イージス艦の事故とその後の政府の対応のひどさに驚愕しています。

やはり国は国とその利益を取り巻く者のためにあるという考えなのでしょう、自衛隊はまた市民に危害を加える結果になりました。
高性能レーダーを備えたことを最大の特徴とする戦艦に衝突沈没するとは、想像を絶する出来事です。
(それにしても、テロリストの船だったら、などというまるで設備投資の観点からの発言をした大臣にも呆れます)

過失往来危険容疑が適用されそうだということですが、その責任の大きさと過失の度合いは何かと比するべくもありません。漁船に乗船されていた父親と息子さんが、なんらかの形で漂流していないだろうかと、ふたつに割れた漁船の様子を見ながら、願い続けないではいられません。

しかも、業務上過失往来危険ってこれですか??

Wikisource 「刑法」  より

(過失往来危険)
第百二十九条 過失により、汽車、電車若しくは艦船の往来の危険を生じさせ、又は汽車若しくは電車を転覆させ、若しくは破壊し、若しくは艦船を転覆させ、沈没させ、若しくは破壊した者は、三十万円以下の罰金に処する。

その業務に従事する者が前項の罪を犯したときは、三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

まさか、イージス艦の艦長だけがこの処罰を受けて(さらに「再発防止」を謳って)終了、などではなく、真因に迫る努力は行われるのですよね?
西日本新聞
イージス艦、漁船と衝突 船体割れ父子不明 業過往来危険容疑 海保が艦内捜索 千葉沖

 19日午前4時7分ごろ、千葉県・野島崎の南南西約40キロの太平洋で、京都府舞鶴市の海上自衛隊第三護衛隊群所属の最新鋭イージス護衛艦「あたご」(艦長・船渡健一等海佐、7、750トン)が、マグロ漁に向かっていた千葉県勝浦市の新勝浦市漁業協同組合所属の漁船「清徳丸(せいとくまる)」(7.3トン)と衝突した。清徳丸は船体が2つに割れ、乗っていた勝浦市川津、吉清(きちせい)治夫さん(58)と息子の哲大(てつひろ)さん(23)の2人が行方不明になった。第三管区海上保安本部(横浜)などが捜索している

■防衛相「確認1分後に事故」

 横須賀海上保安部は19日夕、業務上過失往来危険容疑で、海上自衛隊横須賀基地に接岸した、あたご艦内を家宅捜索した。船渡艦長ら関係者からも事情を聴き、事故原因の特定を急ぐ。

 日米安保体制の「最高機密」とされるイージス艦への強制捜査は極めて異例。

 目視やレーダーを使ったあたご側の監視態勢の不備の有無が大きな焦点。石破茂防衛相は漁船を確認した1分後に衝突したと説明している。

 また、事故の一報が石破防衛相や福田康夫首相に届いたのは発生から一時間半以上経過してからで、防衛省の危機管理態勢に批判が出ている。

 三管本部などによると、衝突の連絡は19日午前4時23分ごろ、あたごが無線で三管本部に伝えてきた。あたごは米・ハワイでの対空ミサイル発射試験などの派遣訓練を終え、通常の航海態勢で横須賀へ向かう途中。清徳丸は勝浦市の川津港を出港しマグロ漁に向かっていた。現場付近の海域は風速約7メートルと穏やかで視界も良好だった。

 イージス艦の艦首付近には衝突したような跡があり、横須賀海上保安部などは両者の位置関係や進路、速度、海上衝突予防法上の回避義務がどちらにあったか、などについて調べる。

 あたごでは事故当時、艦橋に約10人の乗員がおり、水上レーダーも稼働していた。石破防衛相は19日夕の自民党国防合同部会で、事故の状況について「あたごの見張り員が右の方向に灯火を視認、この灯火がスピードを上げたため漁船と確認し全力の後進をかけたが、1分後に衝突した」と説明。清徳丸は、あたごの前方約100メートルで大きく右にかじを切ったという。

 横浜地方海難審判理事所は19日、調査本部を設置し、イージス艦の船体検査のため理事官らを横須賀基地に派遣した。

■深くおわび 吉川栄治海上幕僚長のコメント

 このような事故を起こし、誠に遺憾であり、国民の皆さまに深くおわび申し上げます。漁船乗員の捜索に全力を尽くしてまいります。

=2008/02/20付 西日本新聞朝刊=

2008年02月20日00時11分
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クロースアップ現代が、原子力ルネサンス(『甘利経産相続投にあたり、原子力ルネサンスについてまとめます 』)に関する話題だと聞いていたので、ワンセグで録画予約していました。

