法上、土地の分割請求権が認められる。分割後の土地利用目的によって請求権が否定されるものではない」と判断し、住民側の請求を棄却した。

 電源開発は「まだ正式な書面が届いていないので、現時点ではコメントできない」と話している。

 住民側の代理人を務める河合弘之弁護士(東京)によると、最高裁から同日、「上告を受理せず」との連絡があったという。

 住民側の大間町の熊谷あさ子さん(五月に死亡)から訴訟を引き継いだ長女の小笠原厚子さん=函館市=は本紙取材に対し、「弁護士からきょう、電話連絡を受けた。敗訴が確定したが、大間原発阻止に向けた行動は続けていく」と語った。

関連新聞記事:


読売

大間原発 期待される“世界初”の原子炉(4月29日付・読売社説)

→正力松太郎氏の後継者を主筆に持つ推進派としての論説


道新

プルサーマル 地元の不安に耳傾けて(4月29日)
→住民の懸念(青森だけでなく北海道も)に誠実に向き合うべきという見解


毎日2008/4/24

青森・大間原発:経産省、設置許可 世界初「フルMOX」
→情報の提供


首都圏への電力供給のための大規模発電所をこの遠隔地に設けるには、送電ロスなどの問題もあります。


エネルギーを、電気という「使い出」のある形態(自由度が高いという意味です)に変換することのメリットのためには、「ある程度の」リスクや送電ロスを払ってしかるべき、というのがこれまでの電力行政の考え方でしたが、もしどうしても電気の利便性を享受していくなら、遠隔地からの配電を見直すことは、ピーク電力の削減にも寄与します。


原子力発電自体の大きな、潜在的な高リスクと、資源問題(67年分しかないウラニウム、プルトニウムサイクル構想の破綻)、無駄な建設コスト・稼動コスト(揚水発電で電力を捨てていること)とを避けるために、何をすべきか、何をしないでいくべきかは明らかです。


◆電力損失や揚水発電について:

2008-01-16
強行にはいつもアメとムチが: PAC3機材新宿御苑に配備と柏崎刈羽地区への「復興マネー全開」


~~~

電子投票制度反対!トラックバックピープル(see21さんによる開設とロゴ)

電子投票制度反対!




UNPLUG KASHIWAZAKI-KARIWA

引き続き、柏崎刈羽原発停止への署名↑をお願いいたします。

被災された方々の不安と風説被害に心よりお見舞い申し上げます。

「運転再開は白紙」と所長が年頭会見で強調されたそうですが、動向を見守りたいと思います。

ブログランキング

(よろしければクリックをお願いいたします。ランキング:ニュース全般)


---

トラックバックピープル「自民党」 に参加しています。

トラックバックピープル「郵政民営化法案の凍結」 に参加しています。

トラックバックピープル「M&Aをやめろ!キャンペーン」 に参加しています。

トラックバックピープル「衆議院選挙 野党共闘に参加しています。

トラックバックピープル「自民党政治」 に参加しています。

News for the People in Japanリンク集 に登録していただいています。