イージス艦の一大事があるので、19時のニュースが延長されて今日は放映されないのだろうな、と思って後から見たら、しっかり19:30から流されていたことに、またも驚きました。

番組では、核不拡散との並存という点では慎重な学者を登場させながらも、アメリカのやり方を批判しながらも、内容としては、明確に産業界寄りの解説を挙げています。
これがイージス艦事故より緊急度の高いテーマであるかというと、わたし自身はどうも解せません。

しかし録画がある程度できており、電波の状態が悪くて一部音声が途切れて聞き取れませんでしたが、まずは簡単なログを今回も示します。
NHK クローズアップ現代

2月19日(火)放送予定
世界原発建設ラッシュ 問われる日本

アメリカだけで33基。2030年までに全世界でおよそ300基。米スリーマイル島、旧ソ連チェルノブイリの事故以降20年以上凍結されてきた原発建設に、再び火がついた。地球温暖化対策、原油高もあって、建設ラッシュの様相を呈している。そんな中、世界から注目されるのが日本企業だ。世界が止まっていた間も日本国内で原発建設を続けてこられたため世界最高の技術力を誇る、三菱重工、日立、東芝が、巨大ビジネスの主役に躍り出ようとしている。しかし原発の海外進出は核拡散の危険をはらむ。日本企業の原発生産の心臓部、アメリカでの激しい受注競争、核拡散をめぐる議論の現場などを取材しながら、日本の進むべき道を考えていく。
(NO.2539)

スタジオゲスト : 鈴木 達治郎さん(東京大学公共政策大学院客員教授)

~~~ここから記録です。
三菱重工の工場では、他には真似のできない生産技術がある。
(工場の様子など詳細に)

今後、33基の原発により、10兆円の売り上げ予測を見込まれる。

ブッシュ大統領の2001年の国家エネルギー演説で世界的原子力ルネサンスが始まった。

(管理人注: ここの字幕で「美しい環境」というフレーズがついているのですが、音声を聞くとG.W.ブッシュは、単にそのときEnvironmental Policyとしか言っていませんでした。「美しい星50」をイヤでも思い出します。こうした意図を感じさせる訳は許容されるのでしょうか?)

先手は東芝が打った。
ウエスチングハウス(WH)を4700億円で買収した。

日本の原子力は先細りだが、この買収によって、東芝の沸騰水型(BPR)原子炉のシェアは30%であったところに、加圧水型(PWR)炉の両方の技術を持てることになる。

東芝社長:
「このままでは、2030年にはサービスができなくなるのでどうしても(買収を)という決意」

(ナレーション)
全米各地のWHで18基の受注を見込む。

一方で、日立とGEの統合があった。すでに5期の受注に目処が立っている。
フロリダでの受注も射程に入れている。

日立製作所社長:
「アメリカの陣取り合戦が重要なポイント。2008年は重要な年になる」

三菱重工の受注はこれまで2基、ここでアメリカ向けに最大出力の新型炉を開発し巻き返しを図る。

課題は以下のとおりである。

日立は、アメリカにはノウハウ持つ業者がいないと語る。
建設の技術がない。たとえば30万箇所の配線が必要であるのに。

そこで(高い建設技術がなくとも品質を保持するように)、設計図のデータをチップに入れて配線のミスを防ぐ技術開発も実用化している。

また、より複雑な装置は日本の工場で完成させてから出荷している。
たとえば、2000個の部品からなる制御装置は、20mの長さだが、そのまま船で運んでいる。

2年後建設ラッシュに向けた準備に向けている。

スタジオで:

国谷キャスター(K)
「相次いでの陣取り合戦をどうみるか?」

東京大学鈴木客員教授(S)
「世界の環境情勢がある。中国・インドの発展と化石燃料の枯渇がある。
さらに京都議定書以降の温暖化対策にも対応する必要がある(管理人注: やっぱり)
原発は、現在は総発電量の17%だが需要を満たすためにさらに建てることとする。
今のシェアを維持するだけでも100基以上の建設が必要で、さらに温暖化対策として3倍建設(MITの試算)。それでニーズが高まっている」

(K)
「まずアメリカに対して(売り込む)?」

(S)
「アメリカはこれまで原発を建設していなかった(管理人注: スリーマイル以降です)。今動いているもの(原子炉)が寿命でリプレースとなる。その需要を取れば新たなリーダーシップが取れる。
また、原子炉はこれまで、カスタムメイド(拠点ごとに、また一基ごとに仕様が異なる)だったが、今後画期的に伸ばすには標準型炉の開発が必要。アメリカでとれば(受注すれば)そうなりうる」

(K)
「日本の産業になる?」

(S)
日本はコンスタントに(原発を)建てているが、今後は建てない時期が続くかもしれない。
その後更新の時期を迎えるため技術力を持っている必要がある。そのためにも。

ナレーションと映像:
原子力は危うさも伴っている。前提条件として、国家間での協定がないと海外で作れない。
日本は平和利用を求めている。

アジア・アフリカからの依頼が多くなっている。

ベトナムからの技術者談:
「ベトナムでは今後10年に原子力発電の導入を目ざしている」

エネ庁官僚:
南アフリカなどとの協調を見据えている。豊富な資源(管理人注: 核燃料)の獲得につなげたい。
政府と民間の協力が必要。

(ナレーション)
しかしここでいかに平和利用を確保するか?

各国との協定を担当する外務省小溝室長談:
「ロシアとの間で難しい交渉がある。核兵器を保有するロシアだが、チェルノブイリ以降原発では遅れがあるこの20年だった。
もはや(ロシアは)自分たちだけで活動できないために、日本との協定を願っている」

しかしロシアの核関連施設が、明確な区別無く運用されている。協定の条件として核兵器に転用されないよう切り離すことを日本は求めている。

小溝室長:
「これが爆弾などに使われないよう、広島長崎を経験した日本としては重要です」

(ナレーション)・・・さらにインドとの関係がある。

インドは1998年核実験を強行した。
NPT(核拡散防止条約)に加盟せずIAEAの査察も受け入れていない。
しかし今後20期程度の原発計画、アメリカやフランスは協定締結に向けている。日本は・・・・
政府諮問機関では、核兵器の増強の懸念や、もっと前向きにという対極的な意見が出ている。

専修大学 広瀬教授談:
「民生用ではもっと(インドとも)協力したい」

外務省 森野事務官:
「日本としては、(産業としての)出遅れかどうかでなくNPTの見地を取り入れて考え、外交に参加する」

スタジオに戻って、国谷キャスター(K)
「インドに対してはこれをチャンスにルールに従っては?」

鈴木教授(S)
「そもそもインドが(管理人注: CTBTに署名しないまま)実験したときには、原子力供給国グループ(NSG)を作って、その45カ国が合意しないと供給できない」

(K)
「アメリカやフランスが積極的な姿勢をしているのに日本はその姿勢を貫ける?」

(S)
「インドの核兵器プログラムを無傷で置いて(放置して)おいて、(産業では)協力する、というのがアメリカの対応。日本はやってはいけない。
核実験を再開したら協力しない、不拡散分野で妥協する、つまりこれ以上実験しないなど厳しく要求すべき」

(K)
「日本でのその部分はどういう役割を?」

(S)
「日本は平和利用の部分で信頼性や技術がある。
核不拡散についても。この2つをベースにして世界に向けての施策を打ち出すべき、インドに対しては国内的議論が少ない。インドはテストケースになる。日本が両立するように取り組むべき」

(K)
「ルール作りでも主張する?」

(S)
「平和利用と不拡散の両輪で対応したい」


こちらの先生は異なるのかもしれませんが、どうにもこうにも、原発推進と核不拡散との切り離しが可能で、その点だけをクリアすれば十分懸念のない平和利用ができるかのような基調でした。
また、ここでも温暖化が伝家の宝刀とし引き抜かれています。


※TBやPINGがまたおかしいようです。

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UNPLUG KASHIWAZAKI-KARIWA

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被災された方々の不安と風説被害に心よりお見舞い申し上げます。

「運転再開は白紙」と所長が年頭会見で強調されたそうですが、動向を見守りたいと思います。

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